「ん……」
龍也は目を開き、上半身を起こして周囲を見渡す。
周囲を見渡すと、今居る場所が何所かの部屋の中でる事が分かった。
それが分かると龍也は視線を落として自分の格好を見る。
そして、
「……ああ」
龍也は思い出す。
紅魔館に泊まっていた事を。
着慣れない格好なのに良くぐっすり寝れたなと龍也は思いながらベッドから降り、体を伸ばし始める。
体を伸ばし始めてから少しすると、
「……ん?」
ドアをノックする音が聞こえて来た。
龍也は誰だろうと思いつつ、
「はい」
返事をする。
すると、
「おはよう」
ドアが開かれるのと同時に咲夜が朝の挨拶をして来た。
どうやら、ドアをノックした者は咲夜であった様だ。
咲夜の存在を認識したのと同時に、
「おはよう」
龍也も挨拶を返す。
そのタイミングで、
「はい、これ」
咲夜は龍也に包みを手渡して来た。
「何だこれ?」
「開いてみれば分かるわ」
咲夜にそう言われたからか、龍也は手渡された包みを受け取って近くにあったテーブルに置いて包みを開く。
開いた包みの中には、
「俺の学ラン……」
包みの中から龍也が着ていた学ランが出て来る。
そう言えば咲夜に洗濯を頼んでいた事を思い出しながら龍也は学ランを広げた時、
「あ、直ってる」
破れたりボロボロになっていた場所が綺麗に修繕されている事が分かった。
「咲夜が?」
自分の学ランを直したのは咲夜かと思い、龍也が咲夜に視線を向けた瞬間、
「ええ、あまりにも酷かったから私が修繕して置いたわ」
咲夜は自分が修繕したと言う。
「ありがとな」
龍也が学ランを修繕してくれた事に礼の言葉を述べる。
述べられた礼に、
「別にそれ位、構わないわ」
咲夜は別に礼を言われる程の事ではないと返し、
「着替え終わった物はそこに置いておいて」
テーブルの上へと指をさす。
「分かった」
「それと、朝ご飯はどうする? 食べていく?」
咲夜に朝ご飯を食べていくかと尋ねると、
「んー……」
龍也は少し考え、
「食べてく」
食べていく事を決める。
紅魔館でご飯を食べていく事を龍也が決め事で、
「そう。なら和食と洋食と中華のどれが良い?」
咲夜は和食、洋食、中華のどれが良いかを尋ねて来た。
それを聞いた龍也は紅魔館では洋食しか食べてなかったなと思い、
「んー……和食で」
和食が食べたい事を咲夜に伝える。
「和食ね。食堂まで案内した方がいい?」
「いや、多分大丈夫だ」
龍也が案内は不要だと言う事を伝えた刹那、
「分かったわ。貴方が来る頃にはもう食べれる様にして置くから」
咲夜は食事の準備をしておく事を伝え、音も無く消えた。
急に消えた事から、龍也は若しかしてこれから作るのではと考える。
咲夜の発言から既に下拵えなどは済ませている様に感じられるが、紅魔館に住んでいる者の数が数だけに時間が掛かるのだろう。
それならば少しゆっくり行った方が良いかなと龍也は思った。
急いで行って焦らせるのもあれだ。
そう考えながら龍也は今着ている服を脱ぎ、何時もの学ランへと着替え始める。
着替えを済ませた龍也は泊まっていた部屋を後にし、のんびりとしたペースで食堂へと向かって行く。
歩き始めてから暫らくすると、食堂へと続く扉の前に辿り着く。
扉を開け、食堂の中を少し歩くと、
「お……」
和食が並んでいるテーブルを発見した。
これが自分に用意された食事だなと龍也は思い、椅子に座って食事を取り始める。
咲夜は何でも作れるんだなと思いながら龍也は食事を進め、お茶碗に入っているご飯を全部食べたところである事に気付く。
気付いた事と言うのは、紅魔館の様な西洋風の屋敷で和食はかなりシュールではないかと言う事だ。
