二対二の弾幕ごっこで咲夜と美鈴のコンビを倒した霊児と魔理沙の二人。
勝利者と言う事もあり、何の妨害も無く二人は紅魔館の中に入る事が出来た。
さて、紅魔館の中に入った霊児と魔理沙の二人は軽く周囲を見渡していき、

「相変わらず外も中も紅いな、ここは」
「同感だぜ」

そんな感想を零す。
こうも紅をメインに使うのは吸血鬼の好みなのか、それともレミリア個人の好みなのか。
と言ったどうでも良い事を考えている霊児に、

「それで、先ずは何所に行くんだ? やっぱ、レミリアの部屋か?」

何所に向かうのかと言う事を魔理沙は聞く。
聞かれた霊児は考えていた事を頭の隅に追い遣り、

「いや、先ずはパチュリーの図書館に行く」

パチュリーの図書館に行くと答えた。

「パチュリーの図書館にか?」
「ああ、あそこの蔵書量のなら今回の件に関するヒントが在りそうだからな。それに、レミリアなら図書館に居るだろうし」

答えられた事に疑問を覚えた魔理沙に、霊児はパチュリーの図書館に行くと答えた理由を話す。

「成程。確かにパチュリーの図書館になら今回の件のヒントになりそうな本の一冊や二冊、在りそうだな」

話された理由を受けて図書館に向かう事に魔理沙は納得するも、

「でも、何でレミリアが図書館に居るって思ったんだ?」

新たな疑問が出て来てしまった事で首を傾げてしまう。
首を傾げてしまった魔理沙を見て、

「勘」

一言、勘であると霊児は口にした。

「納得」

霊児が口にした一言だけで魔理沙は全てを理解したと言う様な表情になり、

「それじゃ、早速行くか」

早速図書館へと行く様に霊児を促す。

「そうだな、行くか」

促された霊児が行くかと言う言葉と共に足を動かし始めると、魔理沙も足を動かし始めた。
図書館へと足を進めている中、妖精メイドの姿が二人の目にチラホラと映っていく。
が、妖精メイドから襲撃を受けると言う事は無かった。
異変であるのであれば妖精が問答無用で襲い掛かって来るものなのだが、その様な気配は全く感じられない。
であるならば、今回の件は異変では無いと言う可能性が出て来る。
しかし、そうであるならば三日置に博麗神社で宴会が開かれ続けていると言う現象に説明が付かない。
更に言うのなら、開かれ続けている宴会に誰も疑問を抱いていない事にもだ。
そこまで思考した辺りで、今までの異変と今回の件に着いての相違点が霊児の頭に思い浮かんだ。
思い浮かんだ相違点と言うのは異変によって影響を受けた範囲と言うもの。
レミリアが起こした異変では幻想郷全域に影響が出たし、幽々子が起こした異変でも同じく幻想郷全域に影響が出た。
魔界の一部の者が幻想郷の侵略を企てた際の異変では、尖兵が幻想郷に襲撃を掛けると言う事態が起こっている。
その当時、異変を解決する為に霊児は魔界に赴いていた事もあって幻想郷がどうなっていたかは分からなかった。
異変解決後、大天狗から異変が解決されるまでの間に妖精が暴走していたと言う事を霊児は聞いてる。
以上、過去に起きた三件の異変に対して今回一番影響を受けているのは博麗神社のみ。
二番目は宴会に参加している者と言う個人個人。
言ってしまえば、今回の件は今までの異変と比べて影響を受けている範囲が極端に狭いのだ。
つまり、幻想郷全域に影響が出る様な事態でもなければ妖精が暴走したりはしない。
と言う様な推論を霊児が立てた刹那、

「霊児、図書館の入り口の前まで来たぜ」

魔理沙からそう声を掛けられた。
掛けられた声に反応した霊児は意識を現実に戻し、

「それじゃ、行くか」

図書館へと続くドアを開き、魔理沙と一緒に図書館の中に入る。
そして、奥に向けて二人は足を進めて行く。
何所を見ても二人の目に映るものと言ったら本や本棚ばかり。
下手したら迷ってしまいそうな場所ではあるが、足を進めている霊児に迷いは見られなかった。
同じ様に良くこの図書館に来ている魔理沙にも迷いは見られない。
魔理沙は兎も角、パチュリーの図書館に来る事が余り無い霊児の足取りに迷いが無いのは生来のものか己が勘を信じているからか。
兎も角、そんな感じで図書館の中を進み始めてから少し経った頃、

「お……」
「霊児の勘の通り、レミリアも居たな」

紅茶を飲んで寛いでいるレミリアとパチュリーの姿が霊児と魔理沙の目に映った。
同時にパチュリーとレミリアも二人の存在を認識した様で、

「あの白黒は兎も角、霊児がここに来るのは珍しいわね」
「そうね、霊児って基本的に博麗神社に籠もりっ放しだし」

紅茶が入っていたカップを置いて霊児と魔理沙の方に体を向ける。
お互い相手の存在を認識した後、

「ほら、そんな所に居ないでこっちにいらっしゃい」

霊児と魔理沙の二人はレミリアから自分達の近くに来なさいと言う誘いを掛けられた。
掛けられた誘いに乗る形で二人がレミリアとパチュリーの近くにまで移動して足を止める。
すると、

