「いっけねぇいっけねぇ、鈴仙の誤解が解けと言ってもそれでお仕舞いって訳じゃ無かったんだよな」

そんな事を呟きながら龍也は空中を超速歩法を連用しながら駆け抜け、太陽の畑を目指していた。
鈴仙と一戦交え、鈴仙の誤解が解けた後。
変とも妙とも言える疲れが抜けるまで雲の流れを観察していた龍也であったのだが、雲の流れを観察する事に集中し過ぎたせいで当初の目的をド忘れしてしまったのだ。
幻想郷中に多種多様の花が咲き誇っていると言う異変と思わしきこの騒動の原因を探る、若しくは解決すると言う目的を。
ボケーッとした感じで雲の流れを観察している中で唐突にその事を思い出した龍也は大慌てで空中に躍り出て、現在に至ると訳だ。
さて、そんな感じで空中を駆けて抜けている龍也は、

「んー……少しペースを上げるべきか?」

ペースを上げるべきかと言う事を考え始める。
当初の目的を忘れて雲の流れの観察に時間を掛け過ぎた為、遅れを取り戻す気なのであろうか。
理由はどうであれ、今回の件を早くに解決にするに越した事は無いので、

「……よし」

何かを決心したと言う様な表情を龍也は浮かべ、ペースを上げる事を決めて超速歩法の速度を上げ様とした瞬間、

「龍也さん」

少し遠くの方から龍也の名を呼ぶ声が聞こえて来た。
それに反応した龍也は超速歩法を止めて立ち止まり、声が発せられたであろう方に体を向ける。
体を向けた龍也の目に、

「あれは……大ちゃんか」

自分が居る方に向けて飛んで来ている大妖精の姿が映った。
となると、自分の名を呼んだのは大妖精であろうか。
目に映った大妖精の姿から龍也がそう考えている間に、大妖精は龍也の傍までやって来て、

「こんにちは、龍也さん」

軽く頭を下げて挨拶の言葉を口にする。

「ああ、こんにちは」

された挨拶に返す様にして龍也も挨拶の言葉を口にすると、下げていた頭を大妖精は上げ、

「龍也さん、チルノちゃんを見ませんでしたか?」

チルノを見なかったかと言う事を龍也に尋ねて来た。

「チルノか? 見て無いな」

尋ねられた事に龍也が見て無いと答えると大妖精ががっかりしたかの様に肩を落としたからか、

「チルノがどうかしたのか?」

詳しい事を聞き出すかの様に、龍也は大妖精にチルノがどうかしたかと言う事を聞く。

「あ、いえ。朝からチルノちゃんの姿が見えなかったもので。お花が沢山咲いている様な時に居なくなったので、若しかしたら何か遭ったんじゃないかと思って……」

すると、落としていた肩を戻しながら大妖精はチルノを探していた理由を龍也に教える。
どうやら、多種多様の花が幻想郷中に咲き誇っている中で姿を消してしまったチルノを大妖精は心配して探し回っていた様だ。
大妖精がチルノを探している理由を知れたからか、

「そっか……チルノを見付けたら大ちゃんが捜してたって言って置くよ」

何所かでチルノに会ったら大妖精が探していた事を伝えると言う約束を龍也は大妖精にする。

「ありがとうございます、龍也さん」

チルノ捜索に協力すると言う様な事を言ってくれた龍也に大妖精は礼の言葉を述べ、

「それでは、私はあっち方を探しに行きますね」

そう口にして何所かに向けて飛んで行った。
飛んで行った大妖精を見送った後、太陽の畑への移動を再開し様とした時、

「おーい、龍也ー」

再び自分の名を呼ぶ声が龍也の耳に入る。
だからか、再開し様とした移動を止めて声が発せられたであろう方に龍也は顔を向けた。
顔を向けた龍也の目には、

「チルノ」

つい先程大妖精から捜索願いを出されていたチルノの姿が映る。
目に映ったチルノの姿からタイミングが悪いなと言う感想を龍也は抱きつつ、

「どうしたんだ?」

取り敢えず、どうかしたのかと言う事を聞いて見る事にした。
聞かれたチルノは龍也の近くにまで来て、

「龍也の姿が見えたから声を掛けたんだ」

龍也は声を掛けた理由を話す。
話された内容から察するに、飛んでいる最中に龍也の姿を見掛けたから声を掛けたと言ったところか。
ともあれ、チルノに会う事が出来たので、

