霊夢と雛の弾幕ごっこが終わった後、

「ふーむ……ここまで強いのなら、私の心配は余計なものだったかしら」

服に付いた埃等を払いながら雛がそんな事を言うと、

「ま、異変解決の道中に出て来る相手にそう易々と負けて何てやれないしね」

何所かすっきりした表情で霊夢はそう返した。
どうやら、雛を倒した事で幾分か機嫌が良くなった様だ。
そんな霊夢を見ながら雛は龍也と魔理沙の方に視線を向け、

「こんな子と一緒に来てるって事は貴方達も同じ位には強いだろうし、大丈夫そうね」

その様な結論を出し、

「取り敢えず、天狗には気を付けてね。妖怪の山全体がピリピリしている今の状態で天狗に会おうものなら、どうなるか分かったものじゃないから」

天狗には気を付けろと言う注意を行なう。

「ああ、分かった」

行なわれた注意に龍也が分かったと返した時、

「まぁ……天狗の大半は山の頂上に現れた神社の監視と警戒を重視しているから、山の頂上へ向う道中で戦闘員の天狗が出て来たとしても……十人未満が
いいとこかしら。だけど、油断はしないでね」

行なった注意の一寸した補足を雛は思い出したかの様に三人に伝えた。

「……ん? その言い分だと私達が山の頂上に現れた神と戦っている最中に天狗達が横槍を入れて来る……って事も在ったりするのか?」

伝えられた内容から考えられる危惧を魔理沙は雛に問い掛ける。
問われた雛は魔理沙の方に顔を向け、

「多分それはないわね。言ってしまえば貴方達は妖怪の山の外に住まう住人。貴方達が山の頂上に現れた存在と争ってもそれを好機と見た天狗達が総攻撃……
もっと言えば全面戦争に突入するって事は起きないわね。数の不利から貴方達が現れた神と手を組む可能性もあるし。寧ろ、貴方達と相対した時の反応でこれ
からの動きを決めるんじゃないかしら?」

考えた危惧は考慮に入れなくて良いと言う事を口にした。
すると、

「「「動き?」」」

これからの動きと言う部分に三人は疑問を抱いた為、揃って首を傾げてしまう。
だからか、

「ええ。敵対か共存か不干渉、排除のどれかのね」

動きと言う部分の意味に付いて雛は三人に教える。

「つまり、俺達が出した結果次第では妖怪の山の今後の行く末が決まるって訳か。結構な大事になって来たな」

教えられた事を頭に入れた事で幾らか気合を入れ直した龍也に対し、

「ま、どうせ上手い所に落ち着くでしょ」

霊夢はお気楽そうにしていた。
まぁ、今まで起こった異変を解決した後は全部上手い場所に落ち着いているのだ。
霊夢が上手い所に落ち着くと考えるのも当然とも言える。
とは言え、今回も同じ様にいと考えるのは些か楽観的であろう。
が、変に気負うよりは遥かにマシ。
そう判断した龍也は少し気を張りすぎていたかと思いながら肩を回していると、

「なぁなぁ。天狗の大半が山の頂上を神社を重視しているのなら、態々山を登る様にして頂上を目指さなくても良いんじゃないのか? 例えば、外から一気に
頂上を目指すとかさ」

ふと気付いたと言った感じで魔理沙は頂上への目指し方に付いての案を出した。
確かに、今の天狗の達は頂上の神社に目の大半が向けられている。
外から一気に頂上を目指せば時間的節約になるし、現れる天狗も十人未満との事。
十人未満の天狗ならば、龍也達であれば大した苦も無く倒せるだろう。
なので、魔理沙が出した案は実行に移す価値があると思われたが、

「それはお勧め出来ないわね」

雛から否定の言葉が発せられ、

「確かに、天狗達の大半の目は山の頂上に現れた神社に向いていると言って良い。けど、堂々と妖怪の山に侵入して来ている輩を天狗達が放置する事は無い。
例え今の様な状況化でもね。面子にも係わるし。もしそれをしたら山の頂上の監視と警戒をしている天狗の半分……或いは少数精鋭と言う事で大天狗が数人程、
やって来るでしょうね。天狗達が手を出さない状況下はあくまで貴方達が山の頂上に現れた存在と戦っている時……もう少し言うのであれば貴方達が山の頂上
に現れた神社の敷地内に入った時だけ。それ以外だと保障は出来ないわ」

