魔界の門に突入した霊児達五人は周囲の様子を伺いながら先へと進んで行く。
様子を伺っている五人の目に映る色は黒ばかり。
ずっと同じ光景が続いているからか、

「先程からあまり変わらない光景が続きますね……」

文はそんな感想を漏らしながらカメラのシャッターを切っていく。
黒ばかりの光景であっても幻想郷では見られない光景であるからか、一応写真に収める価値はあると判断した様だ。
文が漏らした感想が聞こえたからか、

「ここはまだ魔界へと続く通路みたいな所だからねぇ。同じ光景が続くのは仕方が無いさ」

魅魔はここは通路の様な場所だからか同じ様な光景が続くのは仕方が無いと口にした。
魅魔の発言から魔界はまだ先と知った霊児は、

「なら、ペースを上げるか」

移動速度を上げる。
そんな霊児に続く様に魔理沙、魅魔、幽香も移動速度を上げて行く。

「あ、待ってくださいよー!!」

写真を撮る事に集中していた文は少し出遅れた感じで移動速度を上げ、先に行った四人の後を追う。
ペースを上げてから少しすると、

「何だ、あれ?」

前方の方に光る何かが霊児の目に映った。
光っている物が気になった霊児は一旦進行を止めると、他の四人も霊児に続く様に進行を止める。
止まった事を利用して霊児は光っている物を注意深く見ると、

「……近付いて来る?」

光っている物が自分達に近付いている事が分かった。
それが視認出来る距離まで来ると、

「青い……岩?」

霊児は近付いて来ている物が青い岩である事を知る。
だが、知れた事はそれだけでは無い。
近付いて来た青い岩は一つ二つでは無く、無数である事も知れたのだ。
霊児達に向かって迫って来る無数の青い岩。
このままでは青い岩と正面衝突してしまうし進行の邪魔になるのは自明の理。
なので、霊児達はそれぞれの方法で青い岩を破壊する事にした。
霊児は拳で。
魔理沙と魅魔は弾幕で。
幽香は傘で。
そんな四人とは違い、文は青い岩の破壊活動には参加せずに青い岩を破壊している霊児達の様子を写真に収めていたが。
文が青い岩の破壊活動に参加していない事に気付いた霊児は青い岩の破壊を止めて文に近付き、

「……おい」

霊児はそんな文に向けて一言掛ける。
声を掛けられた文は霊児の方に顔を向け、

「何か?」

どうしたのかと問いながら首を傾げた。
少しも悪びれた様子が見られない文に霊児は少し腹を立てながら、

「写真を撮る以外にする事はないのか?」

写真を撮る以外に何かする事はないのかと口にする。
言外にお前も青い岩の破壊活動をしろと霊児は言っているのだが、文はその事を知ってか知らずか、

「いやー、最後尾に居ると岩とか全然飛んで来なくて安全なんですよね。ですので、私は皆さんのご活躍を写真に収め様かと思いまして」

安全な最後尾に居るから皆の活躍を写真を撮っているのだと笑顔で返す。

「……前に出て迎撃に参加しようと言う気は?」
「あやややや、霊児さんは私の様なか弱い女の子を盾にする御積りですか?」
「それを言ったら俺なんて只の子供だぞ」
「……霊児さんを只の子供と表現するのはかなり無理があるかと」
「…………俺もそう思った」

何だか無駄な時間を過ごした気になった霊児は思わず溜息を一つ吐くと、

「ちょいと、喋ってないでこっちを手伝ってくれないかい? 新手が来たんだからさ」

魅魔から新手が来たから手伝ってくれと言う声が聞こえて来た。

「新手?」

少し疑問気な表情を浮かべながら魅魔の方に顔を向けると、霊児の目には自分達の方に迫って来るエネルギー体が幾つか映った。
しかも、通って来た場所に弾を幾つも配置しながら。
こちらへの攻撃だけではなく進行妨害も兼ねているのなら早めに破壊した方が良い。
そう考えた霊児は両手をエネルギー体に向け、霊力で出来た弾を幾つか発射してエネルギー体の迎撃を行う。
霊児が放った弾はエネルギー体に次々と命中し、エネルギー体を破壊していく。
エネルギー体を全て破壊し終えた後、霊児は青い岩を探そうと視線を動かすが、