「そうそう、大ちゃんがお前を捜してたぞ」

大妖精がチルノを捜しているのを龍也は教える事にした。

「大ちゃんが?」
「ああ、お前が急に居なくなったからって」

教えられた内容を受けて驚いているチルノに龍也が教えた事に軽い補足を加えると、

「あー……今日は朝から出掛けてたから、大ちゃんに心配掛けちゃったのかな?」

朝から出掛けていた事をチルノは零す。

「朝から? 何所かに行ってたのか?」
「んーん。何か皆が騒いでるみたいだから、あたいも騒ぐ事にしたんだ」

零された事からチルノは何所かに行っていたのかと推察した龍也に、チルノは騒いでいる皆に便乗する形で騒ぐ為に出掛けたと言う様な事を語った。
語られた皆が騒いでいると言う部分に龍也は引っ掛かりを覚えた為、

「皆……って言うのは妖精か?」

皆と言うのは妖精の事かと言う確認をチルノに取る。

「うん、そうだよ」

取られた確認にチルノが頷きながら肯定の返事をしたので、多種多様の花が幻想郷中に咲き誇っている今回の件は異変と断定しても良いだろうと龍也は考え始めた。
今まで異変が起きた際は妖精達の殆どが活性化して凶暴化し、こちらの姿を確認したら襲い掛かって来ると言う事をしている。
例外として萃香が起こした異変では妖精達にそう言った傾向は見られなかったが、そう言った変化が見られるのは異変時だけ。
現段階では妖精達はまだ騒がしくしているだけの様だが、時間が経てば通常の異変の時の様になっても可笑しくはない。
そうなれば、今までの様に異変解決の道中で無数の妖精に襲われると言う事態になるだろう。
出来ればそうなる前に異変を解決したいなと言う願望を龍也が抱いている間に、

「ねぇねぇ、龍也。あたい今日とっても調子が良いから、あたいと弾幕ごっこしよ」

自分と弾幕ごっこをし様と言うと提案をチルノがして来た。

「弾幕ごっこ?」
「そうそう、弾幕ごっこ」

行き成りそんな提案をされて疑問気な表情を浮かべた龍也に、繰り返すかの様にチルノは弾幕ごっこだと口にする。

「うーん……」

弾幕ごっこでの対戦を申し込まれた龍也は悩み始めてしまう。
何故かと言うと、早くに異変解決をしたいからだ。
ここで余計な時間を使いたくない龍也であったが、

「やろうよー。あたいのライバルだろー。逃げるなよー」

チルノが腕を引っ張りながら挑発する様な事を言って来た為、

「……良いぜ、そこまで言うなら……やろうぜ」

思いっ切り挑発に乗る形で龍也は弾幕ごっこでチルノと戦う事を決める。

「やった!! そうこなくっちゃ!!」

龍也が自分と弾幕ごっこで戦う事を決めてくれたのでチルノは喜びつつ、弾幕ごっこをする為に龍也から離れて間合いを取った。
そして、龍也と間合いが十分に取れたと判断したチルノは、

