「うーん……」

朝が来たのを感じた霊児は、眠そうな表情を浮かべながら目を開く。
少し気だるいなと言う事を思いつつ、霊児は上半身を起き上がらせて両腕を伸ばす。
そして首を軽く回し、上半身を倒して布団に背中から倒れ込む。
その後、暫らくの間ボケーッとした表情で天井を見続ける。
それから少しすると、霊児は再び上半身を起し、

「おい、起きろよ」

手を伸ばして隣で寝ている人物の体を揺すり始めた。
体を揺すられた人物は、

「んー……後、五分……」

お約束の様な寝言を口にし出す。
半分以上夢の世界に居る事を察したからか、

「おーい、起きろー」

霊児は体を揺する力を強める。
しかし、

「んー……もう少し……」

強く揺すっても起きてくれる気配は見られなかった。
だからか、

「それじゃ、朝は俺が作るぞ」

朝食は自分が作ると霊児は言う。
すると、

「あー……そりゃ駄目だ。私が作らないと鍋料理になる」

自分が作らなければ鍋料理になると言う理由で、霊児の隣で寝ていた人物が起き出す。
起き出した人物は霊児と同じ様に上半身を起して両腕を伸ばす。
体を伸ばし、ある程度の眠気が吹き飛ぶと両腕を下ろしながら霊児の方に視線を移し、

「おはよう、霊児」

朝の挨拶の言葉を掛ける。
挨拶の言葉を掛けられた霊児は、

「おはよう、魔理沙」

自分の妻である魔理沙に同じ様な挨拶の言葉を返した。





















「朝ご飯、出来たぜ」

朝食が出来た事を口にし、魔理沙は卓袱台の上に作った料理を並べていく。
並べられた料理を見て、

「今日はサラダの量が多いな」

霊児はサラダが多いと言う感想を漏らす。

「昨日、野菜が沢山取れたからな。腐らせない内にってやつだ」
「成程」

魔理沙からサラダが多い理由を聞き、霊児は納得した表情を浮かべながら卓袱台の前に座る。

「ちゃんと栄養バランスも考えてるぜ。霊児はその辺、無頓着な所があったりするからな」

そう言いながら魔理沙も卓袱台の前に座ると、

「「いただきます」」

二人は朝食を食べ始めた。

「お、相変わらず美味いな」
「そりゃな。料理は得意だし、味付けも霊児好みにしてるし」
「そっか。ありがとな」
「何、これ位妻として当然だぜ。それに夫の健康管理も兼ねてるしな」

