「はぁー……」

霊児はのんびりと雰囲気を醸し出しながら縁側で茶を啜り、一息吐く。
そんな霊児の後ろで、

「はぁー……」

霊児の背中に自身の背中を預け、のんびりと茶を啜っていた魔理沙も一息吐いた。
何故、魔理沙が霊児と背中合わせで茶を啜っているのか。
答えは簡単。
何時も通りと言った感じで博麗神社に魔理沙が遊びに来た時、のんびりと茶を啜っている霊児の雰囲気に中てられたからである。
故に、魔理沙は霊児と背中合わせで茶を啜っているのだ。
何かをすると言った事はせず、かと行って何かが起こっている訳でも無いからか、

「平和だなー」

平和と言う言葉が霊児の口から漏れた。
漏れた言葉に反応した魔理沙は、

「ああ、そうだな」

同意する発言を霊児に返す。
そして、再びまったりとした雰囲気の中で二人が茶を啜り始めてから幾らか経った頃、

「お……」

霊児は何かを見付けた様な声を上げる。

「ん? どうした?」

霊児が上げた声が気に掛かった魔理沙が顔を後ろの方に向けると、

「雪だ」

雪と言う単語が霊児から発せられ、

「雪……あ、ほんとだ」

今、雪が降っている事に魔理沙は気付いた。
降っていると言っても、パラパラとした程度のものであるが。
兎も角、雪が降り出した事で霊児と魔理沙は風流だなと感じ始めた時、

「……あれ? でも暦の上ではまだ秋だよな?」

暦の上ではまだ秋である事を魔理沙は思い出す。
確かに、魔理沙の言う通り暦の上ではまだ秋。
と言っても、まだ秋と言うだけでもう少しすれば暦の上では冬になるので、

「と言っても、後もう少しすれば冬だからなぁ。今雪が降っていても別に不思議は無いだろ」

雪が降っていても何の不思議は無いと呟く。
その後、

「成程。となると、今頃秋姉妹は嘆いているだろうな」
「十中八九、そうだろうな。まだ秋だって言うのに雪が降っているんだ。静葉と穣子に取っては煮え湯を飲まされた気分だろうさ」
「はは。となると、冬の神様は秋姉妹と違って甘い汁を啜っている気分なのかもな」
「かもな。本来よりも早くに雪が降ったんだ。冬の神に限らず、冬や寒さに関係している妖怪や妖精も大喜びだろうぜ」

魔理沙と霊児は秋姉妹や冬や寒さに属する者達の話題で雑談を交わしていった。
それから幾らか経った辺りで、

「あ、そうだ。夜になったら一緒に酒盛りでもしないか?」

ふと思い付いたと言った表情を浮べた霊児が、魔理沙に夜になったら一緒に酒盛りをしないかと言う提案をする。
された提案を、

「お!! 良いな、それ!!」

魔理沙は笑顔で受け入れた。
まぁ、霊児と同じ様に魔理沙も酒が好きなので酒盛りを断る何て事は在り得ないであろうが。
だからか、

「夜雪を見ながら酒盛り、楽しみだ」
「霊児はそう言う酒の飲み方、好きだよな。ま、私もそう言う飲み方は好きだけどな」
「あ、そうだ。後でつまみに成りそうな物でも作ってくれよ」
「了解。美味しいものを作るから、楽しみにしててくれて良いぜ」

霊児と魔理沙は夜に想いを馳せる様な会話を交わしていった。























霊児と魔理沙が夜の酒盛りを楽しみにし始めてから幾らかすると、

「……どうしてこうなった」
「流石にこれは予想外だぜ」

二人の口からどうしてこうなった、予想外と言った言葉が漏れた。
何故、霊児と魔理沙の口からその様な言葉を漏らしたのか。
その答えは、降っている雪にある。
つい先程まではパラパラとしか降っていた雪が、今現在では猛吹雪に成ってしまったからだ。
これでは、夜雪を楽しみながら酒を飲む事は出来ないであろう。
夜雪を楽しみながら酒を飲むと言う予定が崩れた事で、がっかりとした雰囲気を霊児が見せ始めた時、

