「ただいま」
ただいまと言う言葉と共に咲夜が霊児達の所に戻って来たので、
「お疲れ」
観戦していた面々を代表するかの様に霊児が咲夜に労いの言葉を掛ける。
その後、
「それにしても、あの子はどうやってこのマヨヒガを見付けたのかしら? あの子の言動から察するにこのマヨヒガには何度も出入りしている様だし」
妹紅は橙がどうやってマヨヒガ何て場所を見付け、出入り出来る様になったのかと言う事に付いて考えていく。
マヨヒガは滅多に来る事が出来ない場所だと言うのに、頻繁とも言える程に出入りしている橙。
気にならない訳は無いだろう。
如何にして橙がマヒヨガを行き来しているかに付いて考えている妹紅に、
「あの橙って言うのは猫の妖怪……妖獣だろ。猫にしか分からない秘密の抜け道とかそう言うのが在るんじゃないか?」
猫にしか分からない道が在るんじゃないかと言う意見を魔理沙は述べる。
述べられた意見を頭に入れた妹紅は、
「成程。つまり家を完全に閉め切っていると言うのに何故か油虫が入って来るのと同じ理由な訳ね」
納得した表情を浮かべ、油虫を例に出す。
出された例が例であったからか、
「嫌な例えをするわね」
嫌そうな表情を咲夜は浮かべた。
そんな咲夜に向け、
「でも……あれ程、進入経路が分からん存在は他に居ないと思うぜ」
同意するかの様に油虫程侵入経路が分からない存在も無いと言う発言を魔理沙は発する。
魔理沙の発言には思うところが多々ある様で、
「まぁ……確かにね」
咲夜は溜息混じりに確かにねと呟き、
「紅魔館の外壁には穴も空いてないし、部屋も廊下も綺麗にしてるのに何故か湧いて来るよね。油虫」
紅魔館にも油虫が出る事を呟く。
それを合図にしたかの様に、
「そうなのよね。綺麗にしてるのに何故か湧いて来るのよね、油虫って」
「私の所も定期的に掃除したり部屋を綺麗にする魔法を使ったりしてるけど、それでも油虫は湧いて来るもんな」
「何処も似た様なものね」
妹紅、魔理沙、咲夜の三人は油虫が神出鬼没だと言う事を軽く話し合い、
「霊児の方はどうなの?」
霊児に博麗神社での油虫の出現状況はどうだと言う事を咲夜は聞く。
「俺の所も似た様なものだ。ま、食料庫と台所には油虫が入って来れない様に結界を張っているから目立った被害は無いけどな」
聞かれた霊児は結界を張っているので被害は出ていないが、油虫の出現状況は三人の所と変わらないと言う。
「結界か……パチュリー様に頼めばそれ相応の結界は張ってくれるでしょうけど、この程度の事にパチュリー様のお手を煩わせるのもねぇ……」
結界と言う単語に反応した咲夜は油虫の被害が出そうな場所にパチュリーに頼んで結界を張って貰おうと考えたが、直ぐに考え直す。
どうやら、選択肢としては有りだがこの程度の事にレミリアの親友であるパチュリーの手を煩わせるのもどうかと言うのが咲夜の考えの様だ。
兎も角、咲夜の台詞から今現在の紅魔館は本格的な油虫対策をしていない事が分かったからか、
「なら、普段はどうしてるんだ?」
では、普段はどうしているのかと言う事を霊児は咲夜に問う。
「台所に食料庫、ワインセラーなどにはそれなりの数の妖精メイドを配備させているわ。尤も、仕事をサボって摘まみ食いに摘まみ飲みを仕出かす
妖精メイドが居るから困りものなのよね」
問われた咲夜は要所要所に妖精メイドを配置している事と、溜息混じりに配置している妖精メイドがサボっている事を口にする。
咲夜の反応から、紅魔館のメイド長と言うのも楽ではないなと霊児は感じた。
ともあれ、油虫対策の話題が出た事で、
「貴女達の所はどうなの?」
二人の方はどうなのかと言う疑問を咲夜は魔理沙と妹紅の二人に投げ掛ける。
「台所はその儘だが、食料庫の方は封印処理を施してあるぜ。まぁ、食料庫から食料を取り出す度に封印を解いてまた封印し直さなきゃならないのが
難点だがな」
「そう言った術が使える人は良いわね。私は攻撃系統の方に偏っているから、そこまで器用な封印は施せないし」
投げ掛けられた疑問に対する答えを魔理沙が言うと、それを羨む様な発言を妹紅は零す。
放って置いたら何時までも雑談を交わしていそうな雰囲気であったからか、
「おい、そろそろ先へ進もうぜ」
少し大きな声で霊児は一同にそろそろ先に進むと言う声を掛ける。
掛けられた声で魔理沙、妹紅、咲夜の三人は本来の目的を思い出し、雑談を中断して体を進行方向上へと向けた。
そして、四人は異変を解決する為に再び移動を再開する。
橙と出会うまでは妖精などが邪魔をして来たが、今回の移動では邪魔者などは出て来なかった。