「……無いな」

青い岩は霊児の目には映らなかった。
既に青い岩は破壊し終えたのだと判断した霊児は、

「……ふぅ」

一息吐いて他の面々の様子を見ると、余裕そう表情を浮かべている幽香と魅魔に少々息が上がっている魔理沙の姿が目に映った。
息を上げている魔理沙に霊児は近付き、

「大丈夫か?」

大丈夫かと声を掛ける。
声を掛けられた魔理沙は霊児の方に顔を向け、

「う、うん。大丈夫だよ」

大丈夫だと返す。
こう言った物量で攻めて来る相手と戦うのは初めてなので緊張しているのかもしれないと霊児が思っていると、

「あら、あれは何かしら」

幽香がそんな声を上げた。
気になった霊児は幽香の方に目を向け、幽香が見ている方に顔を動かすと、

「…………何だ、あれ?」

卵から天使の羽の様な物を生やした生物らしきものが霊児の目に映る。
それを見ていたのは霊児と幽香だけでは無かった様で、

「おお!! 魔界特有の生物か何かですかね?」

文は嬉しそうな表情を浮かべながらカメラのシャッターを切っていき、

「わっ、可愛い!!」

魔理沙は可愛いと言う感想を口にした。
魔理沙が口にした可愛いと言う感想を聞いた霊児は、

「そうか?」

疑問気な表情を浮かべながらもう一度卵から天使の羽の様な物を生やした生物らしきものに目を向けてじっくりと見てみる。
が、とてもじゃないが可愛いと言う感想は出て来なかった。
珍妙な生物とか変わった卵と言う感想なら出て来たが。
女の子にはあれが可愛いと思えるのだろうか。
霊児がそんな事を考えていると、その卵は発光して無差別に弾幕を放って来た。
放たれた弾幕を見た霊児達は、

「おっと」

散開して弾幕を回避していく。
先に進む為にはあの卵を倒す必要があると判断した霊児は左腰に装備してある短剣を左手で抜き放ち、弾幕を掻い潜りながら卵へと近付き、

「……しっ!!」

短剣を振るって卵に斬撃を喰らわせる。
霊児の斬撃が当たった場所に鋭い切れ込みが入ると、卵は無差別に放っていた弾幕を霊児一人に集中させ始めた。
今の一撃で霊児を一番の脅威の対象と認識した様だ。
卵から放たれている弾幕を霊児は細かく動きながら避けていくと、

「…………ッ」

霊児は何かに気付いたかの様な表情を浮かべながら細かい避け方から大きく旋回しながら避けると言う方法に避け方に変える。
避け方を切り替えてから少しすると、

「俺一人にだけ意識を集中させてて良いのか?」

霊児は自分だけに意識を集中させて良いのかと呟く。
その瞬間、魔理沙、魅魔、幽香の三人から卵に向けて無数の弾幕が放たれた。
そう、霊児はこの三人が弾幕を放とうとしている事に気付いて大きく旋回すると言う回避行動に移行したのだ。
尤も、魔理沙、魅魔、幽香の三人と違って文はカメラのシャッターを切るだけであったが。
霊児にのみ意識を向けていた卵は迫り来る弾幕を回避する事が出来ず、直撃を受けてしまう。
弾幕の直撃を受けた事で卵から爆発音と爆煙が発生すると、

「やったか?」

霊児は魔理沙達の居る場所に戻りながらやったかと呟く。
すると、爆煙が晴れて卵が姿を現す。
多少の皹や焦げ目は見られるが、卵から感じる雰囲気からまだまだ健在である事が分かる。