「改めていらっしゃい、霊児に魔理沙。それで、我が紅魔館に何の御用かしら?」

紅魔館へやって来た理由をレミリアが尋ねて来た。
やって来た理由を隠したとしてもやる事に変わりは無い為、

「紅魔館に来た理由は二つ。一つは今回の異変の容疑者を叩きのめす為。もう一つは今回の異変を解決する為のヒント探し」

嘘偽り無く紅魔館にやって来た理由を霊児はレミリアに伝える。

「……異変? 異変何て起きているの?」

伝えられた理由を頭に入れたレミリアはつい疑問気な表情を浮かべてしまう。
同じ様に霊児がレミリアに伝えた理由を聞いていたパチュリーも疑問気な表情を浮かべてしまっていた。
やはりと言うべきか、それとも分かっていた事だと言うべきか。
レミリアとパチュリーの二人も今回の件に付いて何の疑問も抱いていない様だ。
まぁ、これに関しては霊児も予想していた事なので驚きはしなかったが。
ともあれ、分からないのであれば仕方が無いと言う雰囲気を霊児は見せつつ、

「起きてるだろ。俺の神社で三日置きの頻度で宴会が開かれてるって言う異変が」

起きている異変をレミリアとパチュリーに教えた。

「「……あ」」

教えられた内容を耳に入れたレミリアとパチュリーは今気付いたと言った表情になり、

「何で気付けなかったのかしら? 三日置きに宴会が開かれ続けているって言う状況を可笑しいと思っても良い筈なのに……」
「何者かが宴会が開かれ続けると言う事に違和感を覚えない様に思考を誘導した? となると、犯人は私の精神汚染や精神干渉に対する防壁を易々と
突破した事になるわね……」

今まで三日置きで開かれている宴会に何の疑問も抱かなかった事に付いて考え始める。
そんな二人、と言うよりはパチュリーの反応を見た魔理沙は、

「何だ、パチュリーって精神に防壁を掛けているのか」

少し驚いたと言った感じでその様な事を呟く。
呟かれた事が聞こえたからか、

「魔導書の中には精神を乗っ取る物、精神を掻き乱す物、精神を操る物等々。精神に干渉して来る魔導書って言うのは結構あるのよ。ならば、それに
備えて精神に防壁の一つや二つ張って置くのは当然でしょ」

何を言っているんだと言う表情でパチュリーは魔理沙にそう説明した。

「別に障壁を張らなくても、そう言った干渉は魔力で弾いてやれば良いだろ」

された説明に反論するかの様に魔理沙は防壁ではなく魔力で弾けば良いと言う別案を出す。
が、

「それ、只の力押しじゃない。魔法使いならその程度、スマートに対処してみなさいな」

出された案をパチュリーは只の力押しであると断じる。
そして、

「そうやってスマートな対処ばかりしてると、いざって時にパワー負けするぞ」
「あら、それをテクニックで何とかするのが腕の見せ所ってやつよ」
「テクニックじゃあどうにもならないパワーってのも在るぞ」
「真正面からぶつかり合うだけが戦いじゃないでしょ」

魔理沙とパチュリーの間で不穏な空気が流れ始めた時、

「取り敢えず、異変が起こっている事は分かったわ。ヒント探しの為にパチェの図書館に来た事もね。でも、異変の容疑者を叩きのめすって言うのは?」

レミリアから異変の容疑者を倒すと言う部分に付いて尋ねられた。
ここで隠したとしても意味は無い為か、

「レミリア、お前を倒すって事だ」

正直にレミリアを倒しに来たと言う事を霊児は口にする。

「……は? 私?」

異変の容疑者扱いされている事を知ったレミリアは思わず間の抜けた表情に成ってしまうも、

「……どうして私が容疑者に成るのかしら?」

続ける様にして何故自分が容疑者なのかと問う。

「だってお前、前科が在るだろ」

問われた霊児がシレッとした表情でレミリアを容疑者扱いした理由を述べると、レミリアはつい動きを止めてしまった。
述べられた理由の通り、レミリアには嘗て異変を起こしたのだから。
ともあれ、前科者であるが故に容疑者扱いされた事に納得しつつ、

「一応言って置くけど、犯人は私じゃ無いわよ」

自分は犯人では無いと言う主張をレミリアは行なう。

「……今回に限っては俺の勘が全然働く無くてな。お前が犯人かどうかは、戦ってから決める」

行なわれた主張を無視しながら霊児は宣戦布告の宣言をした。
された宣戦布告は兎も角、勘が働かないと言う部分にレミリアは反応を示し、

「冥界の連中が起こした異変が解決された後、咲夜が貴方の勘のお陰で犯人の居場所に辿り着けたと言っていたけど……その貴方の勘が働かない……か」

何やら思案し始める。
レミリアとしては霊児の勘が働かない事が気に掛かっている様だ。
だが、宣戦布告された状態で何時までも思案に耽っている訳にもいかない。
だからか、レミリアは思案していた事を止めて立ち上がり、

