「えーと……餅餅……っと」

龍也は現在、餅を探して人里の中を彷徨っている。
何故餅を探しているのかと言うと、道中でばったり会った魔理沙から博麗神社で開かれる宴会のお誘いを受けたからだ。
正確に言うと忘年会と新年会を複合させた宴会であるのだが。
兎も角、参加しない理由は無かったので龍也は魔理沙に参加する事を伝えた後に買出しに来ているのだ。
買出しと言っても龍也が買おうとしているのは餅だけ。
何故かと言うと、龍也が魔理沙から宴会のお誘いを受けた時には既に宴会に参加するメンバーの役割分担などが殆ど決まっていたからだ。
で、その中で空いていた餅の買出し係に龍也が任命された。
なので、龍也はこの時期の主食となるであろう餅の買出しに専念している。
人里で餅の買出しを行う事になった経緯を思い返していると、

「お……」

餅を売っていそうな店が龍也の目に映った。
龍也は早速その店の中に入り、

「すみませーん、餅有りますか?」

餅が有るかどうかを尋ねる。

「餅でしたら三個残っていますよ」
「三個ですか……」

返って来た答えを聞き、龍也は少し落胆した表情を浮かべた。
まぁ、何所も彼処も忘年会と新年会の準備をしているのだ。
餅が品薄になっていても何の不思議は無い。
人里に入って直ぐに会った阿求が稗田家では何日も前から忘年会と新年会の準備をしていると言っていた事を龍也は思い出しながら、

「取り敢えず、三個全部ください」

残っている餅を全て買う事にした。

「毎度!!」

そして代金を払い、餅を受け取った龍也は、

「全然足りないな」

思わずそう呟いてしまう。
たった三個の餅では前菜処かおやつにも成りはしない。
三個だけの餅を持ち帰っても場を白けさせるだけに終わってしまう事が容易に想像出来たので、

「仕方無い、虱潰しに探すか」

龍也は人里の店を虱潰しに探す事にした。
餅の買出しが自分に任されている以上、龍也としては妥協する事は出来ない。
宴会に参加する人数から考えて、最低でもこの数十倍は欲しいと言うのが龍也の考えである。
中々に大変そうな買出しではあるが、

「……よし!!」

龍也は気合を入れ直し、餅が売っていそうな店を探す為に足を進めて行く。











「ああ、餅かい? 一個残ってるよ」
「ください」











「ごめんね。餅はもう売り切れだよ」
「そうですか……」











「餅かい? まだ十個程残ってるよ」
「ください!!」










「うーん……少々出来の悪いのなら五個程残っているよ」
「あー……それでも良いです」











「残念。さっきのお客さんが買ったので最後だよ」
「そうっすか……」










「一個だけなら残ってるよ」
「ください」











「ごめんね、うちは餅を売って無いんだ」
「あー……そうっすか……」











「餅? 一セット残ってるけど、買う?」
「買います!!」











「餅のお持ち帰りかい? 出来立てを食べで欲しいんだけど……まぁ、良いか。と言っても、三個程しか無いけど……買うかい?」
「買います」











「餅かい? それより坊や、やらないか?」
「やりませんし、さようなら。もう二度と来ません」











「餅なら後……五個程残っているよ」
「ください!!」











「餅ねぇ……君も僕と同じ外来人の様だし……同じ外来人の誼で食べ様と思ってた餅、二十個程売って上げるよ」
「ありがとうございます!!」





















「あーくそ、全然足りない……」

人里を色々と歩き回って得られた餅の数を確認し、龍也は思わずそう呟く。
それなりの数の餅は買う事は出来たが、それでも全然足りない。
この程度の数では、宴会を開始して一時間もしないうちに餅は消えてなくなってしまう事であろう。
龍也は餅を集めるのがここまで苦労するとは思わなかったと言う表情しながら、

「こんな事なら安請け合いするんじゃなかったな……」

安請け合いをするのではなかったと口にする。
とは言っても一度請け負った以上、何が何でもやり遂げねばならない。
一度そう口にしたのだから、やり遂げるのは龍也としてはある意味当然だ。

