「んー……今日は中々売れないな……」

今日は中々売れないなと言う事を霊児は呟き、風呂敷の上に乗っかっているお守りやお札に目を向ける。
現在、霊児は人里の一角でお守りやお札を売ると言った商売をしていた。
普段であればとっくにお守りやお札が完売していても可笑しくは無いのだが、今日に限っては霊児の呟き通り中々売れてはいない。
何故、今日に限っては完売せずに中々売れてはいないのか。
答えは簡単。
夏の暑さのせいで里民が長時間外に出様とはしないからだ。
物を売ってる場所が建物の中であればもっと売れたであろうが、霊児は露店の様に屋外で物を売っている。
これでは普段の様に売れなくても仕方が無いだろう。
こんな暑い中で商売をしているのだからもっと客が来てくれても良いのにと思いつつ、霊児は顔を空に向ける。
顔を空に向けた霊児の目には青い空に太陽、そしてそれなりの数の白い雲が映った。
雲が在る分幾分か涼しいが、それでも暑いものは暑い。
だからか、

「早く秋にでもならないもんかな……」

霊児は早く秋にでもならないかなと言う愚痴を零し、空に向けていた顔を下げる。
顔を下げると、通路に人が殆ど居ないと言う事が分かった。
この分では客はもう来ないと判断したから、

「今日はもう店仕舞いにするか」

霊児は店仕舞いにする事を決め、風呂敷を畳み始めていく。
そして、風呂敷を畳み終えると、

「さて……とっと」

霊児は畳み終えた風呂敷を手に持ち、立ち上がって空中に躍り出様とする。
その瞬間、

「斉主様斉主様」

誰かが霊児に声を掛けて来た。
掛けられた声に反応した霊児は空中に浮かび上がるのを止め、声が聞こえて来た方に顔を向ける。
顔を向けた先には老婆が居たので、

「どうしたい、婆さん。お守りかお札が欲しいのかい?」

霊児は老婆に向けてお守りかお札が欲しいのかと聞く。
そう聞かれた老婆は、

「いえ、実は斉主様に御相談が在りまして……」

お守りやお札が欲しいのでは無く、相談が在る事を口にした。

「相談?」

相談が在ると言われた霊児が首を傾げたからか、

「はい。最近、家の中で変な呻き声が聞こえる様になりまして……」

老婆は相談したい内容に付いて話し始めた。
老婆の話を聞いた霊児は、

「呻き声ねぇ……」

十中八九、悪霊か怨霊の仕業だろうと思いつつ、

「……………………………………………………」

どうするべきか考えていく。
正直に言えば、こんな暑い日に余計な仕事はしたく無いと言うのが霊児の本音だ。
だが、人里の中では妖怪等が人間に危害を加える事は禁じられている。
まぁ、悪霊や怨霊を妖怪等に分類しても良いかと言われた少々疑問ではあるが。
兎も角、深刻なものでは無いとは言え人里で人間以外の存在が人間に危害を加えている状況は解決する必要が在ると霊児は感じ、

「……まぁ良いや。婆さんの家まで案内してくれよ」

老婆に家まで案内する様に言う。
霊児が自分の家の問題を解決してくれると言ってくれたからか、

「ありがとうございます」

老婆は嬉しそうな表情を浮かべ、頭を下げた。
その後、霊児は老婆に案内される形で老婆の家へと向かって行く。





















そして、老婆の家に着くと、

「お邪魔しますよっと」

霊児は一声掛けて老婆の家に上がり込んだ。
老婆の家に上がり込んだ霊児は自然な動作で居間へと向かい、居間に着くと立ち止まって周囲を見渡していく。
周囲を見渡している霊児を見て、

「あの……斉主様、どうでしょうか?」

老婆は恐る恐ると言った感じてどうだと尋ねる。
尋ねられた霊児は老婆の方に顔を向け、

「普通に憑かれてるな。霊が」

普通に霊が憑いている事を伝え、

「俺だったら何とも無いがこいつが長い間この家に憑いてると、婆さんの体調は崩れ易くなるな」

この儘霊が憑いていたらどうなるかを話す。
霊児の話を聞いた老婆は、

「ど、どうすれば……」

不安気な表情を浮かべてしまった。
老婆がそんな表情を浮かべてしまうのも無理はない。
霊児が不安を煽る様な話を聞かせたのだから。
不安を煽る様な話を聞かされ、不安がっている老婆を無視するかの様に、