「あー……この吹雪の中を突っ切って家に帰りたくは無いな。霊児、今日泊まってっても良いか?」

猛吹雪の中で帰りたくは無いので、今日は泊まってっても良いかと魔理沙は霊児に尋ねる。
尋ねられた霊児は、

「ああ、良いぞ」

間髪入れずに魔理沙が博麗神社に泊まっていく事に対する許可を出す。
まぁ、魔理沙が博麗神社に泊まる事は今まで何度も在ったのだ。
故に、宿泊の許可を出した事は当然と言えば当然なのだが。
兎も角、泊まっても良いと言われた事で、

「ありがとな、霊児」

魔理沙は嬉しそうな表情を浮べながら霊児に礼の言葉を述べ、

「それはそうと、襖を閉めたらどうだ? 風が入って来て少し寒くなって来たぜ」

話しを変えるかの様に襖を閉めたらどうだと言う提案をする。
雪が降り始めてから幾らか経った頃、霊児と魔理沙は縁側から居間へと移動する事にした。
何時までも縁側に居ては、体が冷え込んでしまうからだ。
とは言え、居間に入った儘では外の天候がどうなっているかが分からなくなってしまう。
外の天気を確認する為、襖を開けた儘にして置いたのだ。
それはそうと、魔理沙の提案通り居間の中が冷えて来ているので、

「そうだな……」

霊児は襖を閉める為に立ち上がろうとしたが、

「……っと、そうだ」

立ち上がる前に何かに気付いた表情を浮べ、近くに置いてある羽織を手で掴む。
そして、羽織を着込みながら今度こそと言った感じで立ち上がってポケットに手を入れて夢美から貰ったグローブを取り出し、

「良し」

取り出したグローブを手に着ける。
羽織を着込み、グローブを着けた霊児を見て、

「何だ、出掛けるのか?」

出掛けるのかと思った魔理沙はそう問い掛けた。
問い掛けられた事に、

「いや、屋根の雪降ろしをする積りだ」

屋根の雪降ろしをする積りだと返す。

「雪降ろし?」
「ああ。この降雪量だと俺の神社が潰れかねないからな」

返って来た霊児の発言を聞いて首を傾げた魔理沙に、今現在の降雪量では神社が潰れる可能性が在る事を霊児が伝えると、

「雪で神社が潰れる……私の家は大丈夫かな?」

少し不安気な表情を魔理沙は浮べた。
博麗神社の天候が猛吹雪と言う事は、魔法の森の天候も猛吹雪と成っている可能性が極めて高い。
となれば、博麗神社の様に魔理沙の家も雪の重みで潰れるかもしれないと言う事が十分に考えられる。
が、そんな魔理沙の不安を払拭するかの様に、

「大丈夫じゃないか? お前の家は天狗達が建てた物だからな。相当頑丈に出来てる筈だから、雪の重みでどうこうなったりはしないだろ」

魔理沙の家は天狗達が建てた物である為、相当頑丈に出来て居る筈だから雪の重み程度で潰れる事は無い筈だと話す。
取り敢えず、自分の家の心配をする必要が無くなった事で、

「何だ。それなら、雪が降る度に屋根の雪降ろしをしなくても良かったのか」

安心し切ったかの様な表情を魔理沙は浮かべ、今度から屋根の雪降ろしはサボろうかと考え始める。

「いや、雪降ろし位はちゃんとやれよ」

雪降ろしをサボろうかと考えている魔理沙に霊児はそれ位はしろと言う突っ込みを入れ、外に出ようと足を動かす。
外に出ようとしている霊児を見た魔理沙は、

「それじゃ、霊児が雪降ろしをしている間に私はご飯でも作ってるかな。何かリクエストは在るか?」

霊児が雪降ろしをしている間にご飯を作る事を決め、霊児に作るご飯に何かリクエストは在るかと聞く。
聞かれた霊児は足を止めて何かを考える体勢を取り、

「んー……なら、温かい物でも頼む」

温かい物を頼む事にした。

「温かい物だな。了解したぜ」

魔理沙から了解と言う言葉が発せられた後、霊児は今度こそ言った感じで居間から出て襖を閉める。
そして、廊下を通って玄関に移動し、

「よっと」

スコップを手に持って外に出て、跳躍を行なって神社の天辺に足を着け、

「……よし、やるか」

屋根の雪降ろしを始めた。























雪降ろしを始めてからそれなりの時間が経過したが、

「あー……思ってたよりも積もってるな……」

霊児は未だ屋根の雪降ろしをしていた。
霊児としても、ここまで屋根の上に雪が積もっていたのは予想外であった様だ。

「ふぅ……」

そこそこの数の雪を降ろし終えたからか、霊児は一旦近くの雪の塊にスコップを突き刺して周囲を見渡し、

「こりゃ、早い内に雪降ろしを始めて正解だったかもな」

早い内に雪降ろしを始めて正解だったと呟く。
もし、雪降ろしをする時間帯を遅らせていたら。
最悪の場合、今日か明日には雪の重みで神社が潰れていただろう。
そう言う意味では運が良いと霊児は思いつつ、