否定の言葉を発した理由を述べた。

「そっか、ならその方法は諦めるか」

述べられた理由から外から山の頂上を目指す方法を魔理沙が溜息混じりに諦めたタイミングで、

「兎も角、貴方達は人間だから山の上に現れた神に殺される事は無いとは思うけど……気を付けてね」

改めてと言った感じで雛は三人に気を付ける様に言う。

「異変解決は私の仕事だからね。心配されなくてもちゃんと解決すわよ」

言われた事に返すかの様に霊夢が胸を張りながらそう宣言した刹那、

「異変解決が仕事……若しかして、貴女が博麗の巫女?」

驚いた表情を浮かべた雛が霊夢を見ながら貴女が博麗の巫女なのかと言った確認を取る。

「何よ、気付いてなかったのか?」
「いえ、今代の博麗の巫女の話なんて全然耳に入って来なかったから……」

取られた確認を受けた霊夢がジト目になった時、雛からその様な情報が出された。
すると、龍也、霊夢、魔理沙の間で何とも言えない空気が流れ始める。
流れている空気の微妙さを感じ取った雛は、

「と、取り敢えず頑張ってね」

当たり障りの無い言葉を残して去って行った。
去って行った雛が見えなくなった辺りで龍也と魔理沙は何とも言えない表情で霊夢の肩に片手を置く。

「……何よ」

肩に手を置かれた霊夢が些か元気が無い声色でそう口にする。

「「いや、別に」」
「もう良いわよ、別に……」

口にされた事に大した返答を龍也と魔理沙が出来なかったからか、霊夢は思いっ切り両肩を落とす。
そんな霊夢を見て流石に可哀想になったからか、龍也と魔理沙は霊夢を慰めながら先へと進む事にした。






















先に進み始めてから幾らか経った頃、霊夢の機嫌はある程度持ち直した。
持ち直した一番の理由は山の頂上に居る神をぶっ飛ばしてこの鬱憤を全て晴らそうと言う結論に達したかららしいが。
最初からキチンと巫女らしい事をしていればそんな想いもしなくて済んだのにと龍也と魔理沙は思ったが、言わない事にした。
言っても何も変わらないだろうし、グータラやっている方が霊夢らしいと思ったからだ。
ともあれ、そんなこんなで先へと進んで行く龍也達の目に大量の紅葉が風に流れて飛んで来ている光景が映った。
中々に美しい光景だと言う感想を抱きつつ、これを肴にして酒を飲むのも良いかもしれないと一同が思っていると、

「これは……水の流れる音か?」

何所からか水が流れる音が聞こえて来たと言う事を龍也が口にする。

「水ねぇ……そっちに行ってみるか?」
「そうね……こっちよりも木々が少なくて飛び易そうだし行ってみ様かしら」

龍也が口にした事を受け、水が在る場所に行こうと言う案を出した魔理沙に霊夢は賛成の意を示す。
魔理沙と霊夢の二人が水の在る方へ向かおうとしている為、

「なら、行ってみ様ぜ」

龍也も水の在る方へと向かう事を決める。
こうして、三人は水が流れる音が聞こえて来る方へと向って行く。
進行方向を変えてから少しすると今まで通って来た木々の生い茂る場所と変わり、日の光が良く当たる見通しが良い場所に出た。
急に明るくなった事で眩しさを感じた三人は手で目を覆いながら一旦足を止め、周囲を伺っていく。
周囲の様子を伺っている三人の目には何所までも続く様な綺麗な川、整理整頓された川辺と言う光景が映った。
映った光景から、

「おー……開けた場所に出れたな。ここなら飛んでの移動も楽そうだ」

魔理沙はそんな感想を零す。
今まで木々の多い場所を通って来たので、木の枝やら何やらに気を付けながら高度を上げたり下げたり左右に移動したりと大忙しであったのだ。
移動も楽になると言う感想が零れるのも当然と言えるだろう。
兎も角、今までの道中が道中であったのでこれからは此処を取って行きたいと言う願望を魔理沙が抱き始めている間に、

「……そう言えば、妖怪の山には大きな滝が在るって前に文が言ってたわね」

川を眺めていた霊夢が下唇に指を当てながら文が言っていた事を思い出す。

「なら、この川が流れる先に滝が在るのか?」
「多分そうね」

思い出された内容を耳に入れた龍也がそう問い掛けると、霊夢は肯定の返事をする。

「それなら、この川の流れに沿う様に行けば迷わずに頂上まで行けそうだな。なぁ、これからはここを通って行かないか?」

された肯定の返事からこれからどう進むべきかの案を出した魔理沙に、

「こんな見晴らしの良い場所を通ったら天狗に見付かったりしないか?」

出された案に対する懸念事項を龍也は述べた。
そんな懸念事項に反論する形で、

「雛が言うには天狗に見付かったとしても、戦う事になる天狗は十人未満って話でしょ。それなら問題は無いでしょ」

霊夢は雛から得られた情報を出す。
霊夢としてはさっさと山の頂上に現れた神をぶっ飛ばしたいと言う想いがある。
山の頂上に着くまでに相当な時間が掛かる木々が滅茶苦茶生い茂るルートよりも、多少の危険はあれど時間が掛からないルートを進みたいのだろう。
だからか、早く進む為なら十人未満の天狗を相手にするのも吝かではない。
と言う霊夢の心中を察したからか、