「……よし!!」

龍也はその様に決意を新たにし、気合を入れ直したものの、

「とは言ったものの……どうすっかな……」

残っている手は殆ど無い。
人里の中の店をもっと探せばまだまだ餅を売っていそうな店は見付かりそうではあるが、もっと纏まった数を確保出来なければ焼け石に水だ。
買う以外の方法では人里の民家に向かい、頭を下げて餅を譲って貰うと方法が有る。
誠心誠意頭を下げて頼めば何個かは譲ってくれそうではあるが、良心に訴える方法を取るのはかなり気が引けてしまう。
何か他に良い案が無いかと頭を捻らせるが、

「うーん……」

良い考えは浮かばなかった。
もう少しすれば日が暮れ始める時間帯になってしまうからか、龍也の表情に焦りの色が見え始める。
そんな中、

「……そうだ!!」

龍也はある事を思い付く。
思い付いた事と言うのは

「香霖堂だ香霖堂」

香霖堂の存在だ。
香霖堂には日用品と言った雑貨からマジックアイテム、果ては外の世界の道具まで置いてある。
これだけ品揃えが良ければ餅も置いてあるかもしれない。
しかし、

「……少々分の悪い賭けになるよな」

香霖堂に餅を探しに行くのは少々分の悪い賭けになる。
何故ならば、香霖堂で売っている物の殆どは飲食物以外の物であるからだ。
今日に限って都合良く餅を売っているのかと問われたら首を傾げてしまう。
かと言って、このまま人里で餅を集めに奔走しても大した数は集められるのかと問われたらこれまた首を傾げる事となるであろう。
香霖堂に餅を探しに行くか、それとも人里で餅を探すか。
どちらにするか少しの間考えた結果、

「……ま、行くだけ行ってみるか」

龍也は香霖堂で餅を買う事を決め、人里の出口へと向かう。
そして出口に着くと、龍也は空中に躍り出て香霖堂へと向かって行った。





















「到着っと」

香霖堂の目の前に降り立った龍也は一息吐きながら周囲を見渡し、

「はは、相変わらずだな」

思わずそんな言葉を漏らす。
本当に色々な物を拾っては店の前に並べているなと言う事を龍也は思いながら、香霖堂の扉を開いて中に入る。
中に入ると、

「霖之助さん、居ますかー?」

龍也はそう声を掛けながら店の奥へと足を進めて行く。
そしてカウンターの近くにまで来ると、

「ああ、龍也君か。いらっしゃい」

霖之助は龍也の存在に気付き、挨拶の言葉を掛ける。

「こんにちは、霖之助さん」

その挨拶に返す様に龍也が挨拶を行うと、

「また何か売りに来たのかな?」

霖之助は何かを売りに来たのかと問う。

「いえ、今日は欲しい物があって来たんです」

龍也は売りに来た事を否定し、欲しい物があるのだと口にする。

「欲しい物?」

霖之助が首を傾げると、

「ええ。餅って有りますか?」

龍也は餅が欲しいのだと言う。

「餅か……」

龍也の欲しい物を聞いた霖之助は少しの間考え込み、

「……あ、確かあれがあったな。少し待っててくれ」

何かを思い出した表情をした後、店の奥へと引っ込む。
それから少しすると、

「これならどうかな? 外の世界の餅なんだけど」

霖之助はダンボールを持って戻って来た。
霖之助の台詞から察するに、ダンボールの中に外の世界の餅が入っているのだろう。

「外の世界の餅ですか?」

霖之助の台詞に龍也は少し驚きつつも、ダンボールを開いて中身を確認していく。
少なくとも餅に黴が生えていたり腐っていると言った様子は見られない。
見た目は問題無いなと思った龍也は賞味期限が書かれている場所を探す。
書かれている賞味期限を見付けると、龍也は自分が幻想入りした年を思い出し、

「……若しかして、これ外の世界で結構最近に作られた物かもしれないですね」

この餅はここ最近に製造された物ではないかと呟く。
龍也の呟きを聞いた霖之助は、

「そうなのかい? それならば何故これが幻想入りをしたのだろうか……?」

霖之助はそう言いながら考え込む。
ここ最近作られた物であるならば、別段忘れ去られる物ではないと思ったからだ。
何らかの要因があって幻想入りしたのではと霖之助が考えていると、