自分好みの味付けにしてくれた礼を霊児が言うと、魔理沙は妻として当然だと返す。

「健康管理……ねぇ。俺ってそんなに出来てないか」
「ほら、霊児の作れる物って基本的におにぎりと野菜を適当に突っ込んだ鍋料理だけだろ。だから、一寸は心配になるぜ」

そんな会話を交わしつつ、霊児と魔理沙は箸を進めていく。
そして、後少しで食事を取り終えそうになった時、

「あ、そうだ」

魔理沙は何かを思い出した表情を浮かべる。

「ん、どうした?」
「今日は何か予定ってあるか?」

どうしたのかと尋ねた霊児に、魔理沙は今日は何か予定があるかと問う来た。
本日の予定を問われた霊児は、

「今日か?」

記憶を遡っていき、

「……お守りとかお札は昨日売りに行ったばかりだし、野菜も昨日採ったばかりだ。修行以外はする事はないな」

修行以外はする事は無いと伝える。
殆ど予定が無いと言っているのと同じであったからか、

「そっか。なら今日はのんびりできるな」

魔理沙は嬉しそうな表情を浮かべた。
基本的にダラダラとする事が好きな霊児も、

「そうだな」

魔理沙と同じ様に嬉しそうな表情を浮かべる。
同時に、

「「ご馳走様」」

霊児と魔理沙は朝食を食べ終えた。
空になった食器の数々を見て、

「俺が皿洗いをし様か?」

霊児が自分が皿洗いをし様かと口にするが、

「良いって良いって、それ位私がするぜ」

魔理沙は自分がするから別に良い返して食器を台所へ持って行き、食器洗いを始める。
食器洗いが済むと、魔理沙は居間に戻り、

「なぁ、霊児。一緒に縁側に行かないか?」

一緒に縁側に行かないかと霊児を誘う。
誘われた霊児は、

「そうだな、一緒に行くか」

一緒に縁側に行く事を了承し、魔理沙と一緒に縁側へと向かう。
そして縁側に着くと、霊児と魔理沙は肩を並べる様に腰を落ち着かせ、

「平和だな……」
「ああ、平和だぜ……」

平和だと呟きながら二人揃って空を見上げる。
二人が空を見上げてから少し時間が経った時、

「なぁ、霊児」

魔理沙は霊児の名を言いながら霊児に視線を移す。

「ん?」

自分の名を呼ばれた霊児が顔を動かすと、霊児と魔理沙は見詰め合う形になる。
霊児の顔を真正面から見て、魔理沙は思う。
何時から自分は霊児を好きになったんだろうと。
初めて会った時からか。
人里で良く会う様になった時からか。
妖怪の群れから護って貰った時からか。
魔法の練習に付き合って貰った時からか。
家出した時に泊めて貰った時からか。
自分の為に天狗相手に戦ってくれた時からか。
初めて一緒に魔界に突入した時からか。
それとも、一緒に異変解決に行く様になってからか。
何時から霊児の事を好きになったのかは、魔理沙には分かっていない。
が、それでも魔理沙が分かっている事は二つある。
気付いた時には霊児の事ばかりを考え、霊児の事ばかりを見ていたと言うのが一つ。
もう一つは、自分は霊児を大好きであるのと同時に愛しているんだと言う事。

「……魔理沙?」

自分の顔を見てから急に喋らなくなった魔理沙を不審に思ったからか、霊児は魔理沙の顔を覗き込みながら魔理沙の名を呼ぶ。
自分の名を呼ばれた魔理沙はハッとなりながら目を閉じ、

「ん……」

霊児の唇に自分の唇を押し付けた。
魔理沙にキスをされていると言う事を認識した霊児は目を閉じ、

「ん……」

少し体を動かして魔理沙の体を抱きしめる。
抱きしめられている魔理沙は自分の体を少し動かし、霊児の体を抱きしめ返す。
キスをしてから暫らくすると、魔理沙は自分の唇を霊児の唇から離して目を開く。
魔理沙の唇が自分の唇から離れたのを感じた霊児は目を開き、

「どうしたんだ? 急に」

急にどうしたんだと問う。
問われた事に、

「別に。唯、何となくだぜ」

魔理沙は何となくだと言って霊児の胸に顔を埋める。
暫らくの間、霊児の胸に顔を埋めていると、

「なぁ……」
「ん?」
「私……霊児と結婚出来て本当に良かったぜ」

魔理沙は唐突に霊児と結婚出来て良かったと口にし、霊児の胸から顔を離す。

「何だよ。急に……」
「だってさ、ライバルは多かったし」

唐突に結婚の話題を出された事に少し驚いている霊児に、魔理沙はライバルが多かったと漏らしながら霊児の事を想っている者達の顔を頭に浮かべていく。
思い浮かべた結果、結構な数が存在していると言う結論に至った。
そんな魔理沙の表情を見て、

「てか、俺ってそんなに好意を寄せられてるのかね?」

霊児が少し疑問気な声色で魔理沙に、自分はライバルが多いと言われる程に好意を寄せられているのかと尋ねる。
尋ねられた事に、

「霊児って敵意や殺意とかには敏感な癖に、そう言うのには鈍感何だよな」

魔理沙は少し呆れた表情で答えだと言わんばかりに鈍感だと言う指摘を行った。
鈍感と言われても仕方が無いからか、

「まぁ……な」

霊児は特に否定する言動を発さずに頬を掻く。
そして、

「知ってるとは思うが、俺は物心を付いた時にはこの博麗神社で一人暮らしをしてた」
「うん」
「普通の子供が親から愛情とかを受ける時期に俺は愛情何てものを受けなかったから俺はそう言うのに疎いんだと、お前からの告白を受けてそう考えた」

自分が好意などに疎い理由を話す。
霊児の話を聞いて納得した表情を浮かべながら、

「ま……結局、告白したのは私からだったしな」

魔理沙は告白したのは自分からだったと言い、再び霊児の顔を見詰める。
魔理沙に見詰められたからか、霊児も魔理沙の顔を見詰め始めた。
少しの間互いが互いを見つめ合った後、

「でも……良いんだ。そりゃ、霊児から想いを告げられたいって言うのは幾らか在ったけどさ。霊児は私の想いを受け入れて、私を選んでくれただろ」

魔理沙は霊児から告白されたいと言う想いは幾らか在ったが、霊児は自分を選んでくれただろと口にする。

「ま、ずっと一緒に居て当たり前って感じだからな。お前は。それに、魔理沙が傍に居ると心地良いし」
「えへへ」

霊児が魔理沙を選んだ理由と言える様な発言をした事で、魔理沙は物凄く嬉しそうな表情を浮かべた。
が、直ぐに何処か決意を固めた様な表情を浮かべ、

「頑張らなきゃな……」

頑張れなければと呟く。

「何をだ?」
「霊児を横から掻っ攫われない様に……だ」

何を頑張るのかを聞いて来た霊児に、魔理沙は霊児を横から掻っ攫われない様にだと返す。

「横からって……」
「あいつ等、絶対に霊児の事をまだ諦めてない。あの手この手で霊児の事を狙って来ると思うぜ」

魔理沙の発言を聞く限り、霊児の知らぬ間に少々大変そうな事になっている様だ。
まさか、異変に発展したりはしないだろうなと考えている霊児に、

「なぁ、霊児。私は……霊児を絶対一人にはしないからな」

魔理沙は真面目な表情をしながら霊児を絶対に一人にはしないと宣言し、

「昔さ、霊児は言ってただろ。『幻想郷に侵略者が現れたら俺はそいつ等を滅ぼす。それとは別に状況次第であるならば、俺は人間の敵にも妖怪の敵にも……
若しくは人妖両方の敵になるかもしれない』って。幻想郷を護る為ならばどんな事もするって」