こんな事なら洋食にして置けば良かった龍也は思いつつ、今度から紅魔館でご飯を食べる時は洋食にし様か考え始めた時、
「おかわりはいる?」
咲夜がおわかりはいるかを尋ねて来た。
何時の間に近くに来たのと龍也は内心で驚くも、
「いる」
おかわりがいる事を伝える。
すると、
「はい、どうぞ」
お茶碗の中が真っ白いご飯で一杯になっていた。
「ああ、ありがとう」
取り敢えず今は食事を取る事が先決だと思い、龍也は箸を進めていく。
食事を取り終えた後、
「そーいや、魔理沙とアリスは?」
龍也は咲夜に魔理沙とアリスはどうしているのかを尋ねる。
龍也が尋ねた事に、
「魔理沙はまだ寝てるわ。アリスはパチュリー様の所ね」
咲夜は快く答えてくれた。
魔理沙は兎も角としてアリスがパチュリーの所に行ったのは図書館の利用の許可を求める為だろうと龍也は考える。
アリスはパチュリーの図書館に興味があったから嫌な顔一つせずに龍也達の手伝いをしてくれた様なものなのだからこの考えは間違ってはいないだろう。
取り敢えず二人の事が分かったからか、
「レミリアとフランドールは?」
今度はレミリアとフランドールの事に付いて尋ねる。
「お二人とも数時間程前にお休みになられました」
「こんな時間に?」
日が上り始める少し前位の時間帯に眠り始めた二人に龍也は疑問を覚えるが、
「お嬢様も妹様も吸血鬼よ」
咲夜が二人とも吸血鬼であると発言すると、
「ああ……」
龍也は納得した表情になった。
吸血鬼であるレミリアとフランドールの本来の活動時間は月が空を支配する時間帯。
それならばこの時間帯に寝ている事には何の不思議もないであろう。
「一応、お嬢様も妹様も朝方に活動される事もあるけどね」
咲夜は補足する様にレミリアとフランドールが朝方に活動する事を言い、
「それで、貴女はこの後どうするの?」
龍也にこの後どうするのかを聞く。
「そうだな……そろそろ出発しようと思う」
聞かれた龍也は少し考えた後、出発すると言う旨を伝えると、
「分かったわ。それなら門まで案内するわね」
咲夜は門まで案内すると言い、歩き出す。
それを見た龍也は席を立って咲夜の後に付いて行く。
門に着くまで雑談を交わしながら。
「色々と世話になったな。ありがとな」
紅魔館の大きな門の前に着くと、龍也は咲夜に改めて咲夜に礼を言う。
その礼に、
「別に大した事ではないわ。お客様を持て成すのメイドの仕事だしね」
咲夜はその程度の事は大した事では返す。
咲夜が本気で大した事は無いと思っている事に気付いた龍也は表情を戻し、
「それじゃ、レミリアとフランドールとパチュリーと小悪魔と……序に魔理沙とアリスにもよろしく言って置いてくれ」
紅魔館に居る者達によろしく言って置く様に頼む。
「分かったわ」
咲夜が了承の返事を言うと、
「じゃ、またな」
龍也は紅魔館を後にし様とした瞬間、
「……あ、待って」
咲夜は何かを思い出したかの様に龍也を呼び止めた。
それに反応した龍也は足を止めて咲夜の方に振り返り、
「どうした?」
どうかしたのかと尋ねた刹那、
「お嬢様からこれを貴方に渡す様に言われていたのを思い出したのよ」
咲夜はポケットの中に入れていた物を取り出して龍也に手渡す。
手渡された物を受け取った龍也の目には、
「これは……懐中時計か」
紅い色をした懐中時計が映った。
この懐中時計には細くて長い紅い色をした鎖が付いており、表面に何やら紋様が刻まれている事が分かる。
刻まれている紋様はスカーレット家の家紋か何かであろうか。
相当高価な物だなと龍也は思いつつ蓋を開けると、針が確りと時間を刻んでいるのが分かった。
一通り懐中時計を確認した後、龍也は懐中時計をの蓋を閉じ、
「何でレミリアはこれを俺に?」
何故これを自分に渡したのかを尋ねる。