「折角だし、以前付けられた土をここで払って置きましょうか」

何処か好戦的な笑みを浮かべた。
どうやら、異変を起こした際に敗北した雪辱をこの戦いで削ぐ気の様だ。
戦う気満々と言った感じのレミリアを見て、

「当然、私は霊児と一緒に戦うぜ」

霊児と共に戦うと言う宣言を魔理沙はする。

「ふむ……別に二対一でも構わないのだけど……」

魔理沙がした宣言を受けたレミリアは視線をパチュリーの方に向け、

「パチェ、一緒に戦いましょ」

一緒に戦おうと言う誘いを掛けた。

「……え? 私も?」

行き成りの誘いに対して困惑の表情を浮かべているパチュリーを見たレミリアは、

「パチェと一緒に戦う機会って余り無いじゃない。大体は私達が組まなくてもどうにでもなるし」

浮べられたパチュリーの表情など知った事では無いと言った感じで一緒に戦おうと言う誘いを掛けた訳を話す。
話しているレミリアを見たパチュリーは、レミリアの中で自分が一緒に戦うのは決定事項になっているのを理解してしまい、

「全く、レミィは強引なんだから」

仕方が無いと言った感じで立ち上がって椅子、テーブル、紅茶と言った物を転送魔法で何処かに飛ばした。
その後、

「戦闘方法は弾幕ごっこにして頂戴。弾幕ごっこでの火力なら、流れ弾が本に当たっても私の防壁を貫く事は出来ないからね」

弾幕ごっこでの戦闘をパチュリーは指定する。
戦う場所が図書館であるのであれば、一番被害を受けるのはこの図書館に存在している本。
であれば、パチュリーが戦闘方法を弾幕ごっこに指定するのも当然だろう。
兎も角、弾幕ごっこで戦うと言う事に、

「俺は別に構わないぞ」
「同じく」
「私も弾幕ごっこで構わないわ」

霊児、魔理沙、レミリアの三人は賛成の意を示した。
取り敢えず、全員弾幕ごっこで戦う事を賛成した為、

「それは重畳」

何処か安心したかの様な表情をパチュリーは浮かべてレミリアの斜め後ろに移動する。
それを見た魔理沙は無言で霊児の斜め後ろに移動した。
すると、レミリアは右手から魔力で出来た真紅の槍を生み出し、

「それじゃ、行くわよ」

一瞬で霊児と間合いを詰めて槍による刺突を繰り出す。
繰り出された刺突を見ながら霊児は左腰に装備してる短剣を左手で引き抜き、短剣の刀身を霊力でコーティングして、

「行き成りだな」

引き抜いた短剣の腹でレミリアの刺突を受け止める。

「ま、この程度は容易く防ぐわよね」

繰り出した刺突を防がれた事にレミリアは驚かず、これ位出来て当然だと言う反応を示す。

「お前だって、この程度の一撃で俺を倒せるとは思ってないだろ」
「ええ、思ってないわね」

示された反応に霊児がそう返すと、返された事を肯定しながらレミリアは霊児から間合いを取った。
同時に、パチュリーから無数の氷の弾幕が霊児に向けて放たれる。
放たれた氷の弾幕は一直線で霊児に向かって行くが、氷の弾幕が霊児に当たる事は無かった。
何故ならば、

「おっと、そうはいかないぜ!!」

魔理沙がレーザーを放って氷の弾幕を全て薙ぎ払ったからだ。
薙ぎ払いの過程でレーザーがパチュリーに当たりそうになった為、

「……仕方が無いわね」

一旦氷の弾幕を放つのを止めてパチュリーは空中へと躍り出る。
空中へと出たパチュリーを追う様にして魔理沙はレーザーを放つのを止め、箒に腰を落ち着かせて浮かび上がり、

「今度はこっちからいくぜ!!」

霊児から離れた位置に居るレミリアに向けて星型の弾幕を無数に放つ。
だが、放たれた弾幕は突如現れた薄い紫色をした障壁に阻まれてレミリアに届く事は無かった。

「ちっ」

攻撃を阻まれたのを見た魔理沙は舌打ちしながら弾幕を放つのを止め、攻撃目標をレミリアからパチュリーへと変える。
自分に攻撃目標を変えられた事に気付いたパチュリーは展開していた薄い紫色をした障壁を消して魔理沙へと向き直った。
空中で魔理沙とパチュリーによる睨み合いが行なわれている中、

「上は睨み合っていて動かないみたいだから……こっちは激しく動いてみましょうか」

そう言って、レミリアは縦横無尽に辺り一帯を動き始める。
動き回っているレミリアのスピードは残像が追い切れない程のもの。
そんなスピードを維持した状態でレミリアは霊児の背後に回って槍を振るう。
が、