「いっくよー!!」

元気満々と言った感じで龍也に向けて大量の弾幕を放つ。
放たれた弾幕を見て、

「……強くなっている?」

強くなっていると言う言葉を龍也は零した。
元々、チルノは妖精の中でも特に強大な力を持っている妖精だ。
どれだけの力を有しているのかと言うと、そこ等の妖怪では歯が立たない程に。
その事は龍也も十分に理解している。
何せ龍也が幻想入りしたばかりの頃、初めて苦戦を強いられた相手がチルノなのだから。
因みに、龍也が幻想入りしたばかりの頃も異変の真っ最中であった。
まだ確定した訳ではないが、今回と違って龍也が幻想入りしたばかりの頃に発生していた異変を起こした者はレミリアであるが。
レミリアが異変を起こした時のチルノと今のチルノ。
今のチルノの方がレミリアが異変を起こした時のチルノよりも格段に強い。
勿論、あの時より月日が経っているのでチルノが純粋に腕を上げたとも考えられるだろう。
だが、今まで異変の解決に赴いたり異変の解決をして来た龍也としてはある二つの可能性にも目が行った。
一つは異変を起こした犯人の近くにまで来たと言う可能性。
今までの異変でも、異変の犯人が居る場所に近付けば近付く程に妖精は強さを増していったのだ。
決して的外れな可能性と言う訳ではないだろう。
もう一つは今回の異変が今までの異変よりも妖精に力を与えていると言う可能性だ。
永遠亭の面々が起こした異変を解決する際の道中で現れた妖精達の殆どは、オプション兵装の様なものを使って来た。
異変の時も含め、妖精がオプション兵装の様なものを使っているのを龍也が見たのは永遠亭の面々が起こした異変だけ。
見た感じチルノはオプション兵装を使っていない様だが、今はまだオプション兵装を使ってはいないのか。
それともオプション兵装は得なかったが、代わりにより強大な力を有するに事になったのか。
今相対しているチルノの強さを見るに、後者の可能性が強いと考えられる。
とは言え、所詮は只の可能性。
ここで可能性の正誤に付いて考察するよりも今はチルノに集中するべきだと思い直し、迫って来た弾幕を龍也は避けていく。
そんな龍也を見て、

「ほらほら、どうしたの!?」

挑発する様な言葉をチルノは発した。
しかし、今度は挑発に乗ると言った事をせずに龍也は回避行動を取りながらチルノの動きを観察していく。
少しの間観察を続けた結果、龍也はある結論を下した。
下した結論と言うのは今のチルノは霊夢、魔理沙、咲夜と言った実力者と比較しても遜色ない実力を持っていると言うもの。
となれば、余り余計な事に思考を割いていたら敗北してしまうだろう。
そう感じた龍也は気合を入れ直しながら意識を弾幕ごっこに集中させ、回避行動を取り続けながら弾幕を放ち始める。
龍也が放った弾幕はチルノの弾幕とぶつかり合い、相殺し合っていく。
相殺し合っていく中でぶつかり合わなかった弾幕が龍也、チルノの方に向かって行くが、

「っと」
「よっと」

迫り来る弾幕の数が圧倒的に少なくなっていたと言う事もあり、両名共に余裕が感じられる動きで弾幕を避けていった。
弾幕を放ち、迫り来る弾幕を避ける。
ある意味単純とも言える行為を繰り返していく中、

「ふっふっふ、流石はあたいのライバル。やるじゃない」

唐突に、龍也を称賛する様な台詞をチルノは言い出した。
行き成り自分の事を称賛して来たチルノに龍也は若干警戒しつつ、

「そう言うチルノもな」

取り敢えず話しに乗るかと言った感じで龍也はチルノもなと返す。

「当然よ。最強のあたいは日々進化しているんだからね」

返された事に気分を良くしたからか、チルノはご機嫌と言った感じの笑顔を浮かべ、

「そして最強のあたいは攻め手を間違えないのさ!!」

一旦弾幕を放つのを止めて懐に手を入れ、懐からスペルカードを取り出し、

「凍符『マイナスK』」

意気揚々と言った雰囲気を醸し出しながらスペルカードを発動させた。
スペルカードが発動されたのを見て、用心したかの様に龍也は弾幕を放つのを止めて様子を見始める。
すると、チルノが移動を始めた。
移動し始めたチルノを目で追って行くと、チルノは三方向に向けて少し大き目の弾幕を円を描く様にして放っていく。
放たれた弾幕は少し進むと停止して炸裂し、

「なっ!?」

炸裂した弾幕の中から大量過ぎる量の小さ目の氷の弾幕が現れた。
現れた弾幕の量が量である為、

「くっ!!」

慌てる様に様子を見ると言う行為を止め、回避行動に専念する。
だが、

「ちぃ!!」

完全に回避する事は出来ず、無数の氷の弾幕を龍也は体に掠らせてしまう。
ペースをチルノに持っていかれているこの現状は宜しくないので、現状を引っ繰り返す方法を探す為に龍也は顔をチルノの方に向ける。
しかし、