「今日の霊夢は行け行けモードの様だな」
「だな。気持ちは分からんでもないが」

魔理沙と龍也はその様な事を呟いた。
同時に、霊夢が川に沿う形で進み始めたので二人は慌てて霊夢の後を追う。
新たなルートで進んでいる中、眼下に視線を向けた龍也は、

「玄武の沢と同じ位綺麗な川だな、ここ」

自然と綺麗だと言う感想を呟き、

「確か霧の湖にも繋がっているんだったか、ここの川?」
「確かそうだったわね」

呟かれた感想に続く形で魔理沙と霊夢がここの川と繋がっている場所に付いて口にする。
霧の湖の水も綺麗なので、源泉とも言える妖怪の山の水が綺麗なのは自明の理であろう。
ともあれ、のほほんとした雰囲気の中で進み始めてから幾らか経つと妖精の大群が龍也達の前に現れた。

「早速現れたか」

現れた妖精達を見て龍也が気持ちを切り替えた瞬間、妖精達が弾幕を放って来る。
放たれた弾幕を避けながら、

「何か、出て来た妖精の数が多くないか?」

ふと、気になった事を魔理沙は二人に尋ねた。

「そうかしら? さっきまでと大して変わらないと思うけど?」
「ここは見通しが良いからそう感じるだけじゃないのか?」

尋ねられた霊夢と龍也の二人はそれぞれ思った事を述べたからか、

「ああ、成程な」

魔理沙は納得した表情を浮かべる。
木々が生い茂っていた場所では木を避ける様にして妖精達は現れたり、弾幕を木に当てない様に放っていた。
しかし、今居る場所で妖精達はその様な事を気にする必要はない。
故に、ここに来るまでの道中では一度に相対する妖精の数が少なかったのだ。
それが妖精の数が多いと勘違いした原因である。
と言う様な事を三人で話している間にも妖精達は弾幕を放ち続けるが、そこは龍也に霊夢に魔理沙。
他の事に気を取られていたとしても、そこ等の妖精の放つ弾幕に当たるヘマはしない。
そして、反撃と言わんばかりに三人は一斉に弾幕を放つ。
三人から放たれた弾幕に妖精達は為す術も無く撃ち落されていく。
とは言え、中には回避行動を取って迫り来る弾幕を避け様としている妖精も居る。
が、同じ様に回避行動を取った妖精とぶつかったり弾幕が濃い場所に突っ込んだりとしてしまう。
結局、回避行動を取っても撃ち落される時間が僅かに延びただけに終わった様だ。
兎も角、妖精達の一団を一掃し終えた事で三人が弾幕を放つのを止めた後、

「今出て来た妖精達の弾幕、やけに濃くなかったか?」

たった今一掃した妖精達が放っていた弾幕に付いての疑問を魔理沙は二人に投げ掛けた。

「今までパターンからいくと、妖精が強くなったり弾幕が濃くなったりって言うのは異変の元凶に近付いているって事になるな」

投げ掛けられた疑問に龍也は今までのパターンを答える。

「と言う事は、この儘一直線に進めば……」
「目的地にまで一直線で行けるだろうな」

答えられた事を受けた魔理沙が妖怪の山の頂上に目を向けると、魔理沙に続く形で龍也も妖怪の山の頂上に目を向けた。
その後、

「まぁ、その代わりに妖精に見付かる頻度は上がりそうだけどな。勿論、妖精以外にも」

改めてと言った感じでこの道を進み続ける事に付いてのリスクに付いて龍也が語ると、

「その程度のリスクは承知の上よ。それに天狗の殆どは妖怪の山の頂上に目が向いていて、天狗は出て来ても十人未満らしいし」
「私達なら妖精程度、楽に蹴散らせるだろ。それに天狗が強い妖怪と言っても十人未満なら、私達の敵じゃないぜ」

霊夢と魔理沙はそう返す。
木々が生い茂っているルートでは見通しが悪い為、進行スピードを落として進む必要が在る。
進行スピードを落として進むと言う事は妖怪の山の頂上に着くまで時間が掛かると言っているも同じ。
ならば、多少のリスクは無視してでも早く妖怪の山の頂上に行きたいと言うのが霊夢の魔理沙の心中なのだろう。
何時の間にか霊夢だけではなく魔理沙も早くに妖怪の山の頂上に着く事を優先し始めた事に龍也は少し驚きつつ、

「なら、この儘このルートで進んで行くか?」

進行ルートの確認を取った。

「賛成」
「異議無し」

聞かれた霊夢と魔理沙が賛成の意を示すと、一同は川の流れに沿って移動を再開する。
移動を再開してから少しすると当然の様に妖精達が現れ、襲い掛かって来たが三人は難無く撃退して先へと進んで行く。
進んでいる最中に出て来るのが妖精だけなら頂上まで楽だと三人が思い始めた時、妖精とは違う存在が現れた。
現れたのは青を基調とした作業服の様な服にスカート、青い髪。
青い髪は両端で結っており、胸元に鍵の様なアクセサリーを付けている。
頭に緑色の帽子を被り、大きな緑色のリュックサックを背負った少女。
現れた少女は龍也、霊夢、魔理沙の順に見ていき、