「見えてるぜ」

振るった槍は振り返った霊児の短剣に受け止められてしまう。
ある意味不意打ち気味に振るった攻撃を防がれたレミリアではあるが、

「良い反応……いえ、貴方ならこの程度のスピードは楽に追えるでしょうから止められて当然ね」

悔しがってはおらず、寧ろ防がれた事は当然と言う様な台詞を呟く。
そして、

「ほら、貴方も動いてみたらどう?」

霊児も動いたらどうだと言う提案をレミリアは出す。

「俺も?」
「ええ、そうよ。今回の戦いは貴方から仕掛けて来たもの。仕掛けられた私がこうも動き回っていると言うのに、仕掛けた貴方が全然動かないってのは
どうなのよ?」

出された提案を受けて疑問気な表情を浮かべてしまった霊児に、レミリアはその様な提案をした理由みたいなものを口にする。
口にされた理由を頭に入れた霊児は確かになと思う。
第三者視点で見れば霊児が挑戦者でレミリアが挑戦を受けた者。
挑戦者が全然動かず挑戦を受けた者ばかりが動き回ると言うのは礼儀に反していると言えるだろう。
態々その礼儀に従う必要性を霊児は感じていなかったが、

「……良いぜ、その案に乗ってやるよ」

何となく気が乗ったからかレミリアの誘いに乗る事を決め、短剣を振るってレミリアを弾き飛ばす。
弾き飛ばされたレミリアが離れていくのを視界に入れながら霊児はバク転の要領で後ろに在る本棚の天辺に足を着け、

「ッ!!」

本棚を蹴って弾き飛ばしたレミリアを追う。
まるで空中を滑る様な動きで霊児がレミリアとの距離を詰めて行っている中、

「……睨み合っていても埒が空かないな。こっちから仕掛けさせて貰うぜ!!」

円を描く様に動きながら魔理沙はパチュリーに向けて弾幕を放つ。
放たれた弾幕を迎え撃つかの様にパチュリーも弾幕を放った。
魔理沙とパチュリーが放った弾幕はぶつかり合い、相殺し合いながら爆発音と爆煙を発生させる。
その瞬間、爆煙の中から石ころサイズの無数の光る塊が地上に向けて落下し始めた。
落下したそれはレミリアを追っている霊児に向かって行った為、霊児はレミリアを追うのを止めて進行方向を九十度左に変える。

「なっ!!」

霊児に攻撃が向かったのを見て驚いている魔理沙に、

「相殺した時、下に攻撃が行く様に弾幕に細工をしたの。これがテクニックと言うものよ」

自分が放った弾幕に付いての簡単な解説をパチュリーは行なう。
解説しているパチュリーの表情が何処か得意気なものであったからか、

「なら、その細工諸共撃ち抜くぜ!!」

魔理沙が放つものを弾幕から無数のレーザーへと変える。
新たに放たれたレーザーはパチュリーの弾幕を呑み込んで突き進んで行く。

「く……」

突き進んで来るレーザーを見たパチュリーは弾幕を放つのを止めて回避行動を取った。
そんなパチュリーを見ながら魔理沙はレーザーを放つのを止め、

「どーだ。これが細工をも撃ち抜くパワーだぜ!!」

得意気な表情を浮かべた魔理沙がそう言ってのける。

「やってくれたわね……」

言われた事を耳に入れたパチュリーは少し悔しそうな表情を浮かべながら魔理沙の方に視線を向けた。
再び魔理沙とパチュリーが睨み合いの様な形になっている間に、弾き飛ばされていたレミリアは体勢を立て直し、

「次はこう行ってみ様かしら」

跳ねるボールの様な軌道で本棚から本棚に次から次へと飛び移りながら霊児へと近付いて行く。
近付いて来ているレミリアを見た霊児が身構えた直後、レミリアは霊児の頭上目掛けて槍を振り下ろす。
振り下ろされた槍を霊児が短剣で受け止めると、手首を使ってレミリアは短剣から槍を放して霊児の正面に着地して、

「ッ!!」

超高速での刺突を連続で繰り出した。
繰り出された刺突を霊児は全て必要最低限の動きで避けていく。
この儘刺突を放ち続けても意味を成さないと感じたレミリアは、

「なら……」

刺突の代わりだと言わんばかりに槍を横に薙ぎ払う様にして振るう。
横薙ぎで振るわれた槍を霊児は後ろに跳ぶ事で避け、右手をレミリアに向け、

「そら」

向けた右手から弾幕を放つ。
放たれた弾幕を見たレミリアは突っ込む様な体勢を取り、

「その程度で……攻めを躊躇う私じゃないわよ!!」

霊児へと突っ込んで行く。
突っ込んで行ったレミリアが霊児の弾幕に当たってしまうと思われたが、霊児の弾幕にレミリアが当たる事は無かった。
何故ならば、弾幕と弾幕の間を縫う様にして霊児との距離をレミリアは詰めて行ったからだ。
そんな方法で近付いて来ているレミリアを見た霊児は弾幕を放つのを止め、着地せずに空中に留まりながら短剣を構える。
そして、レミリアが自身の間合いに入った瞬間、