「弾幕が濃過ぎてチルノの姿が見えねぇ……」

弾幕が濃過ぎてチルノを見る事が出来なかった。
これではチルノがし様としている事を予測する事が出来なければ、チルノの位置を特定して強力なスペルカードを叩き込む事も出来そうに無い。
だからと言って何か手を打たなければ、状況は悪化の一途を辿るだけ。
であるならば、多少の無理無茶をしてでも状況を強引に動かす必要が在ると龍也は判断し、

「なら……」

何かを決意したかの様な表情になりながらチルノが居る方へと突っ込んで行った。
チルノの方に突っ込んで行くと言う事は、弾幕の濃過ぎる場所へと突っ込んで行くのと同義。
だからか、

「ぐう!!」

数多とも言える氷の弾幕が龍也の体に激突していき、激突する度に龍也の体に強い衝撃が突き抜けて行く。
が、

「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

突き抜ける衝撃を気合で無視しながら龍也は突き進み、

「……見付けた!!」

ついにチルノを肉眼で捉えられる場所まで距離を詰める事に成功した。
同時に、

「ッ!?」

ここまで突っ込んで来た龍也にチルノは驚きの表情も向けるも、これまでと変わらずにスペルカードの発動は維持し続ける。
さて、チルノを肉眼で確認出来る場所まで来れたからか龍也は突き進むのを止め、

「…………………………………………………………………………」

再びチルノの様子を観察していく。
観察した結果、龍也はある事を見抜いた。
離れるよりもある程度は近付いた方が安全だと言う事を。
まぁ、これに関しては観察しなくても少し考えれば直ぐに見抜けた事だろう。
何せ、今のチルノが放っている弾幕は一定距離を進むと炸裂して中から細かい弾幕が幾つも飛び出して来るタイプの弾幕なのだから。
ともあれ、今居る位置からならば比較的安全に攻勢へと移れそうなので、

「よし……」

龍也は攻撃に移ろうとした刹那、

「何!?」

氷の塊がチルノから放たれた。
無論、放たれた氷の塊の狙いは龍也だ。
迫り来る氷の塊を見た龍也は攻勢に入るのを止め、再び回避行動に入り始める。
回避行動を取りながら、

「離れれば大量の弾幕。近付けば弾幕に氷の塊か」

チルノが発動しているスペルカードに付いて龍也は簡単にではあるが纏めていく。
簡単に纏めただけでも中々に隙が無いスペルカードである事が分かったが、別に打つ手が無いと言う訳では無い。
しかし、その打つ手を今使ったとしても勝てるとも状況が良くなるとも限らないだろう。
何故ならば、今のチルノは霊夢、魔理沙、咲夜と言った者達と比較しても遜色ない実力を誇っているからだ。
少なくとも霊夢、魔理沙、咲夜の三人は適当に使ったスペルカードなど滅多な事では当たらない。
となると決定的とも言える隙を見付けるか、それとも隙を作らせる様に立ち回るか。
若しくはスペルカードの制限時間が来るまで逃げ回るかと言った三つの選択肢が龍也の頭に思い浮かんだ。
思い浮かんだ選択肢の内、一番最後に浮かんだものを龍也は速攻で排除した。
何故かと言うと、龍也としてはスペルカードの時間切れを待つと言うのは何か負けた気分になるからだ。
そうなると龍也が取る手段は一つ目か二つ目のどちらかになる。
どちらかを選ぶ為に頭を軽く回転させた龍也は、

「……二つ目にするか」

二つ目の選択肢を取る事にした。
これから取るべき行動を決めた後、改めて龍也はチルノが居る方に顔を向ける。
飛んで来る氷の塊と弾幕の数がそこまで多くはないので、チルノの姿を確りと視界に収める事が出来た。
確りと視界にチルノの姿を収めた龍也はチルノの動きを目で追っていく。
そして、