「げげ!? 人間!?」

驚きの声と共に何所かに向かって飛んで行ってしまう。
飛んで行った少女の後姿を見ながら、

「何だったんだ、今の?」

ついと言った感じで魔理沙は首を傾げてしまった。

「さぁ?」
「と言うか、今のって河童じゃない?」

行き成り現れて行き成り去ってしまった少女の行動理由が分からず同じ様に首を傾げてしまった龍也を見ながら、現れた少女は河童ではないかと霊夢は口にする。
霊夢の現れた少女は河童ではないかと言う情報から、

「河童ねぇ……昔、香霖から河童は人間にかなり友好的だって聞いたんだが……」
「そうなのか。けど、その割には俺達の姿を見るのと同時にどっか行っちまったな」

魔理沙は以前聞いた河童の情報を思い出し、龍也は今知った河童の情報から少女の行動を思い返す。
そして、二人揃って首を傾げてしまう。
果たして、去って行った少女の行動は友好的なものなと言う疑問を抱きながら。

「人見知りだったんじゃないの?」

そんな二人を見ていた霊夢から、人見知りだったのではと言う予測が述べられる。

「人見知りねぇ……人見知りの妖怪って言うの珍しいな」
「ま、チョロチョロと邪魔されるよりは良いわ」

述べられた内容を頭に入れた龍也がその様な感想を口にしている間に、霊夢はそう言いながら移動スピードを上げた。
移動スピードを上げた霊夢を追う様にして二人も移動スピードを上げ、それから少しすると何度目かになるか分からない妖精の襲撃を受けた。
とは言え、三人に取って妖精の襲撃は移動スピードを妨げる要因にはならない。
上げた移動スピードを維持し、襲い掛かって来る妖精を撃退して三人が順調に先へと進んでいる中、

「光学『オプティカルカモフラージュ』」

何所からか、スペルカードを発動する声が聞こえて来た。
その瞬間、

「っと!?」
「わっ!?」
「おっと!?」

龍也、霊夢、魔理沙の三人に向って弾幕が飛来して来たではないか。
突然飛来してきた弾幕に三人は驚くも、何とか避け切って弾幕が飛来して来た方に目を向けた。
しかし、

「「「……居ない?」」」

三人が目を向けた先には誰の姿も無く、何も無い場所から弾幕が放たれている光景だけが三人の目に映る。
何も無い所から弾幕が放たれていると言う事象の正体を掴む為か、三人は進行を止めて回避行動に徹しながら弾幕が放たれている場所を観察していく。
観察を始めてから少し経った頃、

「……気付いた?」

ポツリとした小さな声で霊夢は気付いたかと呟いた。

「ああ」
「当然だぜ」

呟かれた事に龍也と魔理沙は気付いていると返す。
一体、三人は何に気付いたのか。
気付いた事と言うのは弾幕を放っている存在が居る場所。
弾幕を放っている者の居る場所が分かった理由は、放たれている弾幕にある。
今、三人に目掛けて放たれている弾幕はある二つのパターンで放たれているのだ。
二つのパターンと言うのはある部分を守る様に展開されてから向って来るタイプの弾幕と、一度後方に射出してから向って来るタイプの弾幕と言うもの。
この展開されている弾幕のパターンから霊夢、龍也、魔理沙の三人は弾幕を放っている存在が何所に居るのかを突き止めたのである。
兎も角、弾幕を放っている存在が何所に居るか分かったからには何時までも避けに徹する必要は無い。
反撃に転じると言った感じで龍也達はそこに居ると判断した場所に向けて弾幕を放つ。
放たれた弾幕は何も無い場所に次々と着弾していく。
どうやら、放っている弾幕は見えない相手にちゃんと命中している様だ。
これなら見えない相手を撃ち落すのも時間の問題だと三人が思った刹那、

「「「ッ!?」」」

突如として弾幕が命中している場所の空間が歪み始めた。
歪んでいる空間を見た三人は驚きながら、思わず弾幕を放つのを止めてしまう。
すると、少しずつ空間の歪みが形を成していって先程飛び去っていた少女が姿を現した。
先程去って行った少女が急に姿を現した事に龍也達が驚いた視線を少女に向けていると、その視線に気付いた少女が自分の体を観察し始め、

「ああー!! 私の光学迷彩装置が壊れたー!!」

驚きながら光学迷彩装置が壊れたと言う声を上げる。
上げられた声の中に在った単語に反応した龍也は、

「光学迷彩装置!?」

反射的に驚きの声を上げてしまう。
まぁ、驚くのも無理はない。
何せ、光学迷彩装置と言った様な道具は外の世界では創作物の中にしか登場しないオーバーテクノロジーと言える代物。
だと言うのに、科学技術が大して発展していない幻想郷でそんな物を見たのだから。
ともあれ、驚いている龍也が気に掛かったからか、