「確かまだ残っていた筈……」

霊児は風呂敷の中に手を突っ込み、何かを探し始める。
探し始めてから少しすると目的の物を見付けたからか、

「在った在った」

霊児は風呂敷の中から手を引っこ抜く。
風呂敷の中から引っこ抜いた霊児の手には一枚のお札が見えた。

「そのお札は……」

霊児が取り出したお札を見て、老婆はどんなお札なのかを聞こうとしたが、

「てい」

霊児はまたまた老婆を無視するかの様に手に持っているお札を近く在った柱に貼り付ける。
その瞬間、

「……え?」

誰かの断末魔の様な悲鳴が家中に響き渡った。
突如として家中に響き渡った悲鳴に老婆は狼狽え始めたが、響き渡っていた悲鳴も直ぐに収まる。
悲鳴が収まると老婆は落ち着きを取り戻し、

「あの、斉主様。今の悲鳴は一体……?」

霊児に今の悲鳴は何だと問う。
問われた事に対する答えを、

「この家に憑いていた霊の悲鳴だ。取り敢えず、この家に憑いていた霊は冥界まで吹き飛ばした。少なくとも、今吹き飛ばした霊がここに戻って来る事は
無い筈だ。序に言って置くと、今貼り付けたお札の効力が続いている限りはこの家が霊に取り憑かれる事は無い」

霊児は述べ、補足するかの様に柱に貼り付けたお札の効力が続いている限りは老婆の家が霊に取り憑かれる無い事を伝える。
家に憑いていた霊を祓い、アフターケアまでしてくれた霊児に、

「それは……真にありがとうございます。斉主様」

老婆は深々と頭を下げた。
老婆の礼を受けた後、

「それじゃ、俺は帰るぜ」

霊児はもう用は無い言った雰囲気を見せながら玄関の方へと向かって行く。
それを見た老婆は、

「あ、斉主様。実は、斉主様にもう一つお願いが御座いまして……」

霊児を呼び止めるかの様にもう一つお願いが在る事を口にする。

「もう一つお願い?」

老婆のもう一つのお願いと言う発言に反応した霊児は足を止め、老婆の方に顔を向けた。
顔を向けられた老婆は、

「はい、そうで御座います」

肯定の返事と共に顔を縦に振る。
もうこの家には霊は居ない筈だがと言う疑問を抱きつつも、

「……何だ? 言ってみろ」

特に急いで片付けなければならない事も無いので、霊児はもう一つの願いと言うのを聞いてみる事にした。





















「お願いってこれかよ……」

霊児は少し疲れた感じでそう呟き、頭から羽織を被った状態で雑草を抜いていく。
そう、老婆のもう一つのお願いと言うのは雑草抜きの事であったのだ。

「まぁ、あの婆さんにこの炎天下の中で雑草抜きをしろって言うのは酷な話しか」

老婆が自分に雑草抜きを頼んで来た理由を霊児は理解しつつ、羊羹や煎餅に釣られて容易く雑草抜きを引き受けた自分に何処か呆れていた。
どう言う事かと言うと雑草抜きを頼まれた当初、霊児は面倒臭いと言う表情を浮かべながら老婆のもう一つのお願いを断ろうとしていたのだ。
しかし、老婆が霊を祓ってくれた謝礼の他にも高価な羊羹や煎餅を渡すと言って来た事で霊児は態度を一変。
老婆のもう一つのお願いを快く引き受ける事にしたのだ。
と言った経緯があって、霊児はこうして雑草抜きをしているのである。
だが、

「……安請け合いし過ぎたか。一本一本抜くのが面倒臭い」

霊児は今更ながらでは安請け合いをし過ぎたかと思い始めていた。
何故かと言うと、雑草抜きをしている老婆の家の庭は中々に広いからだ。
はっきり言って雑草を一本一本引っこ抜くと言う行為は非常に面倒臭いので、霊児が安請け合いし過ぎたと思っても無理はないだろう。
だからと言って途中で止めてしまえば、羊羹と煎餅は手に入らない。
そうなったら最後、骨折り損の草臥れ儲けだ。
故に、幾ら面倒だと言っても霊児は雑草を抜くと言う行為を止める事は出来ないのである。