「若しかすると作ったはいいけど出荷されずに放置され、そのまま忘れ去られた可能性がありますね」

龍也は自分の考えを口にする。
外の世界も今は年末年始。
必要になると思われた物を事前に大量に作ったら余ったと言うのは結構ありそうな話だ。

「外の世界でもこの時期は色々と忙しいですからね」

龍也が外の世界もこの時期は忙しいと言うと、

「成程……」

霖之助は納得した表情になった。
どうやら、忙しさの中で忘れ去られたと言う結論を出した様だ。

「それで、外の世界の餅は後どれ位有りますか?」

龍也は外の世界の餅はどの位残っているのかと問うと、

「残りかい? 今持って来たのを含めてダンボール五箱分は有るよ」

霖之助からダンボール五箱分は有ると言う答えが返って来る。
それを聞いた龍也は、

「全部売ってください」

全部売る様に頼む。

「全部かい?」

霖之助が少し驚いた表情を浮かべながら確認を取る様に全部かと言うと、

「はい、全部です」

龍也は全部である事を固定する。

「うーん……これは食べ物と言っても外の世界の物だからなぁ……」

霖之助はそう口にしながら考え込む。
外の世界の物は霖之助に取ってかなり興味がある物なので、全部となると流石に売りたくは無い様だ。
しかし、是が非でも餅を手に入れたいと言うのが龍也の心情である。
なので、

「なら、値段等々含めて交渉といきましょう」

龍也は霖之助に交渉を持ち掛けた。





















「なら、この外の世界の餅は全て五円で売ることにしよう」

交渉の結果、外の世界の餅を五円で売ると言う事となった。

「ええ、ありがとうございます」

龍也は礼を言いながら代金を支払う。
その後、視線を窓に移すと、

「あー……もう夜になっちゃったな……」

日が完全に落ちている事が分かった。
もう宴会が始まっていても可笑しく無い時間帯だ。
餅を受け取ったらさっさと博麗神社に向った方が良さそうである。
龍也がそう考えていると、

「はい、ご所望の品だよ」

霖之助は餅が入った残りのダンボール四箱を持って来てくれた。
餅が一杯入ったダンボールが五箱。
一箱一円と考えれば妥当なところであろう。
余談であるが霖之助曰く、見付けた時は餅が入ったダンボールがもっと沢山あったらしい。
取り敢えず五箱持ち帰った後に再び餅が入ったダンボールがあった場所に戻ると、そこには見るも無惨に食い荒らされた餅とダンボールしかなかったとの事。
野良妖怪辺りが食い荒らしたと言うのが霖之助の見解だ。
食べ物が野晒しに置いてあったらそうなって当たり前である。

「あ、そう言えば霖之助さんは宴会には参加しないんですか?」

龍也は思い出したかの様に霖之助に宴会に参加しないのかと訪ねると、

「うん、僕はあまり騒がしいのは好きじゃないからね」

霖之助から騒がしいのは好きじゃないと言う答えが返って来た。
それを聞き、

「ああー……」

龍也は変に納得した気分になる。
何故ならば、龍也も外の世界に居た頃は騒がしいのは好きではなかったからだ。
基本的に何をするのも一人であったし、何所に居ても一人。
誕生日、クリスマス、正月と言った行事で祝って貰ったり祝った事など只の一度も無い。
だからか、龍也は外の世界に居た頃は皆で集まって騒ぐ事の楽しさを理解出来なかった。
故にクラスメイトが企画したパーティとか打ち上げとかにも参加した事は無い。
しかし、幻想郷に来てから皆で集まって騒ぐ事の楽しさを龍也は覚えたので宴会のお誘いがあれば基本的に参加する様にしている。
龍也は少し自分の変化に付いて考えた後、無理に誘っても悪いだろう言う判断を下す。
参加したくなったら自分で言うだろうと思いながら龍也は餅が入ったダンボール五箱を持ち上げ、

「霖之助さん、ありがとうございました」

餅を売ってくれた事に対する礼の言葉を口にし、

「それでは、また」

霖之助に背を向けて足を進める。

「またのご来店を」

ある種の決まり文句を聞きながら香霖堂を出ると、龍也は空中に躍り出て博麗神社へと向かって行く。





















「到着……っと」

龍也が博麗神社の敷地内に足を着けると、

「あら、遅かったじゃない」

霊夢のそんな言葉に出迎えられた。
その言葉に反応した龍也が周囲を見渡すと、もう既に皆が集まって居る事が分かる。
どうやら、龍也が最後であった様だ。

「それで、餅は手に入ったか?」

魔理沙が龍也に餅が手に入ったかと問うと、

「ああ、この中に入ってる」

龍也は手に入った事を肯定し、手に持っているダンボールを地面に降ろす。
そして、その上に人里で買った餅を置く。
ダンボールに興味があるのか、魔理沙は率先してダンボールを開けて中を覗き込む。