「……ま、この分じゃ寝る前にもう一度雪降ろしをする必要が在るかもな」

寝る前にもう一度雪降ろしをする必要が在るかもと漏らす。
今現在も猛吹雪と言った状態なのだ。
寝る時に屋根の上の雪の量が許容範囲を超える可能性は十分に考えられる。
尤も、これから猛吹雪が収まれば話は別であろうが。
それはそうと、何時までも雪降ろしを中断している訳にもいかないので、

「さて……」

作業を再開させるかの様に霊児がスコップに手を伸ばしていく。
そして、霊児の手がスコップに触れ様とした時、

「ふっふっふ……見付けたわよ!!」

何処からか元気の良い声が聞こえて来た。
聞こえて来た声に反応した霊児が声の発生源に顔を向けると、

「……何だ、お前か」

霊児の目に腕を組んでいる状態のチルノの姿が映る。
霊児から返って来た反応が気に喰わなかったからか、

「何だとは何よ!!」

ウガーっと言った感じでチルノが霊児に詰め寄ろうとした。
まだまだ屋根から降ろさなければ成らない雪が沢山在ると言うのに、ここでチルノの相手をして無駄に時間を喰う訳にもいかないと霊児は判断し、

「悪かった悪かった。で、俺に何か用か?」

適当な言葉でチルノを宥め、用件だけを聞いてさっさて帰って貰おうとする。
しかし、

「決まってるじゃない!! あんたを倒しに来たのよ!!」

博麗神社にやって来たチルノの用件は、直ぐに帰ってくれる様な内容では無かった。
霊児に指を突き付けながら高らかに宣戦布告をしているチルノを見て、

「ああ……」

毎年冬に成るとチルノが理由も無く勝負を吹っ掛けて来る事を霊児は思い出す。
氷の妖精であるチルノは寒く成れば成る程に力を増していく。
故に、まだ暦の上では冬に成ってはいないのにこうして勝負を吹っ掛けて来たのだろう。
尤も、冬に勝負を挑んでも毎回負けている事はチルノの記憶から綺麗に抜け落ちている様だが。
少しの間、過去の記憶を遡っていた霊児に、

「ほらー!! 勝負しろ、勝負ー!!」

勝負を急かすかの様にチルノが声を掛けて来た。
掛けられた声に反応した霊児は意識を現実に戻し、

「また今度な」

また今度と言ってスコップを引っこ抜き、屋根の雪降ろしを作業を再開する。
ここでチルノと戦ったら確実に余計な時間を喰ってしまうからだ。
まるで自分を無視する様な霊児に、

「こらー!! 無視するなー!!」

チルノは文句の言葉を霊児に叩き付けるが、霊児はそれを無視して黙々と屋根の上から雪を落としていく。
放って置けば何れ帰るだろうと思いながら。
その瞬間、

「……おっと」

何かが迫って来ているのを霊児は感じ取り、裏拳を放ちながら振り返る。
すると、霊児に手の甲に何かが当たって何かが砕け散る音が発生した。
だからか、霊児の目は自然と自身の手の甲へと向く。
向いた霊児の目には、砕け散った幾つもの氷の欠片が落下して行っているのが映った。
となると、振り返った時に霊児の手の甲に当たった物は氷の塊と言う事になる。
幾ら猛吹雪と言えど、氷の塊が飛んで来る事は在り得ない。
つまり、この氷の塊は人為的に飛ばされた物と言う事。
勿論、こんな事を仕出かした者は一人。
チルノだ。
チルノが霊児に向けて氷の塊を放って来たのである。
そう推察した霊児がチルノの方に顔を向けると、チルノは何処か得意気な表情を浮べていた。
猛吹雪で気温が下がり、実力が上がっている事で態度がでかくなっているのだろうか。
兎も角、これ以上チルノに邪魔をされては神社に被害が出る可能性が出て来る。
そう成っては目も当てられないので、