「光学迷彩装置って何だ?」

魔理沙は龍也に光学迷彩装置に付いて尋ねる。

「あー……解り易く言えば透明人間になれる道具かな」
「ほう……透明人間になれる道具ねぇ……」

尋ねられた龍也が光学迷彩装置に付いて簡単に説明すると魔理沙は興味を示した視線を少女に向けた。
魔理沙が少女に向けている視線から、魔理沙が何を考えているのかを龍也が察したタイミングで、

「おお!! 光学迷彩装置の事を知ってるとは其処の人間は中々に博識だね!!」

嬉しそうな表情を浮かべながら少女は龍也に視線を向ける。
何やらつい先程まで戦っていた空気が微妙なものになって来ているのを感じた為、

「取り敢えず、あんた誰?」

今の空気を変える様にして霊夢は少女が何者かであるかを聞く。

「おっと、自己紹介が遅れたね。私は河童の河城にとりって言う者さ」

聞かれた少女、河城にとりは笑顔で簡単な自己紹介をする。
やはりと言うべきか、霊夢の言った通りにとりは河童であった様だ。
それはさて置き、

「ん? にとり……」

にとりと言う名に聞き覚えがあったからか、何処で聞いたのかを龍也は思い出そうとする。
しかし、にとりと言う名を聞いた時の事を龍也が思い出す前に、

「それよりも、さっさとお山から帰った方が良いよ。今のお山はピリピリしてるからね。これ以上先に進む何て事をしちゃ駄目だよ」

警告と言えるものを残してにとりはまた何所かへ向けて飛んで行ってしまった。
飛んで行ったにとりの方向を見つつ、

「何しに来たんだ、あいつ?」

そんな事を呟いた魔理沙に、

「雛と同じ様にこれ以上進むなって言う警告に来たんでしょ。ま、秋姉妹も龍也が居なかったら同じ事をして来たでしょうけど」

やって来た理由は雛と同じだろうと言う推察を霊夢は返す。
返された内容が耳に入ったからか、

「なら、帰るか?」

少し冗談めかした声色で帰るかと言う事を龍也は口にする。

「冗談でしょ」
「そうだぜ。異変解決の途中で諦めて帰る何て在り得ないぜ」

口にされた帰ると言う単語に霊夢と魔理沙は呆れた声色でその様な返答をし、

「龍也だって帰る気は無いだろ」

続ける形で魔理沙が龍也も帰る気は無いのだろうと言う確認を取った。

「まぁな。中途半端で終わらせるのは気分が悪いからな」
「それにしても山の頂上に近付いて来てるからか、妖怪も出て来たわね」

取られた確認に龍也が肯定すると、愚痴の様なものを霊夢は零す。

「今まで出て来たのは妖精を除けば基本的に人間に友好的な神様だっらからな……。河童は人間に友好的だとは言え、これから先はそうじゃない妖怪も
出て来そうだ。例えば、知恵と知能の欠片も無い様な妖怪とかさ」

零された愚痴が聞こえた魔理沙が面倒臭そうな声色で今後の予想を述べたタイミングで、

「今の妖怪の山って全体的にピリピリしてるから、そう言った類の妖怪も大人しくしてるんじゃなかったっけ?」

今の妖怪の山の状態ならば大丈夫なのではと言う反論を龍也はするも、

「でも、それも永続的って訳じゃないんだろ?」

永続的ではないのだろうと言う反論に対する反論が魔理沙からなされてしまう。
魔理沙と龍也の間で答えの出ない問答が成されるかと思われた時、

「多分……今日一日位なら大人しくしてると思うわ」

下唇に人差し指を当てた霊夢が魔理沙の予想を否定する断言をした。
霊夢の勘の良さは龍也も魔理沙も知っている事もあり、二人は霊夢が断言した事を信じる。
そして、

「なら、少しペースを上げて行くか」
「そうだな。日が暮れる前には山の頂上には着きたいし」
「そうね。なら、ペースを上げて行きましょうか」

龍也、魔理沙、霊夢の三人は今までよりもペースを上げる事を決めて移動を再開した。
当然、移動を再開した龍也達の進行を邪魔する存在が現れる。
現れたのは妖精の大群やら回転する謎の飛行物体であり、現れたのと同時に弾幕を放って龍也達の進行の邪魔をして来た。
だが、幾ら邪魔をしたところで龍也達の進行を止める事は出来ずに現れた者は全て返り討ちにあってしまう。
邪魔物を全て片付けた事で龍也達は一息吐くと、