「へぇー……変わった袋に入ってるな……」

魔理沙はダンボールの中に入っている餅が入った袋を取り出し、それに興味深そうな視線を向けていると、

「ああ、それは幻想入りした外の世界の餅だ」

龍也はその餅は外の世界の餅である事を教える。
それを聞いた霊夢は、

「幻想入りした外の世界の餅って……食べれるの?」

怪訝そうな表情を龍也に向けた。
幻想入りした食べ物が食べれる状態であるのは稀な様なので、霊夢の反応は当然と言えば当然だ。
そんな霊夢に、

「ああ、確認したけど問題無く食べれるぞ。焼き方は普通の餅と一緒だ」

龍也は食べる分には問題無く、焼き方は普通の餅と一緒である事を教える。
すると、

「そう、分かったわ」

霊夢はそれだけ言って袋から餅を取り出し、餅を焼き始めた。
それを皮切りにしたかの様に他の面々も袋から餅を取り出し、餅を焼き始める。
その様子を見ながら空になった袋の処理をどうし様か考えていると、

「……あ」

直ぐに霊流波等の技で消滅させると言う方法を思い付く。
この方法ならば公害などは発生しないであろう。
袋の処理の方法を決めた後、

「あ、そうだ。空になった袋は上に石でも置いて風で飛んでいかない様にしてくれ」

龍也は空になった袋が風で飛んでいかない様にしてくれと言う。

「分かったわ」

霊夢は了承の返事を返しながら空になった袋の上に石を置く。
もう袋が空になった事に龍也は少し驚きながらも周囲を見渡すと、既に騒ぎ始めている様子が見て取れた。
何時も唐突に始まるなと思いながら、

「さて、俺も食うか」

龍也は小皿に砂糖と醤油を淹れに向かい、それが済むと餅を何個か焼き始める。
餅が焼けるまで暇だったのでもう一度周囲を見渡すと、お節などの料理が並べられている事が分かった。
しかし、主食となる様な物は餅以外は無いみたいだ。
ちゃんと餅を手に入れる事が出来て良かったと言う事を龍也が思っていると、

「お、焼けたみたいだな」

焼いている餅の一つが良い感じに焼けてる事に気付く。
龍也は焼けた餅を手に取り、砂糖醤油を付けて食べる。
食べ終えると、小皿の上に焼けた餅を何個か置いて近くにあった酒を片手に宴会場を歩き回る事にした。
歩き回り始めて直にフランドールを見付けたので、

「フランドール」

龍也はそう声を掛けながらフランドールに近付いて行く。

「あ、龍也」

龍也の存在に気付いたフランドールは龍也の方に顔を向け、嬉しそうな表情を浮かべた。
そんな時、龍也はフランドールの手に焼けた餅が握られている事に気付く。
だが、その餅を食した形跡は見られない事から、