「雑草は根っこを抜かなければ意味が無いからな。そうでなかった短剣を振るい、振るった短剣から真空の刃を放てばお終い何だがなぁ……」

そんな愚痴を零しつつも、霊児は雑草を一本一本引っこ抜いていく。
早く終われと言う想いを籠めながら。





















老婆の家の庭の雑草抜きを終えた霊児は、

「かなりダルかったが……ちゃんと貰える物は貰えたし、良しとするか」

お守りとお札が入った風呂敷と羊羹と煎餅が入った包みを持ちながら人里を歩いていた。
何故さっさと博麗神社に帰らないで人里を歩いているのかと言うと、食べる物が手に入ったから酒でも買って帰ろうと考えたからだ。
羊羹と煎餅に酒と言うのは少々微妙な感じではあるが、合わなかったら合わなかったで夜に星空でも見ながら飲めば良い。
そんな予定を立てながら霊児が足を進めていると、

「あら、霊児じゃない」

誰かが霊児に声を掛けて来た。
掛けられた声に反応した霊児は足を止め、声が聞こえて来た方に顔を向ける。
顔を向けた先には、

「アリス」

アリスの姿があった。
どうやら、霊児に声を掛けて来たアリスであった様だ。

「手に持っている荷物を見るに、お買い物の最中……と言った感じかしら?」
「いんや。これは売れ残りと報酬で、買い物はこれからだ。と言っても、酒を買って帰るだけだけどな」

アリスが問うて来た事を霊児は否定し、手に持っている物の中身とこれから買い物をする事を教え、

「そう言うアリスは何してたんだ?」

霊児は聞き返すかの様にアリスは何をしてたんだと尋ねた。
尋ねられたアリスは、

「私? 私は人形劇をやって来た帰りよ」

人形劇をやって来た帰りだと言う事を霊児に伝える。
アリスから伝えられた事を聞き、

「……ああ、そう言えば人形劇で金を稼いでいるんだったな。お前は」

霊児はアリスが人形劇で金を稼いでる事を思い出す。

「だったなって、元々は貴方が人形劇でお金を稼ぐ様に提案してくれたんでしょうに……」

人形劇で金を稼ぐ様に提案してくれた事を霊児が忘れていたからか、アリスは何処か呆れた表情を浮かべながら溜息を一つ吐く。
だが、呆れているアリスを無視するかの様に、

「この暑い日に人形劇ねぇ。客足の方はどうだったんだ?」

霊児はアリスに人形劇の客足はどうだったのかと聞く。
相変わらずの霊児にアリスはまたまた呆れつつも、

「客足に付いては全然ね。まぁ、この暑さだから仕方が無いと言えば仕方が無いけど」

律儀に本日の人形劇の客足を霊児に教えた。
客足は全然だと教えてくれたアリスに、

「まぁ……この暑さじゃ、客足が全然でも仕方がないか」

霊児は同意しつつ、顔を空に向ける。
顔を空に向けた霊児に釣られる様にして、アリスも顔を空に向けた。
空へと顔を向けた霊児とアリスの目には少し雲に隠れてはいるが、ギラギラと自分の存在を主張している太陽が映っている。
だからか、

「「……はぁ」」

霊児とアリスは同時に溜息を吐き、顔の位置を元に戻す。
その後、

「でも、今日は雲が多いお陰で魔法の森は蒸し風呂状態にはなってないのよね」

アリスは話を変えるかの様に本日の魔法の森の状態に付いて話し始めた。

「そうなのか?」

今現在の魔法の森の状態を知り、少し驚いた表情を浮かべた霊児に、

「ええ、そうよ。と言うより、魔法の森が蒸し風呂状態だったらこれから貴方の神社に涼みに行くところだわ」

アリスはシレッとした表情でもし魔法の森が蒸し風呂状態だったら、これから博麗神社に行って涼むところだと言う。

「……俺の神社は避暑地じゃねぇんだがな」

アリスの物言いに自分の神社は避暑地では無いと言う突っ込みを霊児は入れたが、

「あら、別に良いじゃない。神社に涼みに行った時は代価として、ご飯を作って上げてるでしょ」

アリスから代価としてご飯を作って上げてるだろうと返された為、それ以上何も言えなくなってしまう。
実際のところ、馬鹿みたい暑い日にご飯を作るのは霊児に取ってはかなり面倒な作業だ。
なので、博麗神社にアリスや魔理沙と言った存在が残暑の為にやって来た時に代価としてご飯を作ってくれるのは霊児としてもありがたい。
序に言えば、この二人が作る料理は霊児と違ってバリエーションも豊富だ。
だからか、