「やれやれ……」

仕方が無いと言った感じで霊児はスコップを再び雪の塊に突き刺し、

「一寸遊んでやるよ」

一寸遊んでやると行って空中に躍り出た。

「ふふん、やっとやる気になった様ね」

やっと戦う気になった霊児を見て、ご機嫌と言った雰囲気を見せたチルノに、

「良いから、さっさと掛かって来いよ」

霊児は軽い挑発を行なう。
自分を前にしても余裕綽々と言った態度の霊児に腹を立てたからか、

「ふん!! 後で面吠えをかか無い事ね!!」

今ここで倒してやる言う様な勢いでチルノは弾幕を放と、弾幕ごっこ始まる。
放たれた弾幕を視界に入れた霊児は、

「それを言うなら吠え面だろ」

チルノの台詞の間違い部分を指摘しながら回避行動を取っていき、

「やっぱこいつ、冬になるとかなり強くなるな」

やっぱり冬だとチルノはかなり強くなると言った感想を抱いた。
具体的に言うと、弾幕の量、密度、速さ、そしてチルノ自身の動きが冬以外の季節と比べてずっと上なのだ。

「……っと、今はまだ暦の上では秋だったな」

自分で自分が思った事に対する突っ込みを入れつつ、霊児はチルノの弾幕を避けていく。
弾幕を放つチルノに、放たれる弾幕を避ける霊児。
この様な状態が維持されているからか、

「どうやら、あたいの強さの前に手も足も出ない様ね」

チルノは霊児が自分の強さの前に手も足も出ないと判断した様だ。
霊児としては別にチルノがどう判断しても構わないのだが、余り調子付かせて毎日戦いを挑まれる様な事態に成ったら面倒なので、

「それは……どうかな?」

釘を刺すかの様に霊児は右手をチルノに向け、右手から弾幕を放ち始めた。
霊児が放った弾幕の半分はチルノの弾幕とぶつかり合って相殺されたが、残りの半分はその儘チルノに向かっていく。
自身の弾幕を突破して迫って来る霊児の弾幕を見たチルノは、

「うわあ!?」

慌てた動作で弾幕を放つの止め、回避行動を取り始める。
しかし、

「きゃう!?」

迫り来る弾幕を全て回避する事は出来なかった様で、それなりの数の弾幕がチルノに命中してしまう。
何時ものチルノであればこの時点で決着が着いていたであろうが、

「うー……」

少々痛そうにしているだけで、チルノは健在であった。
まぁ、今の時期だけと言う注釈が付くがチルノの実力は上がっているので当然と言えば当然であるが。
それはそれとして、チルノが未だ健在である事から、

「妖精相手だからと言って、弾幕の威力を抑え過ぎたか?」

放つ弾幕の威力を抑え過ぎたかと言う事を霊児が考えていると、チルノは懐からスペルカードを取り出し、

「凍符『マイナスK』」

スペルカードを発動させた。
スペルカードが発動するのと同時にチルノは移動を開始し、三方向に向けて少し大きめの弾幕を放っていく。
因みに、弾幕は円を描く様な軌道を取っている。

「………………………………………………」

今までは毛色の違う弾幕を霊児が警戒していると、放たれた弾幕が幾らか進んだ辺りで炸裂し、

「何……」

炸裂した部分から相当な量の小さな氷の弾幕が現れた。
現れた氷の弾幕の量が量であった為、

「ちぃ……」

霊児は舌打ちをしながら距離を取り、弾幕と弾幕の間に体を滑らせて行く。
そして、思う。
このスペルカードは中々に強力だと。
出だしの弾幕で相手に攻撃範囲などを誤認さて、炸裂させた後に出て来る無数の小さな氷の弾幕で一気に仕留めに掛かる。
おまけに小さな氷の弾幕はチルノ自身の姿を隠し、相手の攻撃を防ぐ盾にも成っているのだ。
攻撃、防御、隠蔽の三つを兼ね備えたスペルカード。
これを中々に強力なスペルカードと称するのは間違ってはいないだろう。
ともあれ、如何に強力なスペルカードと言えど打つ手は無いと言う訳でも無い。
最も単純な打つ手は力尽くで突破すると言う方法。
これが一番手っ取り早い方法ではあるが、霊児は別の方法を取る事にした。
別の方法と言っても、何も複雑な方法ではなく至極単純なもの。
目には目を、歯には歯を。
スペルカードにはスペルカードで対抗し様と言うだけ。
そう予定を立てた霊児は懐からスペルカードを取り出し、