懐中時計を渡される理由が分からなかったからだ。
「妹様が貴方の腕時計を壊してしまったお詫びに、との事よ」
咲夜が龍也の疑問に対する答えを言った事で、
「……ああ」
龍也は懐中時計を渡された理由を納得したのと同時にフランドールに腕時計を壊された事を思い出す。
壊されたと言っても戦いの最中に壊われたので不可抗力の様なものだが。
まぁ、時計自体は安物であったしフランドールもその事に付いて謝ってくれたので龍也は気にはしていなかったが。
それに壊されたと言っても完膚無きまでに壊されたと言う訳では無い。
少しは無傷で残ったパーツなどがあったのだ。
そのパーツは財布の中に仕舞っており、そのうち香霖堂に売りに行こうと龍也は考えている。
自身の腕時計が壊れた経緯を思い出した後、
「本当にこれ、貰ってもいいのか?」
龍也は改めてこの懐中時計を貰っても良いのかと改めて尋ねると、
「ええ、お嬢様も貴方が受け取ってくれる事を望んでいるわ」
咲夜はレミリアも望んでいる事なので受け取って欲しいと言う。
そこまで言われたのなら受け取らない方が悪いと龍也は思い、受け取る事を決めて咲夜に背を向ける。
そしてベルトを少し緩め、ベルトに懐中時計に付いている鎖を括り付けていく。
括り付け終わると懐中時計をズボンの右ポケットの仕舞ってベルトを締め直し、咲夜の方に振り返ったタイミングで、
「後、その懐中時計は非常に頑丈に出来ていて一寸やそっとの事じゃ掠り傷の一つも付かないとお嬢様が言っていたわ」
咲夜はその懐中時計は非常に頑丈に出来ていると言う事を口にする。
「へー……」
咲夜の言葉を聞いた龍也は仕舞った懐中時計を取り出して感触を確かめる様に触れていく。
取り敢えず凄く硬いと言う事は分かったが、何の素材で出来ているかは分からなかった。
なので、
「オリハルコンみたいな物で出来てるのか?」
龍也は適当にオリハルコンで出来ているのかと呟く。
すると、
「お嬢様はかなり自信有り気な様子でそれを貴方に渡せと仰られていたので、オリハルコンよりも頑丈な物であると思うわ」
咲夜はオリハルコン以上の物で出来ているだろうと口にする。
「あるの!? オリハルコン!?」
咲夜がオリハルコンは存在すると言ったからか、龍也は思わず驚きの表情を浮かべてしまう。
オリハルコンはゲームや漫画と言った媒体にしか存在しない架空の物であると思っていたからだ。
「あるわよ、オリハルコン」
咲夜が返す様にオリハルコンは在ると言った事で、
「……まぁ、普通に考えればあるよな」
龍也はオリハルコンが存在していても不思議では無いなと思い始める。
何せ、この幻想郷には架空の存在とされている妖怪やら魔法使いやら吸血鬼やら霊能力者と言った存在などが普通に存在しているのだ。
架空とされている金属が存在していたとしても何の不思議は無い。
尤も、龍也もその架空の存在に仲間入りしているのだが。
兎も角、懐中時計に使われている金属は香霖堂に行った時に霖之助にでも聞こうと龍也は思い、
「それじゃ、またな」
ポケットの中に懐中時計を仕舞い直し、改めて紅魔館を後にすると言う。
「ええ、また来なさい。何時でも歓迎するわ」
咲夜に見送られる様にして龍也は門を抜けて紅魔館の敷地外に出ると、
「あ、美鈴」
美鈴の姿を見付ける。
同時に、
「あ、起きてたんだ。珍しい」
龍也は美鈴が起きている事が珍しいと言う事を呟く。
そんな龍也の呟きが聞こえたからか、
「そんな起きてる方が珍しいみたいな言い方しないでくださいよー」
美鈴は手を振りながら抗議を行う。
「悪い悪い」
龍也がそう軽く謝ると美鈴は落ち着きを取り戻し、
「もう、紅魔館が出ていかれるのですか?」