「あら、あれだけ喰らってその程度だなんてね」

卵が健在である事が分かると、幽香は嬉しそうな表情を浮かべた。
手応えがありそうな相手で嬉しいのだろうか。
そんな事を幽香以外の四人が考えていると、

「……何だ?」

突如、卵が発光を始めた。
同時に、卵に無数の皹が走っていく。
卵が光を発し、皹を増やしていく事から、

「若しかして、何かが生まれるのでは!?」

文は卵から何かが生まれるのではと口にし、少々興奮気味な様子でシャッターを切っていく。
通常、こう言う場合は攻撃を加えて生まれるのを防ぐのがセオリーである。
だが、霊児達はそれをしなかった。
何故ならば、霊児も、魔理沙も、魅魔も、幽香も、文も何が生まれてくるのか非常に興味があるからだ。
霊児達がワクワクとした表情をしながら卵を見ていると、皹が卵全体に広がり、

「うっ!!」

目を開けられない程の光が卵から発せられた。
霊児達は腕で目を覆いながら目を瞑る事で光を防ぐ。
それから少しすると、光が収まり始めた。
光が収まった事を感じとった霊児達は、恐る恐る目を開き始める。
一体、どんな生物が生まれているのかと言うワクワクした想いを抱きながら。
そんな想いを抱いていた霊児達の目に映ったものは、変な形をしたエネルギー体であった。
生まれて来たものを見た霊児達は、

「「「「「うわぁ……」」」」」」

落胆した表情を浮かべる。
霊児達はあの卵から天使だとか聖獣だとか聖龍だとかが生まれて来るものだとばかりに思っていた。
思っていた生物でなくとも、生き物は生まれて来るであろうとは思っていたのだ。
だが、生物ではなくエネルギー体が生まれて来るとは誰が想像したであろうか。
全員が全員、期待を裏切られた気分と言うか遣る瀬無い気分になった。
文に至っては、フィルムの無駄でしたと言い出す始末。
皆が気持ちを代表するかの様に霊児は短剣を鞘に収め、右手を拳銃の形にする。
そして腕を上げ、狙いを卵から生まれたエネルギー体に絞りながら霊児は右手の指先に霊力を集めていく。
霊力を集めている指先から青白い光が見え始め、その光は目に見える早さで輝きを増して強くなっていった。
光が強くなっていく様子を見て、卵から生まれたエネルギー体は不味いと思ったのか慌てて霊児に向けて大量の弾幕を放つ。
迫って来た弾幕が霊児に当たる直前、霊児は指先から霊力で出来た巨大な弾を放った。
放たれた巨大な弾は迫って来ていた弾幕を蹴散らしながら突き進んで行き、卵から生まれたエネルギー体に命中する。
だが、霊児から放たれた弾はエネルギー体に当たっても爆発したりはせずにそのまま突き進んで行った。
霊児が放った巨大な霊力の弾が見えなくなると、

「さ、先に行こうぜ」

霊児は先に行く様に言い、移動を再開する。
進んで行った霊児に続く様に魔理沙、魅魔、幽香、文の四人も移動を再開して霊児の後を追って行く。
霊児達が移動を再開してから暫らく経ったが、今までとは違って妨害されると言う事はなかった。
若しかしたら、先程霊児が放った巨大な霊力で出来た弾が進路の妨害になるものを粗方吹き飛ばしていったのかもしれない。
理由はどうあれ、これなら楽が出来るなと霊児が思っていると、

「あら、団体さんのご到着ね」

霊児達の進行方向状に金色の髪に白い服を着た少女が現れた。
急に少女が現れた事で霊児が一旦止まると、それに伴う様に魔理沙、魅魔、幽香、文も足を止める。
全員の足が止まると、

「誰だ、お前?」

霊児は少女に何者なのかと問う。
答えてくれるかは微妙であったが、

「私はルイズ。魔界の住人よ」

少女は思いのほか簡単に自分の事を答えてくれた。
魔界の住人がこんな所に居ると言う事はこの近くに魔界の住人が住む町や村などがあるのでは霊児が考えていると、

「貴方達は魔界に何の用かしら?」

ルイズは何の用かと尋ねる。

「まぁ……一寸した用でな」

霊児は少し言葉を濁す様に一寸した用があると答えると、

「ふーん……ま、魔界は良い所だからゆっくり観光していってね」

ルイズはゆっくり魔界を観光していってねと言うかなり好意的な返事を返してくれた。
好意的な返答に霊児は少し驚いたものの、この分なら戦う必要はなさそうだと思っていると、