「しっ!!」

霊児は短剣を振るう。
振るわれた短剣を迎え撃つかの様にレミリアも槍を振るい、短剣と槍は激突する。
激突した影響で大きな激突音と衝撃波が発生し、辺り一帯に響き渡った。
響き渡った激突音と衝撃波に反応した魔理沙とパチュリーは反射的に二人の方に顔を向ける。
顔を向けた二人の目には激突音や衝撃波を全く気にせず、己が得物を連続してぶつけ合っている霊児とレミリアの姿が映った。
見た感じ、互角と言える様な動きを二人はしている。
と言う事は、何かしらの事が起きればその均衡が崩れると言っているのも同じ。
そう考えた魔理沙とパチュリーの二人は同じタイミングで自分のパートナーを護る為に弾速の速い弾幕を放つ。
放たれた二人の弾速が速い弾幕はぶつかり合って大半は消失したが、残ってしまった弾幕は当然の様に霊児とレミリアの二人に向かって行ってしまう。
迫って来ている弾幕に気付いた霊児とレミリアは得物をぶつけ合うのを止め、代わりと言わんばかりに迫って来ている弾幕に向けて得物を振るう。
振るわれた短剣と槍が迫って来ていた弾幕を薙ぎ払った後、霊児とレミリアは自分のパートナーの傍へと移動する。
すると、

「ごめん、霊児。攻撃を通しちまった」
「すまないわね、レミィ。攻撃を通してしまって」

攻撃を通してしまった事に対する謝罪を魔理沙とパチュリーは行なう。
行なわれた謝罪を受けた霊児とレミリアは、

「気にするな。二対二なんだから横槍が入るのは当然だろ」
「別に気にする必要は無いわ。毎回毎回全ての弾幕を届かせない様にすると言うのは厳しいでしょうし」

気にしていない言った様な台詞を返す。
さて、状況が始まりの頃と似た様な感じになった中、

「……よし、やり方を変えよう。俺が突っ込むから、俺を巻き込む勢いで弾幕を放ってくれ」
「……少しやり方を変えましょうか。私が突っ込んだら弾幕を放って頂戴。私を巻き込む様な勢いでね」

霊児とレミリアは似た様な事を言いながら正面へと突っ込んで行った。
言われた事に魔理沙とパチュリーは驚くも、直ぐに言われた通りの弾幕を放つ。
背後から迫って来る弾幕を霊児とレミリアはまるで見えているかの様な動きで避け、武器を持っていない方の手で正面から来ている弾幕を弾く。
その後、霊児とレミリアは激突し、

「背後を見ずに、良く背後から迫って来る弾幕を避けれたわね」

軽く体を動かして背後から迫る弾幕を避けつつレミリアは霊児にそう声を掛ける。

「魔理沙とは付き合いが長いからな。何となく、何処に弾幕が来るか分かるんだよ」

掛けられた声に霊児はそう答えながらパチュリーの弾幕を右手で弾き、

「そう言うお前こそ、背後から迫って来ている弾幕を後ろを見ずに避けてるじゃないか」

後方斜め上空に移動して魔理沙の弾幕を避け、同じ様な事を聞き返す。

「あら、私だってパチェとの付き合いは長いのよ。パチェの弾幕が何処に来るか位、分かるわよ」

聞き返されたレミリアは左手で魔理沙の弾幕を弾き、霊児を追い掛けながらパチュリーの弾幕を避けれた理由を説明した。
要するに、付き合いが長いが故に二人は背後のパートナーが放つ弾幕を避けれたと言う事である。
と言う様な感じで魔理沙とパチュリーが繰り出す弾幕の中で霊児とレミリアの二人は激突と離脱を繰り返していく。
そんな戦い方を繰り広げ始めてから幾らか経った頃、霊児とレミリアはその繰り返しを止めて自分達のパートナーの傍へと戻る。
自分達の傍に戻って来たパートナーを見た魔理沙とパチュリーが弾幕を放つのを止めた時、

「さて、良い感じに体も温まって来たわね」

体が温まって来たと言う台詞と共にレミリアは軽く左肩を回す。
どうやら、今までの戦いはレミリアに取って準備運動みたいなものであった様だ。
とは言え、それは霊児も同じ。
レミリアが発した台詞に霊児は驚く事も無く、

「なら、もっと苛烈に攻めて来るのか?」

構えを取り直しながら霊児はそう尋ねる。

「そうね……なら、リクエストに応えましょうか」

尋ねられたレミリアはそう言って姿を消す。
消えてしまったレミリアに一切動揺せずに霊児は右隣に短剣を持って行く。
すると、持って行った短剣の腹に真紅の槍の先端が激突していた。
当然、真紅の槍を短剣に激突させたのは、

「この速さでも反応して来るか」

レミリア・スカーレットである。
どうやら、一瞬で霊児の右側に回り込んで攻撃を仕掛けた様だ。
ともあれ、今の速さにも余裕で反応した霊児にレミリアが僅かに驚いている間に、