「……ま、俺は楽が出来て良いけどな」

霊児はポツリと自分は楽が出来て良いと呟く。
霊児の呟きが耳に入ったアリスは、

「なら良いじゃない。一応は等価交換になってはいるでしょうし」

一応は等価交換になってはいるので別に良いだろうと返す。
アリスの発言で魔法の森が蒸し風呂状態になったらまた避暑目的で自分の神社にやって来る事を察した霊児は、

「やれやれ……」

何処か疲れた雰囲気を見せ始めた。
だが、これも何時もの事と言えば何時もの事。
今更どうこう言っても仕方が無いと霊児は判断して見せていた雰囲気を四散させ、

「さっさと秋にでもならないかな……」

さっさと秋にでもならないかと言う愚痴を零す。
霊児が零した愚痴に、

「本当ね。秋になれば過ごし易くはなるでしょうに」

アリスは同意する。
お互い、この暑さには参っているからか、

「「……はぁ」」

霊児とアリスはまたまた同時に溜息を吐いた。





















人里でアリスとの雑談を終えた後、霊児はアリスと別れて酒屋で酒を買って帰路に着いていた。
帰路に着いている霊児が博麗神社まで後少しと言った所にまで来た時、

「おーい、霊児ー!!」

霊児の耳に自分の名を呼ぶ声が入る。
自分の名を呼ぶ声に反応した霊児は進行を止め、声が聞こえた方に視線を移す。
視線を移した先には箒に腰を落ち着かせた魔理沙が霊児の方に近付いて来ていた。
近づいて来ていた魔理沙が霊児の目の前まで来ると魔理沙は止まり、

「よう」

片手を上げて挨拶の言葉を掛ける。
掛けられた挨拶の言葉に返す様に、

「おう」

霊児も片手を上げた。
そして、上げていた片手を二人が下ろすと、

「荷物と酒瓶を持っているのを見るに、人里で買い物でもして来たのか?」

魔理沙は霊児が手に持っている物を見て、人里で買い物でもして来たのかと問う。
問われた事に、

「三分の一正解だな。人里で買って来た物は酒瓶だけだ。後の二つは売れ残りと報酬だな」

霊児は三分の一正解だと返し、酒瓶以外の二つは売れ残りと報酬である事を教える。

「売れ残りと報酬と言う事は……人里で商売した後、何か依頼を受けたって感じか?」
「そう言う事」

再び魔理沙が問うて来た事を霊児は肯定し、

「それよか、箒の柄頭にぶら下げている包みは何だ?」

魔理沙の箒の柄頭にぶら下げている包みは何だと尋ねた。
尋ねられた魔理沙は何処か得意気な表情を浮かべ、

「これか? この包み中身は素麺だぜ。さっき作ってたんだ」

包みの中身は素麺である事を霊児に伝える。
伝えられた霊児は、

「素麺か……」

何処か嬉しそうな表情を浮かべた。
こんな暑い日に冷たく、腹が膨れそうな物が食べれる事が確定したのだ。
嬉しくもなるのも無理はないだろう。
霊児が嬉しそうな表情を浮かべたからか、魔理沙も嬉しそうな表情を浮かべ、

「沢山作ったから、腹一杯になるまで食える筈だ。神社に行って一緒に食べ様ぜ」

沢山作ったから博麗神社に行って一緒に食べ様と言う提案をする。
魔理沙の提案を、

「そうだな。なら、さっさと神社に帰るか」

霊児は受け入れ、再び神社の方へと向かって行く。
移動を再開した霊児を追う様に魔理沙も移動を再開し、移動を再開した二人が博麗神社に降り立った時、

「あら、遅かったわね。それといらっしゃい」
「お帰り。それといらっしゃい、魔理沙」

霊児と魔理沙を向かい入れる様な言葉が二人の耳に入って来た。
聞こえて来た声に反応した霊児と魔理沙が顔を動かすと、二人の目には縁側で寛いでいるレミリアと咲夜が映る。
レミリアと咲夜の存在を認識した霊児は、