確認を取る様な声色で昔霊児が言った事は正しいのかと聞く。

「ああ、確かにそう言った」
「それは、今も変わってないだろ?」
「ああ、そうだな。今も変わっていない。序に言えば、それは俺が博麗だからじゃない。俺自身の意思だ」

昔も今も自分が口にした事は変わっていないと霊児は断言する。
霊児の意思が昔と欠片も変わっていない事を改めて知ったからか、

「……霊児はさ、滅茶苦茶強いから幻想郷に居る存在の全てを相手にしても余裕で勝てると思う。でもさ、それをしたら霊児は一人ぼっちになってしまう」

魔理沙は声のトーンを少し落としながら霊児の体を抱きしめ、

「だからさ、私がそんな事をさせない。例えそうなったとしても、私はずっと……どんな時でも、何があっても霊児の味方だ。絶対に……私は霊児を一人に
しない。昔……言った様にな」

昔言った様に自分は霊児の事を一人にはしないと言う断言を行った。
更に続ける様に、

「私は……さ、只霊児に護られるだけの女じゃない。でも、霊児の強さじゃ私の力なんて殆ど役に立たないかもしれない。だから、今は霊児の心を護る事
位しか出来ない。でもさ、私は必ず霊児の心と体の両方を護れる位に強くなってみせる。だから……」

魔理沙が自分も霊児の心と体の両方を護れる位に強くなると言って何かを言い掛けた時、霊児は魔理沙の体を抱きしめる。
真っ直ぐに自分の事を想ってくれている魔理沙が堪らなく愛おしく想えたからだ。
だからか、

「ありがとう、魔理沙」

霊児は魔理沙に感謝の言葉を伝え、霊児は魔理沙にキスをした。





















夜中、人間が寝入る時間帯。
霊児と魔理沙の寝室で、

「霊児……起きてるか?」

魔理沙は隣で寝ている霊児に起きているかと尋ねる。

「起きてる」

起きている事を霊児が主張すると、

「えへへ……そっか」

魔理沙は嬉しそうな表情を浮かべながら布団を抜け出し、霊児の布団に入り込んで霊児に覆い被さった。
そして、

「ん……」

魔理沙は目を閉じ、自分の唇を霊児の唇に押し付けた。
キスかと霊児が思っていると、自分の口腔内に魔理沙の舌が入って来ているのを感じる。
自分の口腔内に入って来ている魔理沙の舌を感じつつ、霊児は思い出す。
夜中にするキスは殆どディープキスであると言う事を。
その事を思い出したからか、霊児も目を閉じて自分の舌を魔理沙の口腔内に入れて魔理沙の体を抱きしめる。
すると魔理沙は体の力を抜き、ゆっくりと霊児の体に倒れ込んだ。
かなり密着した状態でディープキスをしてから暫らくすると、魔理沙は自分の唇を霊児の唇から離し、

「なぁ、昨日の夜の時に聞き忘れてた事があるんだが……」

昨日の夜の時に聞き忘れた事があるのだと言う。

「聞き忘れてた事?」

霊児が少し疑問気な表情を浮かべながら何だと聞き返すと、魔理沙は少し頬を赤らめて上目遣いで、

「うん。その……子供……何人欲しい?」

子供は何人欲しいかと尋ねて来た。

「世間では一姫二太郎って良く言うけど……魔理沙は?」

霊児は世間での一般を口にし、魔理沙にも何人欲しいかを尋ねる。
聞き返される形になった魔理沙は、

「霊児との子供なら何人でも」

霊児との子供なら何人でも欲しいと答えた。
魔理沙の答えを聞き、

「俺もだ。魔理沙との子供なら何人でも」

霊児は自分も同じだと呟く。
その後、霊児は魔理沙は少しの間見つめ合い、

「霊児……愛してる」

沈黙を破る様に魔理沙は愛してると口にする。
魔理沙の愛していると言う言葉に、

「俺もだ……魔理沙。お前を愛している」

霊児も愛していると返し、自分と魔理沙の体の位置を入れ替える様に体を動かす。

「えへへ……位置、入れ替わっちゃったな」
「そうだな」

嬉しそうな表情をしている魔理沙に霊児は若干表情を緩めてディープキスをし、目を瞑る。
ディープキスをされた魔理沙は霊児と同じ様に目を瞑り、霊児の体を抱きしめた。
魔理沙に体を抱きしめられた霊児は、体の力を緩めてより魔理沙と体を密着させる。
こうして、夜の時間は流れていく。























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