「そこ!!」

魔理沙がレミリアに向けてレーザーを放つ。

「おっと」

放たれたレーザーを避けながらレミリアは霊児から距離を取り、

「魔理沙、貴女も反応出来ていたのね。まぁ、霊児と共に戦ってる位だから反応出来て当然か」

魔理沙も反応出来た事に少し驚くも、霊児と共に戦っていると言う事で直ぐに納得した表情を浮かべる。
納得した表情を浮かべているレミリアに、

「これでもスピードには自信が有るからな。それ位なら、反応出来るぜ」

得意気な表情を浮かべた魔理沙がそう宣言する。
された宣言を耳に入れつつ、

「パチェ」

パチュリーの名をレミリアは呼ぶ。
自身の名を呼ばれたパチュリーは霊児と魔理沙を視界に入れ、

「了解」

了解と言う言葉と共に魔法の詠唱を始めた。
パチュリーが始めた詠唱を聞いた霊児と魔理沙が身構えた刹那、二人の頭上から雷が降り注いだ。
降り注いだ雷を避ける為、霊児と魔理沙が左右に別れて回避行動を取る。
その直後、霊児と魔理沙の間に分厚い炎の壁が現れた。
行き成り現れた炎の壁に霊児が驚くと、

「今度は私の相手をして貰うわよ」

パチュリーはそう宣言しながら霊児に向けて風の塊の弾幕を放つ。
放たれた弾幕を避けつつ霊児はパチュリーの方に顔を向け、

「成程、選手交代か」

レミリアとパチュリーの狙いに気付き、炎の壁の向こう側に耳を傾けてみる。
耳を傾けた結果、魔理沙とレミリアの間で戦いが繰り広げられている事が分かった。
常時接近戦を挑まれ続けると言う事態にならなければ魔理沙が負ける事は無いだろうと思いつつ、

「……いくぜ」

パチュリーの弾幕を掻い潜りながら霊児はパチュリーとの距離を詰め、

「しっ!!」

短剣を振るう。
振るわれた短剣はパチュリーに当たる事は無く、パチュリーが展開した魔力障壁に阻まれてしまった。

「やっぱ防ぐか」

振るった短剣が防がれてしまった事に霊児は特に驚いたりはせず、少しパチュリーから距離を取る。
自分から距離を取った霊児を視界に入れた儘、

「ま、それ位はね」

シレッとした表情でパチュリーはそう口にしながら霊児の前後左右に竜巻を発生させた。
発生した竜巻は円を描く様な軌道を取りながら霊児へと迫って行く。
迫り来る竜巻を見た霊児は居合いの様な構えを取り、四つの竜巻が自身の間合いに入った瞬間、

「ッ!!」

構えた短剣を振るいながら霊児は体を回転させて迫って来ていた四つの竜巻を斬り裂いた。
斬り裂かれた竜巻を見て、

「竜巻を斬り裂くとは……ほんと、出鱈目ね」

何処か呆れた様な表情をパチュリーは浮かべ、

「なら……これならどう?」

今度は水の塊を弾幕として放ち始める。
放たれているのが水の塊と言う事は、斬り捨てても水の雫が撒き散らされると言う事。
パチュリーならば撒き散らされた雫に何かしらの仕掛けを施している可能性は高い。
であるならば、斬り捨てると言う様な行為は避けた良いと考えた霊児は水の塊を斬る事はせずに避けていき、

「なら……」

弾速の速い弾を何発か放つ。
放たれた弾は水の弾幕を掻い潜りパチュリーに迫って行く。
弾速が速くとも狙いは単純であった為、余裕が感じられる動きでパチュリーは霊児の弾を避ける。
しかし、弾を避けている途中で、

「……ん?」

弾ではないものが飛んで来た事にパチュリーが気付き疑問を抱いた直後、

「なっ!?」

身に危険が迫ったら自動で展開される魔力障壁がパチュリーの真横に現れ、展開された魔力障壁と一緒にパチュリーは吹っ飛んで行ってしまう。
何故、パチュリーは吹っ飛んでしまったのか。
答えは簡単。
弾と一緒に霊児は短剣を投擲して、パチュリーが短剣を避けたのと同時に二重結界式移動術を発動して投擲した短剣に跳ぶ。
そして、投擲されていた短剣を掴むのと同時に振るってパチュリーを吹き飛ばした言う訳である。
さて、パチュリーを吹き飛ばした霊児は炎の壁に目を向け、

「……そこだ」

炎の壁に向けて再び短剣を投擲した。
投擲された短剣が炎の壁を越えたのを感じ取った霊児は直ぐに二重結界式移動術を発動させる。
すると、突っ込む体勢を取っていたレミリアの隣に霊児は現れ、

「なっ!?」

行き成り現れた霊児にレミリアが驚いている間に、霊児は投擲した短剣を掴みながらレミリアを蹴り飛ばす。
蹴り飛ばされたレミリアは直ぐに急ブレーキを掛けて停止し、体勢を立て直した刹那、