橙を倒したからであろうか。
理由はどうあれ、邪魔者が居ないのは良い事である。
平和とも言える道中を霊児、魔理沙、妹紅、咲夜の四人が楽しみ始めた時、突如として見えていた景色が変わった。
白銀の世界へと。
同時に、
「「「寒ッ!!」」」
魔理沙、妹紅、咲夜の三人は進行を止めながら寒さを訴えた。
が、霊児は寒さを訴える事無く一旦止まって周囲の景色を見渡しながら軽く状況を分析していく。
春と言って良い様な場所を飛んでいたと言うのに、突如として冬真っ盛りと言っても良い場所に出た。
この事からマヨヒガから抜け出せた事を霊児が確信すると、
「さっき、鍋物を食べて温まっていて良かったわね」
手を擦り合わせている妹紅が鍋物を食べ、温まっていて良かったと呟く。
「だな。それにしても短い春だったぜ……」
それには魔理沙も同意しつつ、両手で自分の二の腕を押さえる。
寒いと言うの自分の体を使って表現している妹紅と魔理沙の二人に対し、
「そもそも私達はその春を来させる為にこうやって異変解決に来ている訳なのだから、幻想郷中を冬にしている存在の手が届かなかったマヨヒガを
抜ければこうなるわね」
大した事無いと言った感じで、咲夜は幻想郷中を冬にしている存在の手が届かなかった場所から抜けたのだから当然だと語った。
但し、そう語った咲夜の体は僅かに震えている様ではあるが。
やはりと言うべきか、咲夜も魔理沙と妹紅と同じで寒い様だ。
兎も角、魔理沙、妹紅、咲夜の三人もここがマヨヒガ外である事を認識した後、
「そう言えば霊児は寒く無いのか? 何時もと同じ格好だけど」
ふと思い出したかの様に、魔理沙は霊児の方に顔を向けながら寒く無いのかと尋ねる。
尋ねられた事に反応した妹紅と咲夜の二人も、霊児の方に顔を向けた。
魔理沙、妹紅、咲夜の三人は普段よりも厚着であったりマフラーを巻いたり手袋を着けたりとそれなりに防寒対策をしている。
だが、霊児はどうであろうか。
白いシャツ、黒いズボン、夢美から貰ったグローブ、羽織と言った普段と変わらない格好。
まぁ、年がら年中霊児はこの格好ではあるが。
良く飽きないものである。
ともあれ、尋ねられた霊児は魔理沙の方に顔を向け、
「寒いには寒いがどうし様も無いって程じゃないな。それに、動いていれば体も温まるだろうし」
寒いには寒いがどうし様も無い程じゃないと返す。
確かに、霊児は寒さで身震いしてはいないので霊児の返答に嘘は無いだろう。
故に霊児は寒さに強いのではと言う考えが三人の頭に過ぎった瞬間、
「寒さには強くて暑さには弱いのかしら? 夏はビニールプールに入っている姿位しか思い出せないのだけど」
寒さに強くて暑さには弱いのではと言う推論が咲夜の口から紡がれた。
以前香霖堂で巨大なビニールプールを霊児が買って以来、霊児の夏場は海パン一丁でビニールプールに入っていると言うのが殆ど当たり前になっている。
なので、咲夜の口から霊児は寒さに強くて暑さに弱いと言う言葉が紡がれても可笑しくは無い。
「ああ、そういやそうだな。ビニールプールを買ってから、夏場はビニールプールの中が霊児の定位置って感じだ」
「そう言えばそうね。あのビニールプールってのが博麗神社に来てからと言うもの、夏場の霊児はあの中に居る事が多いし」
咲夜から紡がれた事に同意する様な発言を魔理沙と妹紅が言い出した為か、
「暑さも耐え様と思えば耐えられるけど、態々普段から耐える必要性は無いんだよ」
霊児は別に暑さに弱い訳では無いと言う主張をし、
「てか、夏場はお前等も俺の所のビニールプールを利用してるだろ」
話を変えるかの様にお前達もビニールプールを利用しているだろうと言う指摘を行なう。
霊児の指摘した通り、魔理沙、妹紅、咲夜の三人は夏に避暑目的と言う名目で博麗神社にやって来てビニールプールを利用する事が多々在る。
もう少し言うと、この三人以外にも霊児と交友関係が有る者がビニールプールを利用しに夏場に博麗神社にやって来る事が多い。
やって来ると言っても、ビニールプール自体がかなり大きいので大人数が入って来ても大した問題は無いが。
それはさて置き、まるで只でビニールプールを使わせてやってるいると言った感じの物言いだったからか、
「あら、避暑目的で行った場合は対価として昼や夜、場合によっては朝のご飯を誰かが作って上げてるじゃない」
避暑目的でビニールプールを使わせて貰ったら対価としてご飯を作って上げてるだろうと咲夜は言う。
咲夜が発した言動に間違いは無い様で、
「まぁ……それに関しては楽が出来るから助かってはいるけどな」