龍也に紅魔館から出て行くのかと尋ねる。
「ああ、そろそろ本格的に幻想郷中を回って様と思ってたからな」
龍也はそう言い、元々そう言う目的があったしこれ以上世話になるのもあれだしなと続けた。
「そうですか……また、いらしてくださいね」
美鈴は少し残念そうな顔をしながらも、龍也にまた来る様に口にする。
「ああ、また来るよ」
龍也はまた来る事を美鈴に伝え、紅魔館を後にした。
紅魔館が見えなくなった所まで来ると、
「…………あ」
龍也はある事に気付く。
気付いた事と言うのは図書館で目的の本を読んでいないと言う事だ。
フランドールと戦い、パチュリーが見張っている中で本棚の製作などを行っていた事で本を読むと言う目的をすっかりと忘れてしまっていた様だ。
だからと言って、今から紅魔館に引き返して本を読ませて貰うと言うのもあれだ。
余りにも格好悪過ぎる。
どうするべきか龍也は少し考え、
「また今度にするか」
本を読むのはまた今度にする事に決め、再び足を進め始めた。
紅魔館を出て幾日か過ぎた頃。
龍也は初めてのサバイバル生活に苦戦気味であった。
特に食べ物を集める事が。
龍也も最初はその辺に生えている茸を食べ様と思ったが、直ぐにある事に気付く。
気付いた事と言うのは自分が碌に茸の知識を持ち合わせていないと言う事に。
これで毒茸を食べ様ものなら目も当てられない。
なので、龍也は茸を諦めて木の実や魚を食べ様とした。
だが、木の実が生えている木や魚が住んでいる川などが中々見付からずに難儀する事になる。
食べ物を見付けるだけでも一苦労だったので、龍也は少々サバイバル生活を甘く見ていたなと少し反省した。
これだけならまだ良かったのだが、もう一つ非常に厄介な事があったのだ。
それは、寝る時の事である。
焚き火を着け、少しウトウトとしていたら龍也は妖怪に襲われたのだ。
無論、直ぐに返り討ちにしたが普通に寝る事は不可能と言う事を理解した。
なので、龍也は玄武の力を使って土で出来た簡易的な家を作ってそこで寝ると言う方法を取っている。
そんなこんなで色々と大変ではあるが、龍也なりに幻想郷での生活を楽しみながら日々を送っている様だ。
龍也が少し前の事を思い返しながら歩いている時、
「……ん?」
龍也の目の前を何かが通り抜ける。
それが気になった龍也は一旦立ち止まって通って行ったものを目で追うと、
「紅葉か……」
通っていたものは紅葉である事が分かった。
紅葉が地面に落ちた後、周囲を見渡すと木々の葉が紅やら黄に染まっているのが龍也の目に映る。
だからか、
「もう秋か……」
龍也はもう秋になったのかと感じながら少し感慨深い気分になりながら再び足を進めて行く。
再び足を進ませてから暫らくすると、
「あれは……煙か?」
何やら煙が上がっているのを発見する。
火事かと思った龍也は煙が上がっている方向へと近付いて行く。
近くにまで来ると、落ち葉が燃えている事が分かる。
更にその近くには肩口付近で揃えられた橙色に近い髪の色を二人の少女の姿が見え、二人の少女のうちの一人は変った帽子を被っていた。
こんな所で落ち葉に火を着けて何をしているのか気になった龍也は、
「何やってるんだ?」
二人の少女に何をしているのか尋ねる。
声を掛けられた二人の少女は龍也の存在の気付き、
「あ、人間こんな所にいるとは珍しい」
帽子を被ってる方の少女がこんな所に人間が居る事は珍しいと言う。
そんな少女の言葉から、
「俺の事を人間って言う事は……お前達妖怪か?」
龍也は妖怪なのかと尋ねる。
すると、
「違います。私達は神です」
帽子を被っていない方の少女が自分達は神だと言う主張を行った。
「神……?」
龍也は疑問気な表情をしながら二人の少女を見る。