「ごめん、レミィ。彼を抑え切れなかったわ」

転移魔法でレミリアの隣に現れたパチュリーがその様な謝罪を行なう。

「気にしなくても良いわ、パチェ。私も魔理沙を仕留められなかったし」

行なわれた謝罪にレミリアはそう返しながら霊児を視界に入れ、

「それにしても……今のが二重結界式移動術……か。咲夜から話だけは聞いていたけど……話以上ね」

二重結界式移動術に簡単な評価を零す。
零された評価が耳に入ったからか、

「ええ。全くタイムラグが無い移動術何て、私でも出来ないわ」

パチュリーも二重結界式移動術を評価する発言を呟く。
その後、

「それに……魔理沙もそれ相応の実力を有しているわね。パチェが事在る事に図書館から本を持って行かれるのも解るわ」

魔理沙に対する評価もレミリアは述べた。

「……忌々しい事にね。魔法使いとしての力量は間違い無く私の方が上なのに、あのパワーのせいで後れを取る多いし」

述べられた事を受けたパチュリーは悔しそうな表情になりながらそう語り、

「それはそれとして、どうする? この儘小競り合いを続けても勝敗は決しないと思うけど」

これからどうするかと言う事をレミリアに問い掛ける。

「そうね……」

問われたレミリアは真紅の槍を消しながら右手を懐に入れ、

「これを使いましょうか」

入れた懐からスペルカードを取り出し、取り出したスペルカードをパチュリーに見せる。

「そのカードを使うの。なら、私はこのカードを使わせて貰うわ」

見せられたレミリアのスペルカードを見て、パチュリーはそう良いながら目の前にスペルカードを出現させた。
二人がスペルカードを取り出したのを見た霊児と魔理沙が用心したかの様に身構えた時、

「神罰『幼きデーモンロード』」
「土金符『エメラルドメガロポリス』」

レミリアとパチュリーはスペルカードを発動する。
スペルカードが発動すると霊児達とレミリア達の間に二列に並んでいる光球が幾つも出現した。
霊児達から見て奥側の光球から手前側の光球に向けてビームが放たれ、手前側の光球から二方向に向けてビームが放たれる。
手前側の光球が放ったビームにこの儘では当たってしまうので、霊児と魔理沙は回避行動を取った。
が、回避行動を取った矢先にレミリアからも攻撃が放たれる。
放たれた攻撃と言うのは広範囲に放たれる無数のビーム、同じく広範囲に放たれる大小の二種類の弾幕。
レミリアの攻撃が濃い事もあって霊児と魔理沙が回避行動に徹している中、

「ッ!!」
「うお!!」

突如、真下から半透明のエメラルド色をした長方形の石碑の様なものが幾つも飛び出して来た。
真下からその様なものが飛び出して来た事で回避先が潰されてしまった為、

「づ!!」
「あだ!!」

二人は何発か被弾してしまう。
しかし、反射的に距離を取って高度を上げると言う行動を取った事で霊児と魔理沙は立て続けに被弾すると言う事態を避けられた。
回避以外の方法を取れずにいた霊児は、

「二人が発動したスペルカード……上手い具合に補い合ってるな」

二人が発動したスペルカードに対する感想を漏らす。
レミリアの発動したスペルカードだけなら地上に降りて本棚を盾にすると言う方法が取れる。
逆にパチュリーの発動したスペルカードだけなら高度を上げれば対処可能。
一つ一つであれば抜け道が在るのに同時に使えばその抜け道も無くなる。
そんな感想が出て来るのも当然と言えるだろう。
ともあれ、この儘では回避し続けるしか取れる方法がないからか、

「なぁ、霊児。あれを使わないか」

霊児の傍に来た魔理沙があれを使おうと言う提案をして来た。
された提案を受けた霊児は少し考え、

「……そうだな。スペルカードの時間切れが来るまで待つって言うのも芸が無いし、やるか」

魔理沙からされた提案を受ける事を決め、懐に手を入れる。
それを見た魔理沙も右手を懐に入れて、左手でミニ八卦炉を掴み霊児の背後に回り込む。
二列に並ぶと言う陣形を取った霊児と魔理沙は比較的弾幕が薄い場所に移動し、レミリアとパチュリーの方に体を向けて停止して、

「「爆裂『超星開闢』」」

懐からスペルカードを取り出したのと同時に、取り出したスペルカードを発動した。
すると、霊児は右手を拳銃の形にしてレミリアとパチュリーに狙いを付ける。
その間に魔理沙は霊児の背中に密着しながら両手を伸ばす。
伸ばした両手で霊児の右手を掴み、ミニ八卦炉を霊児の右手の人差し指の先に浮かび上がらせた。
そして、霊児の右手、魔理沙の両手、ミニ八卦炉が光輝き始める。
輝き始めたそれ等を見て嫌な予感がしたレミリアはビームの狙いを霊児と魔理沙に集中させた。
狙いを集中させた事でビームは次から次へと霊児と魔理沙に命中していく。
が、幾らビームが命中しても二人はビクともしなかった。
しかも、光の輝きはどんどんと強くなっていっている。
これ等の事から攻撃を止めて回避する準備をした方が良いかとレミリアが思った瞬間、ミニ八卦炉からエネルギー状の超巨大な弾が放たれた。
放たれ、迫り来る超巨大な弾を見たレミリアとパチュリーは、