代価を貰っているのを認める事を霊児が漏らすと、
「なら良いじゃない。因みに、今年もお世話になると思うからよろしくね」
なら良いだろうと言いながら咲夜は今年もビニールプールを使わせて貰う事になると言う予定を霊児に伝える。
伝えられた内容を頭に入れた霊児が夏になったら紅魔館の面々以外にも色々来そうだと言う未来を脳裏に過ぎらせたタイミングで、
「そろそろ行かない? ジッとしてたら冷えて来たんだけど……」
「同感だぜ」
妹紅と魔理沙からジッとしていると寒いので早く先へ進もうと言う意見が出された。
二人が出した意見の通り、ジッとした儘では冷えていく一方であろう。
序に言えば、何時までもここに居る必要も無い。
だからか、
「……そうだな、そうするか」
先に進もうと意見に霊児は賛同し、移動を再開した。
再び移動し始めた霊児の後を追う様に、魔理沙、妹紅、咲夜の三人も移動を再開する。
マヨヒガの時と違って雪が視界を邪魔する場面が多々在り少々進み難かったが、マヨヒガに入るまではこんな状況で進んでいたのだ。
だからか、霊児達は然程時間を置かずに何時ものペースを取り戻したかの様に進行スピードを上げていく。
しかし、霊児達がペースを取り戻したのを見計らったかの様に邪魔者が現れる。
邪魔者と言うのは妖精。
そう、今までの様に霊児達の進行を妨害するかの様に妖精が現れたのだ。
「やれやれ、また妖精か」
「ま、今まで通りと言えば今まで通りだけど流石に鬱陶しいわね」
また妖精が邪魔しに現れた事で魔理沙と咲夜は悪態の様なものを吐きながら妖精の迎撃に入った。
我先にと言わんばかりに迎撃行動に移ったのを見るに、魔理沙と咲夜は雪景色を楽しみながら移動していたのであろうか。
その様に考えれば、こうも早くに迎撃行動に移れた事にも違和感は無い。
何せ、自分の楽しみを邪魔されたのだから。
ともあれ、率先して迎撃に入ってくれた二人のお陰で妖精達を大した時間を掛けずに一掃する事が出来た。
霊児と妹紅の二人が迎撃行動に移る前に。
「私と霊児が攻撃に加わる前に終わったわね。ま、当然と言えば当然か」
自分と霊児が攻撃に加わらなくても妖精達を一掃出来た事を妹紅が当然かと呟いた刹那、
「お、あの森は……」
とある森が霊児の目に映る。
映った森と言うのは魔法の森。
しかも、魔法の森は進行方向上である為、
「なぁ、ここを通るのか?」
微妙そうな表情を魔理沙は浮かべた。
そんな魔理沙に向け、
「ああ」
霊児が肯定の返事をする。
魔法の森を通る事が確定したからか、
「魔法の森を通ると、異変解決に来たって言うよりも自分の家に帰って来たって言う気分になるぜ」
魔理沙はがっかりとした感じで肩を落とす。
魔理沙からしてみたら、これから進む道は帰路の様なもの。
テンションが下がるのも仕方が無いだろう。
「魔理沙がそんな気分になっているのはどうでも良いから、早く行きましょうか」
「どうでも良いとか酷いぜ」
明らかに気落ちしている魔理沙を無視する様な事を咲夜が言い出すと、魔理沙は軽い突っ込みを入れる。
咲夜と魔理沙のやり取りを見て、軽いじゃれ合いが始まると思った為、
「はいはい、じゃれ合ってないで先へ進みましょ」
先手を打つかの様に妹紅は仲裁に入り、先に進もう様に促した。
仲裁に入られた事で、咲夜と魔理沙は気持ちを切り替えるかの様に視線を魔法の森に移す。
そして、霊児、魔理沙、妹紅、咲夜の四人は魔法の森へと突入して行った。
霊児達が魔法の森に突入してから少し経った頃、
「それにしても、ここは相変わらずの瘴気ね」
ここは相変わらずの瘴気だと言葉が咲夜の口から紡がれた。
咲夜が紡いだ言葉に反応した魔理沙は、
「そんなに気になるものか?」
疑問気な表情を浮べながら首を傾げる。
魔法の森に住んでいる魔理沙に取って、今漂っている瘴気など気に止めるものでは無い様だ。
瘴気を気にしている咲夜と気にしていない魔理沙。
そんなに二人に向け、
「ま、変に意識さえしてなければ気になら無いとは思うけどね」
変に意識しなければ瘴気は気にならない無いと言った意見を妹紅は述べる。
それに続く様に、
「と言うか、この程度の瘴気何て俺達には何の問題にも成らないだろう」
この程度の瘴気など自分達に取っては何の問題にも成らないだろうと言う発言が霊児から発せられた。
普通の人間なら兎も角、霊児、魔理沙、妹紅、咲夜の四人は魔法の森の瘴気で体調を崩す事は無い。
更に言えば、魔法の森の瘴気は魔法使いの力量を上げる効果が在るので魔理沙に取ってここの瘴気はプラスに働く。