「若しかして、餅食べるの初めてか?」

龍也は餅を食べるのは初めてかと尋ねる。

「うん」

フランドールは初めてである事を肯定する様に頷いた。
まぁ、引き篭もっていた時期が長かったので餅を見るのも食べるのも初めてなのは仕方が無い事であろう。

「餅は何かを付けて食べるのが一般的だな。俺の砂糖醤油でも付けて食べてみるか?」

龍也はそう言いながら小皿を差し出すと、

「うん」

フランドールは手に持っていた餅に砂糖醤油を付けて食べ始める。
すると、

「美味しー!!」

フランドールの口から美味しいと言う感想が漏れた。

「そいつは良かった」

そう言いながら龍也も再び餅を食べ始め、

「あ、そうそう。あんまり急いで食うなよ。喉に詰まるから」

フランドールに餅を急いで食べない様に注意をする。

「うん」

フランドールは龍也の注意を受け入れ、餅を食べるペースを落とし始めた。
その様子を見ながら素直だなと龍也が思っていると、

「こんばんは、龍也」

背後から声を掛けられる。
声を掛けられた龍也は一旦餅を食べるのを止めて振り返ると、

「レミリア……」

レミリアの姿が目に映った。
どうやら、龍也に声を掛けて来たのはレミリアであった様だ。

「ああ、こんばんは」

取り敢えず掛けられた挨拶に返す様に龍也も挨拶を行うと、

「それにしても、よく外の世界の餅何て言う珍しい物を手に入れられたわね」

レミリアは機嫌が良さそうな表情で外の世界の餅に付いて口にする。
レミリアの台詞から察するに、外の世界の餅を食べられて気分が良くなっているのだろう。
まぁ、外の世界の食べ物何て滅多に食べれる物ではないので機嫌が良くなるのもある意味当然だ。

「ま、味の方は可もなく不可もなくって言う感じだったけどね……」

そう言って、レミリアは不満そうな表情を浮かべた。

「まぁ、大量生産された物の一つだからなぁ……」

龍也は味に関しては大量生産された物であるから仕方が無いと言うと、

「そうそう、龍也」

突如、レミリアは話を遮る様に龍也の名を呼ぶ。

「何だ?」

龍也が首を傾げると、

「フランも貴方に懐いている様だし、どう? 私のものにならない?」

レミリアは自分のものにならないかと言う提案を行う。

「断る」

龍也が断ると言う返事を返すと、

「あら、残念」

レミリアはクスクスと笑いながら残念と口にする。
尤も、レミリアは龍也を自分のものにする事を欠片も諦めてはいないが。
そんな事を龍也が何となく察していると、

「お姉様ばかり龍也と話してずるーい!!」

フランドールが龍也とレミリアの間に割って入って来た。
なので、

「なら、フランドールも一緒に話すか?」
「うん!!」

龍也はフランドールを交えてレミリアと三人で雑談を交わす事にする。
そして雑談が一段落着くと、龍也は二人と別れて宴会場内を歩き回る事にした。
その中で龍也はアリスの姿を見付けたので、

「よ、アリス」

龍也はアリスに声を掛ける。
掛けられた声に反応したアリスは振り返り、

「あら、龍也じゃない」

龍也の存在に気付く。
アリスが龍也の存在に気付いた時、

「この防寒具とマフラーと手袋、ありがとな。お陰で随分助かってるよ」

龍也はアリスに防寒具とマフラーと手袋を作ってくれた事に対する礼を言う。

「私としてはお礼の積りで渡したんだけど……ま、そう言われたらどういたしましてと返して置くわね」

アリスがどういたしましてと返すと、

「それにしても、アリスって凄いよな。こんな性能の良い防寒具などを簡単に作れる何てさ」

龍也はアリスの服飾作成技術の高さを褒める事を口にする。

「別に大した事では無いわ。洋服等を作る方が人形を作るよりは楽だからね」
「やっぱ、人形を作るってのは大変なのか?」
「そうね……戦闘用に使う人形を作るのは結構大変だけど、劇とかに使う人形を作るのはそこまで大変って訳じゃないわね」
「戦闘用にって言うと……やっぱり頑丈にとかそう言う感じか?」
「それもあるけど、戦闘用の方は魔力の伝導効率を高めたりとか一寸したカラクリを付けたりとか色々と細工をしてるからね」
「ふーん……何か大変そうだな」
「まぁね。あ、でも爆弾型は結構楽よ」
「爆弾型?」
「ええ、そうよ。人形に火薬を詰め込んでこう……ドカーンと」
「物騒な事をしてるな……」

アリスと龍也がそんな風に雑談をしていると、

「よーし!! これから新年会を始めるぞー!!!!」

魔理沙の声が辺りに響き渡った。
何時の間にか新年を迎えていた様だ。
なので、

「取り敢えず、あけましておめでとう」
「ええ、あけましておめでとう」

龍也とアリスは新年の挨拶を行う。
それが済むと再び雑談を交わし、雑談が一段落着くと龍也はアリスと別れて宴会場内を歩いて回る。
すると、

「お……」

お節料理が龍也の目に映った。
そう言えばお節料理を食べてなかった思った龍也は、お節料理を食べていく。
大体半分程食べた頃、

「あけましておめでとう、龍也」

龍也は背後から声を掛けられる。
声を掛けられた龍也は一旦お節料理を食べるの止め、後ろに顔を向けると咲夜の姿が目に映った。
新年の挨拶をして来たのは咲夜かと思いながら、