「……何でお前等がここにいる」

呆れた表情を浮かべながら何でここに居るのかを聞く。
聞かれたレミリアは、

「何でって……遊びに来たら貴方が留守だったからこうして上がらせて貰っているのよ」

シレッとした表情で博麗神社に居る理由を話す。
レミリアが博麗神社に居る理由を知った後、

「……ん?」

霊児はレミリアの手に饅頭が握られている事に気付く。
別にそれだけだったら霊児も気には留めなかっただろうが、レミリアの手に握られていた饅頭は、

「……それ、俺の饅頭じゃ無いか? 戸棚に仕舞って置いた」

霊児が戸棚に仕舞って置いた饅頭であったのだ。
それはそうと、勝手に霊児の饅頭を食べているレミリアは、

「あら、別に良いじゃない」

別に良いだろうと返す。
レミリアの図々しいとも言える物言いを受け、

「……最近、ここに来る奴等は図々しい奴等ばかりと感じるのは俺の気のせいか?」
「全く、お前は遠慮と言う言葉を知らんのか」

霊児と魔理沙は呆れた表情を浮かべると、

「それを貴方達が言う? 人の館を破壊しまくってくれた斉主に図書館から本を盗んでいく魔法使い」

レミリアはお前達二人には言われたくないと言う。
レミリアの発言は割と理に適っているものだが、

「それはそれ、これはこれだ」
「そう言う事。それはそれ、これはこれってやつだぜ」

当の霊児と魔理沙は気にした様子を欠片も見せなかった。
なので、

「……貴方達も大概に図々しいと思うわ」

レミリアは霊児と魔理沙の二人も大概に図々しいと称し、溜息を一つ吐く。
そのタイミングで、

「はい、お茶よ」

何時の間にか茶の用意をしていた咲夜が、茶が入った湯飲みを二つ縁側に置いていった。
置かれた湯飲みを見て、人の茶葉を勝手に使ったなと霊児は思いながら縁側に腰を落ち着かせて手に持って荷物を傍に置く。
縁側に腰を落ち着かせた霊児に続く様に魔理沙も縁側に腰を落ち着かせ、二人揃って茶を啜り、

「何だ、茶を淹れるのも結構上手いじゃないか」
「中々に美味いが、霊児が淹れた茶の方が美味いな」

霊児と魔理沙はそれぞれ咲夜が淹れた茶に対する感想を漏らす。
二人が漏らした感想を聞き、

「あら、咲夜が淹れたお茶もかなりのものだと思うんだけど……霊児はこれ以上なの?」

レミリアは少し驚いた表情を浮かべる。
驚いた表情を浮かべているレミリアに、

「ああ、霊児が淹れるお茶は滅茶苦茶美味いぜ」

魔理沙は霊児が淹れるお茶は滅茶苦茶美味いと断言した。
霊児の淹れるお茶が自分よりも勝っている事を知った咲夜は、

「へぇー……紅茶には自信が在るのだけど、緑茶はまだ全然なのよね。もっと練習し様かしら」

緑茶を淹れる練習をもっとし様かと考える。
どうやら、自分よりも美味しいお茶を淹れられる霊児に咲夜は対抗心を抱き始めた様だ。
咲夜だったら近い内に霊児に迫るか超えるか位の緑茶を淹れられる様になるだろうとレミリアは思いつつ、

「処で魔理沙。貴女の箒の柄頭にぶら下がっている包みの中身は何かしら?」

魔理沙に包みの中身は何だと尋ねる。
尋ねられた魔理沙は、

「ああ、中身は素麺だぜ」

反射的に包みの中身を答えてしまった。
だからか、

「……あ」

魔理沙は明らかに不味いと言った表情になってしまう。
しかし、魔理沙がそんな表情を浮かべた時に既に遅く、

「素麺……か。良いわね、こう言う暑い日に冷たい物は」
「そうですわね、お嬢様。私としましても、私以外の者が作った料理と言うのは少々気になりますし」

レミリアと咲夜は魔理沙が作った素麺を食べる事を決めた様だ。
場の雰囲気から、霊児と二人っ切りで素麺を食べるのは無理だと言う事を感じ取った魔理沙は、

「ああー、霊児と二人っ切りで食べる積りだったんだがなぁ……」

がっかりとした様に肩を落とした。

「あら、別に良いじゃない。ご飯は大人数で美味しいものよ」
「それに、包みの大きさを見るに四人で食べても問題無いでしょ」

肩を落としているに魔理沙にレミリアと咲夜がそう言った後、

「……何でお前等は俺に何も聞かずに勝手に決めるかね」

霊児は愚痴と共に何処か疲れた様な溜息を一つ吐いたが、腹が減っていると言う事もあってそれ以上は何も言わずに口を閉ざす。
それから軽い悶着があったものの、霊児、魔理沙、レミリア、咲夜の四人で素麺を食べる事となった。
因みに、魔理沙が作った素麺はレミリアと咲夜の二人にも中々に好評であった様である。























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