と言っても、その瘴気で直ぐに力量が上がると言う訳でも無いが。
ともあれ、魔法の森の瘴気で自分達がどうにか成る事は無いと言う部分には同意出来るからか、
「それはそうだけど……今は異変解決の為に動いているから、どうしてもある程度は意識してしまうのよね」
瘴気は平気と言う事を咲夜は認めつつも、異変解決に来ているのだからどうしてもある程度は瘴気の存在を気にしてしまうと口にする。
まぁ、ある程度気を張っていたら瘴気の存在はどうしても感じ取ってしまうだろう。
「ま、それは極力気にしない様にするしか無いじゃない?」
咲夜が口にした事に妹紅が瘴気は極力気にしない様にするしか無いのではと言うと、
「それにしても、ここに来るとやっぱり異変解決に来たって言うより帰って来たって気分になるな」
どうしても帰って来たと気分になってしまうと言う言動が魔理沙から零れた。
魔法の森に入る前から帰って来たと言う気分になると漏らしていたが、魔法の森に入ってからはよりその気分がより強くなってしまった様だ。
帰って来たと言う魔理沙に向け、
「あら、それなら貴女は自分の家に帰ってみたら?」
咲夜はからかいの言葉を掛ける。
からかいの言葉を掛けられれた魔理沙は不敵な笑みを浮かべ、
「冗談。折角異変解決に来たんだ。途中で帰る何て有り得ないぜ」
途中で帰る事など有り得ないと言い切った。
魔理沙から返って来た返答は予想出来ていたものだからか、
「でしょうね」
分かっていたと言わんばかりの表情を咲夜は浮べる。
軽い雑談を交えつつ、霊児達は順調に魔法の森を進んで行った。
しかし、直ぐに順調に進む事を邪魔する者が現れてしまう。
現れた者と言うのは、妖精。
しかも、大群で。
妖精の大群と言っても、妖精の大群など今までの道中で何度も相手にして来たのだ。
なので、現れた妖精など霊児達に取って苦も無く一掃出来る筈であった。
そう、筈であったのだ。
現れた妖精の数が今まで出て来た妖精達の数と比べ物にならない程に多くなければ。
だからか、
「……何なのかしらね、この数」
迎撃行動を取ってる咲夜はうんざりした表情で愚痴を零した。
「どうやら妖精の溜まり場に入ったみたいだな」
咲夜から零れた愚痴が耳に入った霊児は他の面々と同じ様に足を止めて妖精達を撃ち落しながら妖精の溜まり場に入ってしまったと呟き、思考を廻らせていく。
どうするべきかと。
霊児、魔理沙、妹紅の三人は弾幕で、咲夜はナイフの投擲で妖精達を撃退していっている。
勿論、この儘でも妖精達を一掃する事は十分に可能だがそれには一つの欠点が存在しているのだ。
欠点と言うのは、時間が掛かり過ぎると言うもの。
霊児が思い付いた欠点には妹紅も思い至った様で、
「このペースでも被弾する事なく倒せるとは思うけど……一寸時間が掛かり過ぎると思うわよ」
このペースでは倒し切るには時間が掛かり過ぎると言う意見が妹紅から述べられる。
確かに、各個撃破と言う方法でも妖精達を倒し切る事は出来るだろう。
が、その方法では妖精達を全滅させるのに結構な時間を掛けてしまうのは確実。
マヨヒガで休憩を挟んだ以上、ここで余計な時間を喰う訳にもいかない。
と言う判断を霊児は下し、大技で一気に薙ぎ払おうと考えた霊児が弾幕を放つのを止めて指先に霊力を集中し始め様とした刹那、
「……ああー、もう!! これで纏めて薙ぎ払ってやるぜ!!」
先に魔理沙が動いた。
動いた魔理沙は赤、青、黄、緑、紫色をした五個の玉を自身の周囲に生み出し、
「ノンディクショナルレーザー!!」
生み出した玉から妖精の大群目掛けてレーザーを放つ。
大量の妖精を薙ぎ払う為、生み出した玉の軸を動かしながら。
レーザーを放ち始めてから幾らかすると妖精達の姿が見えなくなったので、
「……ふぅ」
魔理沙は一息吐きながらながらレーザーを放つのを止めて生み出した玉を消す。
同時に、妹紅と咲夜が弾幕を放つ事とナイフの投擲を止める。
その後、
「はぁ……魅魔様みたいにはいかないな」
溜息混じりに魅魔の様にはいかないと呟く。
魔理沙の呟きが耳に入った霊児は、
「今のって、オーレリーズサンの応用技か何かか?」
何かを思い出したかの様な表情を浮かべ、オーレリーズサンの応用技か何かかと問う。
オーレリーズサンと言う技は生み出した玉を相手にぶつけたり、玉から弾を放ったりすると言う技。
故に霊児は魔理沙が使ったノンディクショナルレーザーがオーレリーズサンの応用技であるのではと考えたのだ。
それはそれとして、霊児が考えた事は合っていた様で、