「あれ!? 君達、帰ってなかったの!?」

驚いた表情を浮かべたにとりが再び龍也達の前に姿を現した。
驚いている理由は龍也達が妖怪の山から去らずに残っていたからであろう。
ともあれ、妖精や回転する謎の飛行物体と違って一筋縄ではいかない相手が出て来た事で龍也達は一旦足を止める。
その刹那、

「もう!! ちゃんと帰る様に言ったじゃないか!!」

少し怒った顔になったにとりが文句の言葉を三人に投げ掛けた。
が、

「何で態々あんたの言う事を聞かなきゃならないのよ」

投げ掛けられた文句を無視する様に霊夢はシレッとした表情でそう主張する。

「怖いもの知らずの人間だねぇ……」

された主張を受けたにとりは霊夢の事を怖いもの知らずだと称して、

「そもそも、何しにこんな所に来たのさ?」

思い出したかの様に妖怪の山にやって来た理由を聞く。

「妖怪の山の頂上に現れた神をぶっ飛ばしに」

聞かれた事に霊夢は間髪入れずに妖怪の山にやって来た理由をにとりに教える。

「山の頂上に現れた神……若しかして、外の世界から来た神様の事?」

教えられた内容を頭に入れたにとりが外の世界から来た神と言う情報を漏らした為、

「「「外の世界?」」」

つい疑問気な表情を魔理沙、龍也、霊夢の三人は浮かべ、

「外の世界ねぇ……龍也は何か知ってるか?」
「知ってるかと言われても……外の世界に居た頃は神社とかにはあまり縁がなかったからなぁ……」
「外の世界では信仰が得ずらいって言うらしいから、本当に幻想郷に引っ越して来たのかもしれないわね。あれは冗談半分の積りも言ったんだけどねぇ……」

一寸した話し合いを始めた。
話し合いの内容が聞こえて来たにとりは、

「龍也……若しかして、君が四神龍也?」

一応と言った感じで龍也に君が四神龍也かと言う確認を取る。

「そうだが……俺の事を知っているのか?」
「うん。椛から色々聞いてるよ」

取られた確認を肯定しながら龍也が何故自分の事を知っているのかと問うと、椛から聞いているとにとりは答えた。
答えた中に在った椛と言う名前から、

「……思い出した。お前、椛の言ってた友達のにとりか」

にとりが椛の言っていた友達の河童である事を思い出した。
同時に、龍也達は思う。
幸いと言っては何だが、にとりは龍也の事を知っている。
であれば、この儘自分達を通してくれるかもしれない。
しかし、そんな龍也達の思いとは裏腹に、

「君が四神龍也だって言うんであれば、尚更これ以上先に進ませる訳にはいかないね」

当のにとりは龍也達をこの先に通さないと言う意思を示しながら構えを取った。

「お前から恨みを買った覚えはないんだが……」

通さないと言う意思を示したにとりを見て龍也がにとりから恨みを買った覚えは無いと漏らしたからか、

「あ、龍也には恨みはないよ。只、人間は盟友だし……何より友達の友達があんな危険な所に行くのを見過ごす事は出来ないからね。近くに行ったら
例え光学迷彩装置を使っててもバレるだろうから遠くから見ただけだけど、あそこに居る神は相当強い力を持っている。だからこそ、君達をここから
先に通す訳にはいかないのさ」

龍也達を通さないと言う主張を行なった理由をにとりは説明する。
どうやら、にとりも龍也達の身を案じてここから先に進ませたく様にしている様だ。
だからと言って、龍也達も足を止める気はない。
取り敢えず、戦闘を避ける事は出来なさそうなので自分が戦うと言った感じで龍也が前に出ようとしたが、

「私がやるぜ」

龍也よりも先に魔理沙が前に出た。
前に出た魔理沙を見て先を越されたなと龍也が思っている間に、

「むー……大人しく帰る気は無いんだね」

何処か不満気な表情をにとりは浮かべる。
それに対し、

「当然だぜ」

魔理沙は勝気な笑みを浮かべた。

「……なら、力尽くで追い返す事になるよ。まぁ、盟友を傷付ける様な真似はしたくないから弾幕ごっこでだけど」
「別に構わないぜ。唯、私は弾幕ごっこも強いぜ」

帰る気が無いのを理解したにとりは弾幕ごっこで龍也達を追い返す事を決め、弾幕ごっこで戦う事を魔理沙は受け入れる。
そんな二人の様子を見ながら、

「はぁ……また足止めか」

溜息を吐きながら霊夢は愚痴を零す。
その後、

「まぁ、にとりは何か情報を持ってるみたいだからそれを聞いてからでも良いんじゃないか?」
「私は早く先に進みたいんだけどな……」

龍也と霊夢は軽い会話を交わしながら後ろへと下がる。

「そう言えば、自己紹介がまだだったな。私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだぜ」

二人が後ろに下がったタイミングで魔理沙は簡単な自己紹介をした。
魔理沙の自己紹介を合図にした様ににとりは弾幕を放ち、弾幕ごっこが開始される。
放たれた弾幕と言うのは細かいのを大量にばら撒きつつ、要所要所で大きな弾幕を放つと言うもの。
慣れていなければ避けるのも難しそうな弾幕ではあるものの、