「「ッ!!」」

反射的にスペルカードの発動を止めて回避行動に入る。
それから数瞬後、レミリアとパチュリーが居た場所にまで来た超巨大な弾は大爆発を起こす。
発生した爆発に当てられた事でレミリアとパチュリーが体勢を崩してしまった刹那、爆発した地点から大量の弾幕がばら撒かれ始めた。
体勢が崩れ、爆発に当てられて移動も儘ならないと言う状態であったせいで二人はばら撒かれた弾幕を次々とその身に受けてしまう。
被弾し始めてから少し経った頃、レミリアとパチュリーは地面に墜落してしまう。
墜落してしまった二人が直ぐに立ち上がろうとしたタイミングで、

「どうする? 続けるか?」
「動くと撃つぜ」

レミリアとパチュリーの背後に回っていた霊児と魔理沙が二人にそう宣告した。
霊児は短剣を、魔理沙はミニ八卦炉を突き付けながら。
二人から感じられる雰囲気から、何か行動を起こす前に攻撃される事を察したレミリアとパチュリーは、

「……はぁ、降参」
「降参よ」

降参すると言う宣言を行なう。
こうして、二対二の弾幕ごっこは霊児と魔理沙の勝利に終わった。






















さて、弾幕ごっこが終わった後、

「やれやれ、また土を付けられてしまったわね」

愚痴の様なものをレミリアは零しつつ、

「それで、私の疑いは晴れたのかしら?」

霊児にそう尋ねる。

「ああ、戦っていてお前が犯人って感じはしなかったからな」

尋ねられた霊児がそう答えると、

「何だ、外れだったのか」

がっかりとした感じで魔理沙は肩を落とした。
そんな魔理沙を見ながら、

「最後に放ったあれ。魔力と霊力を混ぜ合わせたものね」

霊児と魔理沙が最後に放ったものが何なのかと言う事をパチュリーは口にする。
パチュリーが口にした事を受け、

「半分正解って感じだな。霊児の霊力で構成された弾を10とすると、私はその弾に5の魔力を融合させた。で、残りの5の魔力をその弾に混ぜ
合わせたんだ」

何処か得意気な表情を浮かべながら最後に放った攻撃に付いて魔理沙は簡単に説明した。

「……成程。あの弾の輝き様は魔力と霊力を融合させたから。途中で破裂したのは、反発し合うレベルで魔力と霊力を混ぜ合わせたから……か。となると、あの弾幕は……」

された説明から自分なりの考察をパチュリーが組み立てていっている中、

「それにしても、二人で一つのスペルカード……か。ねぇ、パチェ。私達も二人で一つのスペルカードを作ってみない?」

レミリアがパチュリーにそんな提案を行なう。
された提案を聞いたパチュリーは一旦考察するのを止め、

「……そうね。また組んで戦う事が在るかも知れないし、その時に備えて作って置きましょうか」

二人で一つのスペルカード作ると言う提案を受け入れる発言を口にした。
その後、

「それはそれとして、ここに来たもう一つの目的を果たそうぜ。どの本から調べる?」

話を変えるかの様に魔理沙がどの本から調べるかと言う事を霊児に聞く。
聞かれた霊児は少し考え、

「……結界、幻術、思考誘導、精神の乗っ取り。この辺りの本だな」

調べるべき本に付いて霊児は語る。

「ふむ、悪くは無いわね」

語られた内容を耳に入れたレミリアはそう呟き、

「パチェ」

パチュリーの方に体を向ける。
レミリアが体を向けた先に居るパチュリーは、椅子に腰を落ち着かせテーブルの上に置かれている紅茶を飲もうとしていた。
どうやら、弾幕ごっこが始まる前に避難させていた物を戻していた様だ。
ともあれ、レミリアが言わんとしている事が解った為、

「仕方が無いわね」

仕方が無いと言った表情になりながらパチュリーは指を鳴らす。
すると、幾つかの本棚の上に光球が現れた。
現れた光球に霊児と魔理沙の目が向かった瞬間、

「あの光球の下に在る本棚に、貴方が上げた内容の本が収められているわ」

そう言ってパチュリーは紅茶を飲み直す。
これで本を探す手間が省けた事もあり、

「それじゃ、さっさと調べに行こうぜ」
「だな」

魔理沙と霊児は早速と言った感じで光球の下に在る本棚を目指して移動を始めた。
移動して行った二人が見えなくなった後、

「……やっと、静かになったわ」

静かになったと言う発言をパチュリーが零すと、

「あら、さっきまでの弾幕ごっこ。パチェも結構楽しんでいたじゃない」

その様な事を言いながらレミリアは椅子に腰を落ち着かせる。

「……ま、否定はしないわ」

言われた事にパチュリーはそう返し、

「それはそれとして、今はのんびりとしたティータイムを過ごしたいわ」

自らの主張を述べる。

「そうね。なら、のんびりとティータイムの時間を過ごしていきましょうか」

述べられた事にレミリアは賛成の意を示して紅茶を飲み始めた。





































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