「ああ、結構前に魅魔様に教わったんだ。オーレリーズサンは色々と応用が利くからって。因みに、これ以外にも応用技も幾つか教えて貰ったぜ」
肯定の返事と共に魔理沙は少し誇らし気な表情で魅魔からオーレリーズサンの応用技を幾つか教えて貰った事を話し、
「でも、魅魔様みたいには上手く扱え無いんだよな。玉の維持時間もレーザー照射時間も短いし。魅魔様は私が生み出した玉の十倍の量でも余裕の表情で
操るからな……」
魅魔みたくオーレリーズサン系の技を上手く扱えないと言う愚痴を零すも、
「ま、精進あるのみだな」
直ぐに気を取り直したかの様に精進あるのみだと言う発言で締め括った。
「……成程、その精進でパチュリー様の図書館から本が盗まれていくわね」
「おいおい、盗んでいるとは人聞きが悪いな。私は死ぬまで借りてるだけだぜ」
精進と言う部分からパチュリーの図書館から本が盗まれている要因の一つを察した咲夜に、魔理沙は死ぬまで借りてるだけだと言う主張を返す。
パチュリーの図書館からの本の持ち出しに付いて咲夜と魔理沙が言い争いの様なものをしている間に、
「処で、進路ってこっちで合ってるの? ここも迷いの竹林と同じで迷い易い感じだけど」
妹紅は霊児に進路は合っているのかと聞く。
迷いの竹林と比べたら幾らかマシだろうが、魔法の森も迷い易い場所だ。
進んでいる道が正しいかどうかが気になるのはある意味当然だろう。
そんな妹紅の不安を払拭するかの様に、
「ああ、こっちで合ってる」
進路が合っている事を霊児は断言した。
勘の精度が極めて高い霊児がそう言うのであれば安心だからか、妹紅がホッとしたかの様に息を吐いた時、
「……ん?」
妹紅の目に妖精の大群が映る。
大群と言っても、ついさっき魔理沙は全滅させた程の数は無い。
かと言って、無視出来る数でも無さそうだ。
だからか、
「おーい、お二人さん。追加の妖精が来たわよ」
軽い言い争いをしている咲夜と魔理沙の二人に、妹紅は妖精がやって来た事を伝える。
敵襲と言う事で咲夜と魔理沙は言い争いを止め、構えを取った。
そして、強行突破するかの様に四人は突っ込みながら迎撃行動に入る。
数が先程までより少なく、強行突破を取ったと言う事もあって進行スピードは今までよりも格段に上がっていた。
おまけに、邪魔をしに来た妖精達も直ぐに一掃する事が出来たのだ。
この分なら、後少しで魔法の森を抜ける事が出来る。
霊児、魔理沙、妹紅、咲夜の四人がそう思った瞬間、
「「「「ッ!?」」」」
四人の進路を阻むかの様に一本のレーザーが四人の前を通り抜けて行った。
明らかな妨害行動と言う事もあってか、四人は進行を止めてレーザーを放って来た者を探す為に顔を動かす。
すると、
「……やっと見付けたわ」
アリス・マーガトロイドが現れた。
物凄く機嫌が悪そうな表情で。
レーザーが通った後にアリスが現れた事で、アリスがレーザーを放って来たのだろうと言う事を四人が推察したのと同時に、
「おいおい、行き成りなにするんだ!!」
行き成りレーザーを放たれた事に対する文句の言葉を魔理沙はアリスにぶつける。
しかし、
「……行き成りなにするんだ? 貴女がそれを言う?」
ぶつけられた言葉にアリスは少し棘を感じさせる声色でそう返した。
心做か、と言うよりも確実にアリスは怒っている。
アリスが怒っている事に気付いた魔理沙は、
「なぁ、何怒ってるんだ?」
少し声のトーンを落とし、怒っている理由を尋ねてみる事にした。
「実はね……さっき私の家にレーザーが直撃したの。お陰で壁に孔が空き、窓ガラスは割れたの。おまけにクローゼットや食器棚にもレーザーは直撃したの。
それで私の家の中は滅茶苦茶」
尋ねられたアリスは怒っている理由を口にしながら人形を展開していき、
「そして、そのレーザーが消えた後にまだ残ってた魔力の残照を探ると魔理沙……貴女がレーザーを放ったって言うのが分かったのよ」
魔力の残照からレーザーを放った者を魔理沙である事が分かった事を話す。
「あー……そう言えばあそこの直線上にアリスの家が在った様な……」
話された内容からノンディクショナルレーザーを放った場所の先に在るものを魔理沙が思い出してる間に、
「まぁ、家の修理は人形に任せたからそこまで問題ではないのだけど……クローゼットの中に在ったお気に入りの服が何着も駄目になったのよ。
勿論、食器棚に在ったお気に入りの食器やらカップもね。この怒り……誰にぶつけたら良いと思う?」
見る者を魅了するかの笑顔でアリスは様々な物を駄目にされた怒りを誰にぶつけたら良いかと魔理沙に聞く。
浮べている表情は笑顔だと言うのに、背筋が凍る様な感覚を魔理沙は覚えたからか、