「あ、そうだ。貴方達に聞きたい事があるの」

ルイズが霊児達に質問を投げ掛ける。

「何だ?」

聞きたい事を言う様に霊児が促すと、

「さっき、貴方達が来た方向から巨大なエネルギーの塊が飛んで来たんだけ何か知らない?」

ルイズは飛んで来た巨大なエネルギーの塊に付いて何か知らないかと言う。

「……え?」

ルイズの発した言葉を聞いた霊児は思わず体の動きが止めてしまった。
ルイズが口にした巨大なエネルギーの塊と言うのに思いっ切り心当たりがあるからだ。

「何とか避けれたんだけど、私のお気に入りの帽子は巻き込まれちゃってね……」

話を聞く限り、霊児が放った弾のせいでルイズの帽子が台無しになった様である。
だが、ルイズはその原因が霊児にあると気付いた様子は無い。
ならば誤魔化せると判断した霊児が言葉を紡ごうとした時、

「ああ、その巨大なエネルギーの塊はここに居る男の子……霊児さんが放ったものですよ」

文が巨大なエネルギーの塊を放ったのは霊児であると言ってのけた。
それを聞いた霊児は文に詰め寄り、

「おま、何で余計な事を……」

何で余計な事を言ったんだと言おうとすると、

「あやややや、落ち着いてください霊児さん」

文は霊児に落ち着く様に言う。
そして、

「考えても見てください。これはチャンスですよ」

これはチャンスだと口にする。

「チャンス?」

霊児は幾分か落ち着きを取り戻し、首を傾げると、

「そうです。ここで魔界の住人の実力を知って置けば、この先の指針になると思いませんか?」

文はルイズと戦う事で得られるメリットを言う。
文の言うメリットを聞いた時、霊児は確かにと持った。
大体の実力を知っているのと知っていないのでは色々と変わってくるからである。
少なくとも、それが分かっていれば今後は必要最低限の力で戦えて力を温存する事が出来るからだ。
ルイズと戦う事で得られるメリットを霊児が頭の中で纏めていると、

「魔界の住人がどれ程の力を持っているのか……見せて貰いましょうか」
「いいかい、霊児が戦っている様子を確りと見て置くんだよ」
「はい、魅魔様!!」

幽香、魅魔、魔理沙の三人がそんな事を口にしていた。
どうやら、完全に霊児に任せる気の様だ。
三人の声で考え事から脱却した霊児が何かを言おうとすると、

「ほらほら、ルイズさんの方は準備万端の様ですよ」

文は霊児にルイズの準備万端である事を教え、霊児から距離を取る。
準備万端である事を聞いた霊児がルイズの方に顔を向けると、弾幕が迫って来ている様子が見て取れた。

「おっと……」

迫って来る弾幕を霊児は体を傾ける事で避けて行く。
因みに幽香、魅魔、魔理沙の三人は弾幕が放たれた時点で弾幕の射程圏外に退避していた。
中々に密度がある弾幕だなと霊児が思っていると、

「ふふ、貴方を倒して私の帽子を弁償させてやるわ!!」

ルイズは帽子の弁償をさせると言いながら放つ弾幕の量を増やしていく。
増えた弾幕を見てこちらも攻めに転じ様と考えた霊児は少し後ろに下がりながら弾幕を放つ。
霊児が放った弾幕がルイズの放った弾幕と激突し、相殺し合っていく。
相殺しあっていく弾幕を見ながら霊児はどうするかを考える。
魔界の住人の実力をもっと知る為に勝負を長引かせるべきか、それともルイズの実力をこの程度と断じてさっさと先に進むべきかを。
どちらにするか霊児が頭を悩ませていると、弾幕が相殺し合った事で生まれた爆煙の中からレーザーが飛び出して来た。

「……っと」

目の前まで迫って来たレーザーを霊児が体を傾けて回避する。
それを合図にしたかの様に大量のレーザーが飛び出して来た。
霊児は回避に専念する為に一旦弾幕を放つのを止める。
すると、再び弾幕が迫って来た。
迫り来る弾幕とレーザーを避けながら、ルイズは弾幕とレーザーを主体に戦うのかと霊児は考えつつ、