「あけましておめでとう、咲夜」

龍也も新年の挨拶を返す。
その後、

「このお節料理を作ったの咲夜か?」

龍也はお節料理を作ったのは咲夜なのかと尋ねる。

「ええ、そうよ」

咲夜が肯定の言葉を口にすると、

「美味いよ、このお節料理」

龍也は美味しいと言う感想を言う。
美味しいと言う感想を聞いた咲夜は、

「あら、ありがとう」

嬉しそうな表情を浮かべた。
やはり、自分が作った物を美味しいと言われるのは嬉しい様だ。
咲夜はその表情を浮かべたまま、

「龍也は美味しいと言ってくれたけど、貴女は何もないのかしら? 美鈴?」

そう言いながら美鈴の方に顔を向ける。
どうやら、龍也の近くで美鈴もお節料理を食べていた様だ。
咲夜に何もないのと言われた美鈴は、

「ほえ!? 咲夜さんの作るご飯は何時も美味しいですよー!!」

慌て気味に咲夜の作るご飯は何時も美味しいと返す。

「全く……」

咲夜が呆れた表情を浮かべると、

「あけましておめでとう」

龍也は美鈴に新年の挨拶を行う。
その挨拶で龍也の存在に気付いた美鈴は、

「あけましておめでとうございますー」

新年の挨拶を返す。
その後、

「そう言えば、咲夜って料理のレパートリーはかなり広いけど美鈴は何か作れたりするのか?」

龍也は美鈴に料理を作れるのかと尋ねると、

「私ですか? まぁ、それなりには……」

美鈴はそれなりに出来ると返す。

「ふーん……パチュリーはどう何だ?」

ならパチュリーはどう何だと言うと、

「基本、ご飯とかは咲夜に任せてるわね、多分、料理の本を読みながらなら作れると思うわ」

パチュリーが龍也の背後から問いの答えを返して来た。
背後から声を掛けられた事に龍也は少し驚きながらもパチュリーの方に顔を向けると、

「そう言う貴方はどうなの?」

パチュリーは龍也は料理を作れるのかと尋ねる。

「俺か? 取り敢えず、切ると焼く位は……」
「……まぁ、旅をする分にはその程度と事が足りるのかしら?」

パチュリーがそんな疑問を口にした後、

「パチュリー様、お酒を持って来ました」

小悪魔がパチュリーに酒を手渡す。

「ありがとう、小悪魔」

パチュリーが礼を言いながら酒を受け取ると、

「あ、龍也さん」

小悪魔は龍也の存在に気付く。

「あけましておめでとう」
「はい、あけましておめでとうございます」

龍也と小悪魔が新年の挨拶を交わすと、龍也、咲夜、美鈴、パチュリー、小悪魔の五人は雑談を交わしていく。
そして雑談が一段落着くと、龍也は四人と別れて宴会場内を見て回っていると、

「よ、龍也」
「魔理沙」

魔理沙から声を掛けられた。
声を掛けられた龍也が足を止めると、

「そう言えば、外の世界の餅何て何所で手に入れたんだ?」

魔理沙は外の世界の餅を何所で手に入れたのかと尋ねる。

「ああ、それは霖之助さんの所で手に入れた物だ」
「香霖の所でか。あそこは本当に色んな物が置いてあるよな……」

何所か感心した表情を浮かべながら魔理沙がそんな事を口にすると、

「確かにな」

龍也はその発言に同意する事を言う。
その後、

「あ、そうだ」

魔理沙は何かを思い出した表情を浮かべた。

「ん、どうした?」
「ほら、外の世界の餅を入れて来た箱……何て言ったっけ? えーと……」
「ダンボールの事か?」
「そうそう、それ。そのダンボールを私に貸してくれないか?」
「死ぬまでか?」
「おう、死ぬまでだぜ」