「あ、あー……私か?」
恐る恐ると言った感じで自分を指でさす。
怒りをぶつける相手は魔理沙で正しかった様で、
「正解」
笑顔の儘でアリスは正解と言う言葉を紡ぐ。
因みに、この時点でアリスが展開している人形の数は三十を超えている。
「…………………………………………」
展開されている人形に魔理沙が警戒するかの様な視線を向けていくと、
「別に命で罪を償え……とまでは言う積りは無いけど、それでもこの怒りと憂さは晴らさせて貰うわよ。弾幕ごっこでね」
弾幕ごっこで自身の怒りと憂さを晴らさせて貰うと言い放ち、構えを取った。
どうやら、アリスは弾幕ごっこで家やその他諸々を破壊した事を水に流してくれる様だ。
あれ程の被害を被ったと言うのに、弾幕ごっこで済ませてくれると言うのはラッキーであるからか、
「ま、先に行ってる何て事はしないから安心しろ」
「異変解決の道中に異変と全く関係がない輩と戦うと言うのは良くある事らしいしね」
「頑張ってね」
アリスの気持ちが変わらない内にアリスの相手は魔理沙に任せる事を霊児、妹紅、咲夜の三人は決め、魔理沙に応援の様な言葉を掛けて二人から距離を取る。
離れて行く三人を視界に入れた魔理沙は押し付けられたと言う思いを抱くも、
「やれやれ、原因は私にあるからな。仕方無いと言えば仕方が無いか」
そもそもの原因は自分にあるので諦めたかの様に懐から二個の陰陽玉を取り出し、取り出した陰陽玉を自身の左右に佇ませ、
「……だが、折角の機会だから改めて教えてやるぜ。弾幕はパワーだって事をな」
やる気が出て来たと言った感じで弾幕はパワーである事を教えてやるとアリスに言い放つ。
そう言い放たれたアリスは不敵な笑みを浮かべ、
「あら、解ってないわね。弾幕はブレインよ」
弾幕はブレインと返す。
パワーとブレイン。
同じ魔法使いと言っても、相容れない部分は色々とある様だ。
まぁ、それは当然と言えば当然だが。
兎も角、お互いの主張をし合った後、
「「ッ!!」」
魔理沙とアリスは弾幕ごっこを始めた。
弾幕ごっこが始まるのと同時にアリスは大量に展開された人形を操り、空を蹂躙するかの様な弾幕を放つ。
放たれた弾幕を見た魔理沙は大きく距離を取ると言う回避方法を選択し、
「そら!!」
小刻みな動きを取りながらお返しと言わんばかりに陰陽玉と共に弾幕を放っていく。
が、
「……くそ」
魔理沙の弾幕の大半はアリスの弾幕に打ち消され、届いたとしてアリスに容易く避けられてしまった。
だが、それも仕方が無いだろう。
魔理沙から放てる弾幕は魔理沙自身と二つの陰陽玉の計三つ。
対するアリスが放てる弾幕はアリス自身と三十を超える人形の計三十一以上。
数の上では魔理沙が圧倒的に不利なのだ。
「こうなったら……」
自身の不利を認識した魔理沙は状況を打開するには圧倒的なパワーでアリスの弾幕を薙ぎ払う必要が有ると判断し、弾幕を放つのを止めて懐に手を入れる。
懐に手を入れた魔理沙が取り出そうとしているものは、マスタースパークのスペルカード。
しかし、
「させない!!」
魔理沙が懐から何を取り出そうとしているのかを察したアリスは人形の配置を魔理沙を取り囲むものに変える。
人形に取り囲まれ、弾幕が空間よりも魔理沙一人に集中した事で、
「わわ!!」
魔理沙はスペルカードを取り出すのを中断し、迫り来る弾幕に意識を向けていく。
上下左右前後。
あらゆる方向から迫り来る弾幕を魔理沙は回避しながら改めてと言った感じで周囲の様子を確認する。
周囲に配置さているアリスの人形は、等間隔で魔理沙を取り囲む様に配置されていた。
強引にこの包囲網から突破し様ものなら、直ぐにもで大量の人形が突破し様とした隙を突いて来る事だろう。
周囲の様子から突破は避けた方が良いと判断した魔理沙は、アリスの方に視線を向ける。
視線を向けた先に居るアリスの傍には、アリスを護る様に佇んでいる人形が何体か存在していた。
これではアリスに攻撃を仕掛け、人形の動きを鈍らせると言う作戦を取っても成功する確率は低そうだ。
こうなったら、どっかこっかに隙が出来るのを待つしかないかと魔理沙が考え始めた時、
「隙が出来たらマスタースパークで一発逆転を狙おうって考えてるわね」
魔理沙の考えを言い当てる様な事をアリスは口にした。
「ッ!?」
完璧と言って良い程に自分の考えを言い当てられた魔理沙が驚きの声を上げ様とした刹那、
「気付か無いとでも思った? 弾幕の量、密度は私が上。故に同じ様に弾幕を放っても貴女が不利になる一方。おまけに私の人形は貴女を完全に包囲している。