「……ッ」

龍也は懐に右手を入れながらチルノの方に向けて突っ込み、

「らあ!!」

左手の拳を振るって氷の塊を砕き、懐からスペルカードを取り出し、

「霊撃『霊散波』」

取り出したスペルカードを発動させた。
スペルカードが発動すると龍也は右手をチルノの方に向ける。
すると、龍也の右掌から青白い閃光が広範囲に迸った。
迸った青白い閃光はチルノを容易く呑み込んだ。
青白い閃光に呑み込まれたチルノを見ながら、取った作戦が上手くいったと言う確信を龍也は得る。
作戦と言っても、別に大したものでは無い。
突っ込んで距離を詰めながら氷の塊を殴り砕いてチルノの動揺を誘って少しでも良いから隙を作り、広範囲タイプの攻撃を放つと言うだけ。
兎も角、チルノが青白い閃光に呑み込まれてから少しすると周囲に存在していた氷の塊や弾幕と言ったものが消え去ったので、

「……………………………………」

スペルカードの発動を龍也は止める。
それに伴って迸っていた青白い閃光が消え、チルノの姿が露になった。
露になったチルノは多少ボロボロの風貌になっていたが、まだまだ健在と言った様子だ。
まぁ、霊散波は広範囲に広がるが霊流波と比べたら威力は大分劣るのでチルノが健在であっても不思議ではない。
兎も角、龍也からの一撃を喰らったチルノは、

「うー……」

悔しそうな表情を浮かべながら龍也を睨み付ける。
どうやら、欠片も戦意は衰えていない様だ。
この分だと戦いはまだまだ続きそうだ龍也が思った時、

「流石はあたいのライバルね!!」

何処か満足したかの様な表情をチルノを浮かべながら戦意を消した。

「……え? 終わり?」

まさかチルノの方から終了の意思を示されるとは予想もしていなかったからか、ついと言った感じで間の抜けた表情を龍也は浮かべてしまう。
そんな龍也を見て、

「あたいのライバルである龍也とは……えっと……そう!! それ相応の場所で決着を着けなきゃ駄目なのよ!! 今は決着を着けるには時期早々ってやつよ」

戦いと言うより弾幕ごっこを止めた理由をチルノは述べる。
述べられた理由を受けて龍也は納得した表情になりつつ、

「ああ、成程。後、時期早々じゃなくて時期尚早な」

四字熟語に対する突っ込みを入れた。
だが、

「あたいはそんな細かい事は気にしないのよ」

入れられた突っ込みに返すかの様にチルノは胸を張りながら自分は細かい事を気にしないと言う主張を行なった。
された主張から四字熟語を間違えると言うのは細かい事なのだろうかと言う疑問を龍也が抱くと、

「さーて、これから何所に行こうかな」

これから何所に向かおうかと言う事をチルノは考え始める。
だからか、

「おーい、大ちゃんがお前の事を捜してたって言うのを忘れてないか?」

大妖精が捜していた事を忘れていないかと言う言葉を龍也はチルノに掛けた。
掛けられた言葉を受け、

「あ!! 忘れてた!!」

今思い出したと言う表情になりながらチルノは顔を上げ、

「ねぇ、大ちゃんは何所に行ったの?」

龍也に大妖精が何所に行ったのかを問う。

「えーと……」

問われた事に対する答えを出す為に龍也は軽く周囲を見渡し、

「……確か、あっちの方に行ったな」

ある方向に向けて指をさす。
さされた指の方にチルノは体を向け、

「あっちの方に大ちゃんが行ったのか」

体を向けた先に在る光景を目に入れつつ、

「それじゃ、あたいは大ちゃんを追い掛けるね」

大妖精を追い掛けると言う旨を龍也に伝え、素っ飛んで行った。
素っ飛んで行ったチルノ見届けた龍也は、気持ちを入れ替える様にして太陽の畑が在る方に体を向ける。
そして、

「太陽の畑に幽香は居るかな? 居てくれば良いんだけど……」

一寸した願望と言える様な事を零し、空中を駆ける様にして龍也は太陽の畑に向かって行った。























前話へ                                          戻る                                             次話へ