「おっと」

弾幕と弾幕の間に体を入れて魔理沙はにとりの弾幕を避けて行き、

「さて、私からもいかせて貰うぜ!!」

反撃と言わんばかりに弾幕を放つ。
魔理沙が放った弾幕はにとりが放った弾幕の隙間を縫う様にしてにとりに迫る。

「わわ!?」

迫って来た弾幕を見たにとりは驚きながらも何とか全て避け、

「ううー……まさかこうも簡単に避けられるとは……」

自身の弾幕を避け続けている魔理沙に驚いたと言った感情を向けた。

「言っただろ? 弾幕ごっこも得意だって」

向けられた感情に気付いた魔理沙は得意気な笑みを浮かべながらそう返し、放つ弾幕の量を増やしていく。
弾幕の量が増えた事で自分が放っている弾幕が次々と相殺されていくの見たにとりは、一寸した危機感を抱いた。
抱いた危機感に従う様にしてにとりは弾幕を放つのを止めながら右手を懐に入れ、

「洪水『ウーズラッティング』」

懐からスペルカードを取り出し、取り出したスペルカードを発動させる。
スペルカードが発動すると魔理沙の真横から魔理沙を呑み込む程の量の弾幕が現れた。
周囲を見渡して自分が包囲された事に魔理沙が気付いた瞬間、

「っとお!?」

現れた弾幕が一斉に魔理沙へと迫って来た。
最初はその弾幕の量に圧倒されたが、魔理沙は弾幕を放つのを止めながら直ぐに隙を見付け、

「せい!!」

見付けた隙に体を滑り込ませる。
そして、そこからにとりに向けて弾幕を放とうとすると、

「げっ!?」

にとりが魔理沙に向けて大き目の弾幕を放射状にして放って来た。
今居る場所に留まっていては確実に被弾してしまう為、魔理沙は弾幕を放とうとしていたのを中断して回避行動に移る。
勿論、真横から迫って来る弾幕に当たらない様に気を付けながら。
暫らく魔理沙が回避に徹しているとにとりが放っている弾幕は消え、再び真横から大量の弾幕が魔理沙を呑み込まんとして迫る。
その弾幕を避けながら、自分もスペルカードを使ってこの弾幕の山を薙ぎ払おうかと魔理沙は考えるが、

「……そうか、成程な」

直ぐに発動されているにとりのスペルカードの特徴に気付き、その考えを実行に移すのを止める。
気付いた特徴と言うのは意識の引き付け。
行き成り大量の弾幕が現れれば、どうしてもそちらに意識が行ってしまう。
意識の行った方の弾幕で倒せればそれで良し。
倒せ無くても意識を逸らす事は出来る。
意識が逸れている間ににとりが弾幕を放って仕留めると言うのが、今発動されているスペルカードのタイプなのだ。
一見、攻略法が無い様に見えるが攻略法はキチンと存在している。
攻略法と言うのは最初に真横から迫って来る弾幕。
真横から迫って来る弾幕は只直線的に放たれているので、途中で方向転換をしたりする事は無い。
つまり、最初の弾幕さえ避けてしまえば後は真横に移動しながらにとりの弾幕を避ければ良いだけなのだ。
だが、この方法は言うは易し行うは難し。
何故ならば、一歩間違えれば大量の弾幕をその身に受けて自動的に敗北が決まってしまうからだ。
しかし、そこは魔理沙。
先程と同じ様に魔理沙は真横から迫って来る弾幕の隙間に体を入れて避け、にとりから放たれる弾幕を左右に動きながら避けていく。
避けている最中で自分とにとりの間の射線が空くと、魔理沙はスピード重視の弾幕を放つと言う行為を被弾する事なくこなす。
魔理沙の弾幕は一直線ににとりへと向かい、向かった弾幕はにとりに直撃していった。
それなりの数の弾幕を受けたにとりは、弾幕から逃れる様にして立ち位置を変え、

「この量の弾幕を見ても全く物怖じしないとは……度胸が有るねぇ……」

圧倒的とも言える弾幕を前にしても物怖じしない魔理沙を度胸が有ると称してスペルカードの発動を止める。
このスペルカードでは魔理沙を仕留め切れないと判断したからだ。
ともあれ、スペルカードの発動が止まった事で周囲の状況が見易くなったので、