ならば、強力な一撃を放って戦況を変えるのが妥当でしょ」
アリスは魔理沙に考えを言い当てられた理由を伝え、
「通常戦闘だろうと弾幕ごっこだろうと貴女のマスタースパークなら弾幕を纏めて薙ぎ払う事は可能だからね。ならばこの状況下で貴女がマスタースパークか
それの発展系、若しくはその応用技で戦況を変え様と考える事位は手に取る様に分かるわ。それにマスタースパークは貴女のお気に入りの技だしね」
序と言わんばかりにマスタースパークで状況打開を狙っていると推察した理由を話した。
アリスから伝え、話された内容に反論出来る部分は無かった為、魔理沙は苦笑いを浮かべ、
「良く分かってるじゃないか」
良く分かっているじゃないかと言う発言を漏らし、回避行動を取り続けていく。
魔理沙が漏らした発言が耳に入ったからか、
「そりゃ、貴女とは何度も手合わせや弾幕ごっこをしてるからね。その手合わせや弾幕ごっこでの決め技になるのがマスタースパークである事が多い。
ならば、マスタースパークが貴女のお気に入りと考えるのは自明の理よ」
状況打開技にマスタースパークを使ってくる事を推察した理由をアリスは言い、
「それと二つ、マスタースパークには弱点がある。一つはマスタースパークを放っている間は動く事が出来ない。これは反動で吹き飛ばされない様にする為
だろうけどね。もう一つは放つまでにはほんの一瞬だけ隙がある事。普通じゃ気付かれない様な隙だろうけど、私は気付けた。更に言うのであれば、私なら
その一瞬の隙を突く事が出来る」
序と言わんばかりにマスタースパークの弱点を説明し、人形の配置を変える。
マスタースパークがお気に入りと言う点とマスタースパークの弱点に間違いは無かった様で、
「ほんと、良く分かってるじゃないか!!」
若干自棄になったと言う様な表情を魔理沙は浮かべ、同じ様な発言を漏らしながら配置が変わった人形の位置を確認していく。
「言ったでしょ、弾幕ごっこはブレインだって。それに、相手の技の弱点を探る頭は持ち合わせている積りよ。序に言えば、貴女のマスタースパークは
何度も見てるしね」
相手の弱点を探る頭は持ち合わせている事と、マスタースパークの弱点を見抜けた訳を言いながらアリスは更に人形の配置を変え、
「そして……これでチェックね」
これでチェックだと呟いた。
その呟きが耳に入った魔理沙は、
「ッ!?」
気が付く。
アリスの人形がかなり近い距離で自分を包囲している事に。
アリスが操っている人形には常に注意を払っていたと言うのにここまで完璧な包囲網を引かれた事に魔理沙が内心で驚愕していると、
「この状況下でマスタースパークを放とうものなら、即座に私の弾幕が直撃するわよ」
マスタースパークを封じた事をアリスは魔理沙に告げる。
如何にどんな技でも即座に放てるスペルカードと言えど、人形達と魔理沙の距離を考えたらマスタースパークを放っている最中に相当量の弾幕を受けてしまうだろう。
そんな事になったら途中でマスタースパークが強制的に中断される事になるのは確実。
かと言って、マスタースパーク級の火力が無ければこの包囲網を突破するのは不可能だ。
この状況下を突破する作戦を考える為、
「けど、それは私がマスタースパークを使ったらの話しだろ? 使わなかったらこの包囲網の利点が半分以上潰れる事になるぜ」
時間稼ぎをするかの様に魔理沙は自分がマスタースパークを使わなければこの包囲網の利点が半分以上潰れると言う挑発を行なう。
行なわれた挑発に対し、アリスは涼し気な表情を浮かべ、
「そうね、貴女がマスタースパークを使わなかったら後は私と貴女の集中力の勝負になるわね。貴女が集中力を切らせば私の弾幕の餌食。逆に私が切らせば
この人形の包囲網を貴女が抜けて私がやられるわね」
マスタースパークを使わなければ自分と魔理沙の集中力勝負になるだろうと口にし、懐に手を入れる。
そして、
「けど、態々正直に集中力勝負をする気は無いわよ」
集中力勝負をする気は無いと言って懐からスペルカードを取り出し、
「咒詛『蓬莱人形』」
スペルカードを発動させた。
その瞬間、
「……っとお!?」
魔理沙を取り囲んでいる人形から放たれているものが弾幕からレーザーへと変わる。
弾幕とレーザーでは回避方法なども異なるからか、魔理沙は必死な表情を浮べながらアリスの人形から放たれるレーザーを避けていく。
必死な表情でレーザーを避けている魔理沙を見ながら、
「通常の弾幕で貴女を仕留めるにはかなりの数を叩き込まなければならないでしょうけど、レーザーならどうかしら?」