魔理沙が満面の笑顔で死ぬまでである事を肯定する。

「別にダンボール位、やるよ。てか、ダンボール何て何に使うんだ?」

ダンボール何て何に使うのかと龍也が問うと、

「色々と仕舞って置けそうで便利じゃないか」

魔理沙は色々と仕舞って置けそうで便利だろと返す。
龍也が魔理沙の言い分に納得した後、魔理沙と適当に雑談をして過ごしていく。
それに一段落が着くと、龍也は魔理沙と別れて再び宴会場内を歩いて回る。
その中で適当に酒を飲んだり餅やお節料理を食べたり雑談を交わしたりして過ごしていくと、

「ふぁ……」

龍也は眠気を覚え始めた。
そろそろ寝るか思い、

「おーい、霊夢」

龍也は近くに居た霊夢に声を掛ける。

「何?」

その声に反応した霊夢が龍也の方に顔を向けると、

「泊まっていっても良いか?」

龍也は泊まっても良いかと問う。

「良いけど、私はそろそろ儀式をしなきゃいけないから邪魔をしないでね」

霊夢は許可を出しながら儀式があるのでそれの邪魔をしない様に伝える。
何の儀式か気になったが、眠気の方が興味よりも勝っていたので、

「あいよ」

龍也はそれだけ言って、博麗神社に泊まる時に使わせて貰っている部屋へと向かう。
その途中で、

「……あ」

龍也はやるべき事を思い出し、踵を返す。
思い出した事と言うのは餅が入っていた袋の処理。
ぼちぼち、解散の雰囲気が漂っているので袋の処理をするには頃合だろう。
そんな事を思いながら餅が入っていた袋を探していると、

「お、見っけ」

隅の方でそれを発見する。
袋の量から察するに、全て食べた様である。
まぁ、外の世界の餅は一つ一つが大して大きくなかったので全て食べた事は別に不思議な事ではないが。

「さて、さっさと処理するか」

龍也はそう呟きながら掌に袋を乗せ、掌を天に掲げる。
そして、

「霊流波!!」

己が技を放つ。
放たれた青白い閃光が消えると、袋は全て消滅していた。
これならば公害の類は発生する事は無いであろう。
それを見届けた後、龍也は今度こそ博麗神社に泊まる時に使わせて貰っている部屋へと向かって行く。
部屋に着くと同時に、龍也は布団を被って寝始めた。




















「んあ……」

目が覚めた龍也は体を起こし、周囲を見渡し、

「ああ……」

思い出す。
この部屋に来て早々に寝てしまった事を。
何時までも寝ていたらあれだなと思った龍也は体を起こし、部屋から出ると、

「あ、起きたの」

部屋の前に霊夢がいた。
龍也は自分の事を起こしに来たのかなと思いながら、

「あ、ああ。おはよう」

挨拶の言葉を掛ける。

「おはようって……もう昼よ」

龍也の挨拶に返す様に、霊夢はもう昼であると言う。

「昼? 本当か?」

龍也は本当に昼なのかと尋ねると、

「本当よ。よく寝てたわね……」

霊夢は昼である事を肯定し、呆れた表情を龍也に向ける。
そんな表情を向けられた龍也が思わず苦笑いを浮かべていると、

「お昼ご飯出来てるけど……食べてく?」

霊夢はお昼ご飯を食べていくかどうかを問う。

「食べてく」
「そ。じゃ、付いて来て」

霊夢が龍也に背を向けて歩き出すと、龍也は霊夢の後に付いて行く。
そして居間に着くと、卓袱台の上に昼食が並べられている事が分かった。
二人はそのまま卓袱台の前に腰を落ち着かせ、

「「いだたきます」」

食事を取り始める。
適当に雑談を交わしながら。
食事を取り終えると、

「あ、食器は俺が洗って置くな」
「お願いね」

龍也は空になった食器を持って台所に向かう。
まぁ、世話になっているのでこれ位は当然である。
それが済み、居間に戻って来ると再び霊夢と雑談に興じた。
雑談が一段落着くと、

「じゃ、そろそろ行くな」

龍也はそろそろ出発する旨を伝える。

「そう、また来なさい」
「ああ、またな」

そう言って龍也が立ち上がって霊夢に背を向けると、

「ええ、またね。あ、来る時はお賽銭を忘れないでね」

霊夢がお賽銭を忘れない様にと言う。

「はいはい、分かったって」

龍也は少し呆れた感じでそう返し、博麗神社を後にした。























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