「結界『拡散結界』」

スペルカードを発動させた。
すると、攻撃と防御の両方の性質を持った結界が霊児の周囲に展開されたではないか。
勿論、只結界が展開された訳では無い。
展開された結界の周囲にまた同じ結界が展開され、更にまた新たな結界が展開されていく。
攻撃と防御の両方の性質を持った結界を次々と展開していくと言うのが、このスペルカードの特徴だ。
兎も角、展開されている結界はどんどんと数を増やしてチルノの弾幕を遮断しながらチルノへと向かっていく。
一見、霊児が発動させたスペルカードは攻防が完璧に揃ったもの見える。
だが、霊児とチルノが行なっているのは弾幕ごっこで発動させたものはスペルカード。
他のスペルカード同じ様に、何かしらの弱点や欠点がこのスペルカードにも存在している。
例えば結界の強度。
数で攻める弾幕ではなく一撃の威力が高いスペルカードなどを使えば、簡単に結界を突破して霊児へと攻撃を届かせる事が出来る。
他にも幾らか結界が展開されると全ての結界が消え、また一から結界を張り直す必要があるのだ。
とまぁ、一旦距離を置けば霊児が発動させたスペルカードを攻略する手立ては見付かるのだが、

「こっのー!!」

チルノは引いて溜まるかと言わんばかりにスペルカードの発動を続けていく。
しかし、放たれる弾幕は全て結界に遮断されて霊児には届かず、

「きゃう!?」

展開された結界にチルノは接触し、弾き飛ばされてしまった。
弾き飛ばされたチルノは近くの木に激突し、ずるずると地面に尻餅を着いてしまう。
が、これだけでは終わらなかった。
木に激突した衝撃で木の上に乗っかっていた雪が落下し、

「わぷ!?」

落下して来た雪はチルノを埋めてしまったのだ。
それから少しすると、雪の中からチルノが飛び出して来た。
雪の中から飛び出したチルノは霊児と同じ高さにまで高度を上げ、霊児を睨み付ける。
対する霊児もチルノを軽く睨み付けていると、

「お、覚えてろー!!」

負け惜しみの様な言葉を残し、チルノは何処かへと飛んで行ってしまった。
取り敢えず、弾幕ごっこが終わった事でスペルカードの発動を止め、

「……さて、続き続きっと」

気持ちを入れ替えるかの様に霊児は神社の屋根の上に戻り、雪降ろしの作業を再開する。























屋根の上の雪降ろしをし終えた霊児が、

「あー……変に疲れた」

チルノと弾幕ごっこをした事で変に疲れたと言う愚痴を零しながら居間に戻ると、

「お疲れ、霊児」

魔理沙が台所から顔を出した。
台所の方から良い匂いがして来たので、

「何を作ったんだ?」

霊児は何を作ったんだと問う。
問われた事に、

「うどんだぜ」

うどんだと魔理沙は返し、霊児に近付いて行く。
そして、

「後どれ位で出来る?」
「今、汁を温めてるところだからもう少しだぜ」

後どれ位で出来るのかと霊児が聞くと、魔理沙から後もう少しだと言う答えが返って来たので、

「なら、中々良いタイミングで戻ってこれたな」

中々良いタイミングで帰ってこれたと霊児は漏らし、腰を落ち着かせる。
疲れたと言った感じで腰を落ち着かせた霊児を見た魔理沙は、何かを思い付いたと言った様な表情を浮かべて霊児の背後に回り込み、

「よっと」

霊児の背中に抱き付く様な体勢を取り、霊児の手の甲に自分の手を乗せた。

「何だ?」

行き成りの魔理沙の行動に疑問を抱いた霊児が顔を背後に向けた時、

「手、冷えてるぜ」

手が冷えている事を魔理沙は教え、霊児の手を包み込むかの様に自身の手を優しく握り込んだ。
そのお陰か、冷えていた霊児の手が温かくなり始めたので、

「ありがとな、魔理沙」

礼の言葉を霊児は述べた。
述べられた礼に対して魔理沙は、

「おう、どういたしまて」

笑顔でどういたしましてと返す。
それからと言うのも、うどんの汁が温まるまで霊児と魔理沙はその儘の体勢でのんびりと過ごしていった。























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