弾幕では仕留めるのに時間が掛かるが、レーザーならどうかと問う。
どうやら、先の弾幕よりもレーザーの方が威力が高い様だ。
まぁ、通常の弾幕ではなくスペルカードの発動によって放たれているレーザーなのだ。
当然と言えば当然だが。
兎も角、絶え間無く放たれて来るレーザーを避けている魔理沙ではあるが、
「くっ!!」
レーザーを自身の身に掠らせる様になってしまった。
この儘いけば、何れはレーザーの直撃を魔理沙は受ける事になるだろう。
しかし、
「……へへ」
圧倒的不利な状況だと言うのに魔理沙は何所か余裕のある笑みを浮かべていた。
そんな魔理沙の表情が視界に入ったアリスは、何かを仕掛けて来るものだと判断して警戒を強めていく。
が、当の魔理沙に何かを仕掛けて来る様子は見られなかった。
魔理沙の性格上、只やられた儘と言うのは有り得ないので、
「……………………………………………………」
アリスは余計に魔理沙を警戒する。
暫しの間回避に徹していた魔理沙であったが、唐突に懐に手を入れた。
懐に手を入れたと言う事は、スペルカードを取り出そうとしていると考えて良いだろう。
マスタースパーク系統の技、それ以外の技のどちらが来ても良い様にアリスが頭の中で作戦を組み立ていると、
「アリス、一つ忘れてるぜ」
一つ忘れていると言う言葉が魔理沙から発せられた。
「……何をかしら?」
怪訝そうな表情を浮べながらアリスは何を忘れているのかを聞く。
聞かれた魔理沙は不敵な笑みを浮かべ、
「さっき言ったよな? マスタースパークを撃つ時は反動に耐える為に動けないって」
マスタースパークを撃つ時は反動に耐える為に動けないと言ったよなと言う確認を取る。
「ええ、確かにそう言ったわね」
取られた確認にアリスが肯定の返事を返した瞬間、魔理沙は人差し指を立て、
「なら、その反動に耐えなかったらどうなると思う?」
反動に耐える事をしなかったらどうなるかと問う。
「耐えなかったら…………ッ!!」
マスタースパークの反動に耐えなかった時の事を考えた刹那、アリスは魔理沙が何をし様としているのかを理解する。
同時に、アリスは魔理沙がし様としている事を妨害する為に人形を動かすが、
「彗星『ブレイジングスター』」
人形を動かしている隙を突くかの様に魔理沙は懐からスペルカードを取り出し、スペルカードを発動させた。
スペルカードが発動すると魔理沙の箒の刷毛の部分からマスタースパークが放たれ、魔理沙はアリスに向って突っ込んで行く。
マスタースパークを推進力に使っているせいか、突っ込んで来ている魔理沙のスピードはかなりのもの。
だが、それでも反応し切れないと言う事も無かったので、
「なら!!」
何体かの人形を操り、アリスは防衛網を引いたが、
「なっ!?」
引いた防衛網は容易く魔理沙に突破されてしまった。
とは言え、少し考えれば何体かの人形で引いた防衛網を突破される事など予想出来た事であろう。
ベクトルが違うと言えど、ブレイジングスターと言う技もマスタースパーク系統の技なのだから。
それはさて置き、防衛網を突破されたと言う事でアリスは回避行動を取りながらスペルカードの発動を止めて新たな人形を展開する。
新たな展開された人形は、金属製の盾を装備している。
見るからに防御を重視した人形だ。
アリスとしてはこの人形で時間稼ぎをしている間に万全の体勢を引く積りなのだろうが、
「甘いぜ!!」
盾を装備した人形などどうって事は無いと言った感じで魔理沙はその人形を弾き飛ばした。
全く時間を稼ぐ事が出来なかった事で、
「なあ!?」
アリスは驚きの表情を浮べてしまう。
その間にも魔理沙はアリスとの距離をどんどん詰めて行き、
「いっけえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」
箒の先端部分をアリスの腹部に激突させた。
腹部に猛スピードで突っ込んで来た魔理沙が跨った箒の先端が激突した事で、アリスは魔法の森の奥へと吹っ飛んでいってしまう。
すると、展開されていた人形が力を無くしたかの様に落下して行ったので、
「言っただろ、弾幕はパワーだって」
勝負が着いたと魔理沙は判断し、勝ち台詞を言い放つ。
勝ち台詞を言ってから幾らか時間が過ぎてもアリスは戻って来なかったので、この弾幕ごっこは魔理沙の勝ちで良いだろう。
こうして、魔理沙とアリスの弾幕ごっこは魔理沙の勝利で幕を閉じた。
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