「信じられない?」
龍也の表情から帽子を被っている少女が自分達が神である事が信じられないかと問うた瞬間、
「いや、神様って二人も居るのかなって思ってさ」
龍也は疑問に思っている事をそのまま口にした。
「あー……そう言う事。そんな事を言うって事は貴方外来人?」
龍也の発言を聞いて二人の少女は納得した表情になり、帽子を被った方の少女が龍也に外来人であるかを尋ねる。
「ああ、そうだ」
龍也が外来人である事を肯定したタイミングで、
「ふーん……」
帽子を被っている少女がジロジロと龍也を見て、
「こんな所まで来れるって事はそれなりの力はあるみたいね。それが外来人であると言うのは凄く珍しいとは思うけど」
力のある外来人は珍しいと言う。
その後、
「それで貴方が疑問に思った事ですけど、八百万の神々と言いますから神は沢山居るんですよ」
帽子を被っていない少女が龍也の疑問に対する答えを述べる。
「へー……」
龍也は意外な真実を知った事で驚きの声を漏らす。
まぁ、神様は一人だけだと思っていたのだから仕方が無いのかもしれない。
因みに龍也が抱いている神様のイメージは白髭を生やし、頭にワッカを付けた老人だ。
こんな事なら幽香にもう少し幻想郷の事を聞いて置けば良かったと龍也が考えていると、
「あ、自己紹介がまだだったわね、私は秋穣子。豊穣の神よ」
「私は姉の秋静葉。紅葉の神です」
二柱の少女が自己紹介を行う。
帽子を被っている方が穣子で、被って無い方が静葉と言うそうだ。
自己紹介されたからか、
「俺は四神龍也だ」
龍也も自分の名を二柱に名乗る。
その後、三人は適当に雑談をしていく。
雑談をしている中で、静葉と穣子の二柱は妖怪の山の住んでいる話が聞けた。
二柱は秋以外の季節は妖怪の山に居る事が殆どであるが、秋になるとテンションが上がって色々な所に行っているそうだ。
テンションが上がったりするのは秋の神様であるからであろうか。
そんな話を静葉と穣子の二柱から聞いた後、話しに出て来た妖怪の山がどんな所か聞いてみた。
妖怪の山は天狗を中心をしたコミュニティで天狗社会と言われているとの事。
天狗社会と言っても他にも河童や神、その他妖怪達が数多く住んでいる様だ。
そのうち妖怪の山に行ってみるかと言う事を龍也が口にすると、静葉と穣子の二柱からそれは止めた方が良いと言われる。
理由を聞くと、何でも妖怪の山は人間の入山は禁止だからだそうだ。
天狗達から許可を貰えれば話は別だが、無理に押し入れば天狗と敵対する事になると言う。
無闇に敵を作る必要は無いので、龍也は妖怪の山に入る事は止める事にした。
話が一段落着くと、
「そろそろ焼けたかな?」
穣子が落ち葉に突っ込んでいた木の棒を取り出す。
穣子が取り出した木の棒の先には焼き芋が付いていた。
どうやら、焼き芋を作っていたようだ。
少し考えれば分かりそうな事ではあるが。
「貴方も食べる?」
穣子は焼き芋を龍也に差し出しながら食べるかと尋ねる。
少し空腹感を感じていた龍也は、
「いただきます」
それ受け取って食る事にした。
「……美味い」
焼き芋を口にした龍也は、焼き芋とはここまで美味しい物なかと感心した表情になる。
「でしょでしょ!!」
龍也の感想を聞からか、穣子のテンションが上がっていく。
「やっぱり秋は良いわよね!! 食欲、読書、スポーツなど秋の季節というものが沢山あって!!」
「それに秋には美味しい食べ物が沢山食べれますしね!!」
穣子に続く様にして静葉のテンションも上がっていった。
秋の神様であるからか、秋に関する事が褒められて嬉しい様だ。
嬉しそうにしている静葉と穣子を見ながら龍也は焼き芋を食べ、雑談を交わしていった。
前話へ 戻る 次話へ