「そう言えば、サラも遠距離戦を主体にしてたな……」

サラとの戦いを思い出す。
サラとルイズも遠距離戦を主体としている事から、魔界に属する者は皆遠距離戦を重視しているのだろうか。
もしこれが当たっているのであれば、結構な収穫を得られた事になる。
同時に、ルイズとこれ以上戦っても得られるものは何も無いと思った霊児は早々に決着を着ける為に左腰に装備している短剣を左手で抜き放つ。
そして、抜いた短剣を弾幕とレーザーの中を掻い潜らせる様に投擲する。
投擲された短剣はルイズへと向かって行き、

「ッ!?」

ルイズに当たらずにルイズの真横を通り抜けた。
短剣が当たらなかった事でルイズがホッとした表情を浮かべると、

「……え?」

ルイズは間の抜けた表情を浮かべてしまう。
何故ならば、ルイズの視界から霊児の姿が消えていたからである。
ルイズは一瞬たりとも霊児から目を離したりはしていなかったのにだ。

「ど、何所に……」

霊児を探す為に弾幕とレーザーを放つの止め、ルイズが顔を動かそうとすると、

「動くな」

動くなと言う言葉が聞こえて来た。
その言葉が自身の背後から発せられている事にルイズが気付いたのと同時に、

「ッ!!」

首元に短剣をそえられている事を知る。
一体何時の間に背後に回ったのかとルイズが思っていると、

「どうする? 続けるか?」

霊児はルイズに続けるかと問う。
問われたと言っても、この状況下ではルイズに選択肢は無く、

「はぁ……私の負けよ」

ルイズは自分の負けだと口にした。
ルイズの敗北宣言を聞いた霊児は短剣を鞘に収めてルイズから離れると、

「はぁー……翌々考えればあんな大きなエネルギーの塊を出せる様な相手と戦うなんて無謀だったわね」

あんなエネルギーの塊を放った霊児と戦うのは無謀だったと言って溜息を一つ吐く。
そして霊児の方に顔を向け、

「そっちじゃ、霊児の様な子供はみんな強いの?」

幻想郷では霊児位の年頃の皆強いのかと問う尋ねると、

「いやー、霊児さん位の強さを持った人間何て滅多に居ませんよ」

文が霊児の様な強さを持った人間何て滅多に居ないと言いながら近付いて来た。
近付いて来た文に霊児とルイズが顔を向けると、

「それにしても、思っていた以上に早く終ってしまったのであまり写真は撮れませんでした……」

文は早くに決着が着いてしまった事で写真を多く撮れなかったと言う不満を口にする。

「お前な……」

霊児とルイズの戦いの写真をあまり撮れなかったと言った文に霊児が呆れた視線を向けていると、

「思ってたより強くなかったわね、魔界の住人って」

幽香は魔界の住人は思っていた程の強さでは無かったと言って先へと進んで行った。
それに続く様に、

「どうっだったい? 霊児の戦いは?」
「霊児がすっごく強かったです!!」

魅魔と魔理沙もそんな会話をしながら先へと進んで行く。

「ほらほら、私達も先に進みましょうよ」

霊児に早く先に進む様に促して文も先に進んだ三人を追い掛けると、

「……はぁ」

霊児は溜息を一つ吐いた。
皆好き勝手してるなと思いながら霊児も先に行こうとすると、

「あ、待って」

ルイズが霊児を呼び止める。

「何だ?」

呼び止められた霊児がルイズの方に顔を向けると、

「貴方達……と言うか貴方は私に止めを刺さなかったから悪い人じゃないと思うから言うけど、魔界の奥の方とかには危険で強力な力を持った者とかも
居るから気を付けてね。何をしに魔界にやって来たのかは知らないけどね」

魔界の奥の方には危険な存在も居るから気を付けてと言う。

「危険な存在ね……」

危険な存在と言われ、魅魔や幽香の様な実力を持った者でも居るのかなと考えながら、

「分かった、ありがとな。一応その事は頭の隅にでも留めて置く」

霊児は礼の言葉を述べ、先に行った四人の後を追って行く。
























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