「その程度で物怖じする様な生活はしてないぜ」

一旦弾幕を放つのを魔理沙は止め、胸を張りながらにとりが称した事にそう答える。

「最近の人間ってこんなに強いのばっかりなのかな?」

答えられた事からにとりはその様な感想を抱きつつ、仕切り直しと言った感じでにとりは弾幕を放って後退していく。
迫り来る弾幕を避けながら応戦する様にして魔理沙も弾幕を放つ。
互いに弾幕を放ち合い始めてから時間が経つに連れ、二人の距離が少しずつ開いていく。
弾幕ごっこが始まった時よりも大分距離が開いた辺りで頃合だと判断したにとりは右手を懐に入れ、

「水符『河童のポロロッカ』」

懐からスペルカードを取り出すのと同時にスペルカードを発動させる。
スペルカードが発動すると雨の様な弾幕が辺り一面に降り注ぎ始めた。
上空から降り注ぐ弾幕と言うのは余り見ないタイプのもの。
これならば魔理沙を仕留められるとにとりは思っていたのだが、

「何で全然当たらないのー!?」

そんなにとりの思いとは裏腹に魔理沙はにとりの弾幕を的確に避けていた。

「上空から降り注ぐスペルカードって全然見ないから初見なら確実に仕留められると思ったのに……」

想定外の出来事が起こっているせいでつい愚痴の様なものを零してしまったにとりに、

「悪いな、そのタイプのスペルカードは既に経験済みだぜ」

魔理沙は上空から弾幕が降って来るタイプのスペルカードは初めてでは無いと言う事を教え、以前龍也の新作スペルカードのテストに付き合った時の事を思い出す。
あの時の魔理沙は龍也のスペルカードを見れば自分にとっても良い刺激になる程度にしか思っていなかった。
それがまさか、こんな所でその経験が役に立つとは魔理沙も予想外の事。
人生、何がどう繋がるのか分からないものである。
と言った感じで少し昔の事を思い出しながら魔理沙は上空から降り注ぐ弾幕を順調に避けながらにとりに向けて弾幕を放つ。
魔理沙から放たれる弾幕をにとりは避けつつ、スペルカードの発動を止める。
今発動しているスペルカードでも魔理沙を倒せないと言う結論を下したからだ。

「何だ、スペルカードの発動を止めるのか? この手のスペルカードは余り見ないから結構楽しかったんだがな……」

スペルカードの発動が止んだ事で少し不満気な表情に魔理沙がなると、

「ふふん。その余裕が何時まで続くかな?」

何処か得意気な表情になっているにとりが何時の間にか取り出していたスペルカードを魔理沙に見せ、

「河童『お化けキューカンバー』」

見せているスペルカードを発動させる。
その瞬間、にとりの周囲に緑色の光を発する球体が幾つも現れ、

「おおっと!!」

現れた球体がレーザーとなって次々と魔理沙に飛来する。
レーザーだけあって中々に弾速が速い。
おまけに量もある。
この二つが合わさっているせいか、魔理沙も完全にレーザーを避け切れなくなり始めた。
次第にレーザーが掠り始めていっている魔理沙の様子を見て、

「ふふん、どうだい? 降参するかい?」

降参を促す様な言葉をにとりは魔理沙に掛ける。

「降参? そんなものは有り得ないぜ!!」

掛けられた言葉を払い除けながら魔理沙は大きく距離を取る様にして移動を開始し始めた。
移動を開始した事で掠るレーザーの量が大幅に増えるが魔理沙に気にした様子は見られない。
魔理沙の様子はどうであれ、レーザーが大量に飛び交う中を高速で動き回っても掠るだけで済んでいるのは流石と言うべきであろう。
兎も角、レーザーを掠らせ捲くりながらもにとりからある程度の距離を取った魔理沙は、

「折角だから教えて置いてやるぜ」

そう言い放ちながら懐に右手を、スカートのポケットに左手を入れ、

「弾幕はブレインでもスピードでも量もでもない……」

懐からスペルカードを、

「パワーだって事をな!!!!」

ポケットからミニ八卦炉をそれぞれ取り出し、

「恋符『マスタースパーク』」

取り出したスペルカードを発動させつつミニ八卦炉を構える。
丁度そのタイミングで魔理沙から極太のレーザーが放たれた。
放たれた極太のレーザーは緑色のレーザーを呑み込みながらにとりに向って猛スピードで突き進んで行く。
突き進んで来ている極太レーザーを目に入れたにとりは慌てて回避行動を取る。
が、回避行動を取った時間が僅かに遅く、

「ッ!!」

にとりは極太のレーザーに呑み込まれてしまう。
それから少しすると極太レーザーが消え、多少ボロボロの姿になったにとりが出て来た。
出て来たにとりは顔を動かして魔理沙の居る場所を探そうとした刹那、

「これで……チェックメイトってやつだぜ」

目の前でミニ八卦炉を構えた魔理沙の姿がにとりの目に映り込む。
これではどうする事も出来いないと言う事をにとりは感じ取り、

「……まいった。私の負けだよ」

自分の敗北を認める。
こうして、魔理沙とにとりの弾幕ごっこは魔理沙の勝利で幕を閉じた。






































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